プロフィール
HN:
たもつ
年齢:
58
性別:
男性
誕生日:
1967/06/05
自己紹介:
こっそりと詩を書く男の人
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2011/03/06 (Sun)
詩
水の途中
眠れない夜のために
わたしの棒高跳び
細胞壁の間をすり抜け
背面から着地する
床のキッチン
床だからキッチン
冷蔵庫の脇でうずくまり
スイカ、美味しく冷えてるわよ
(スイカ、美味しく冷えてるわよ)
昔の母の口真似をする父
爪を切ろうとすると
痛がるようになったので
今夜も長いまま
かつては一緒に
小松菜も育てた
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2011/03/05 (Sat)
詩
小豆色のバスに乗る
車体の気配があまりしないバスだった
既に乗っていた人たちは
みんな別々な方向を見ているのに
誰なのかよくわからない
信号待ちをしている間に
道端の枯れた草花を見ていると
二つ前の席の人がくしゃみをして
それきりだった
サイレンを鳴らす救急車とすれちがう
付き添いも含めれば6回乗ったことがある
その回数が多いか少ないのか
誰にも決められないように思えた
いつの間にかうたた寝していたら
人に起こされた気がして目覚めた
窓に映った自分がこちらを見ていた
外はすっかり暗くなっている
いつか通ったことのある
産道によく似ていて
顔を両手で覆う
2011/03/04 (Fri)
詩
むかし男の人が死んだ公園で
山岸徹也くんと砂の城をつくった
歯ブラシが近くに落ちていて
それはとても古い感じがした
城門に番兵の人形を二体置いた
翌日、城は壊されていた
人形は砂に埋もれて
もう守るものがなかった
中学校に上がるとき
山岸徹也くんは他の県に引っ越した
それ以来何となく
連絡を取ることはなかった
公園で死んだ男の人がどうなったか
知ることなく過ごしてきた
今まで自分が許したことと
許さなかったこととの基準は
その時々で多少の幅があった
2011/03/01 (Tue)
詩
耳が遠くなった
もう手が届かないところまで
痒くても
かくことすらできない
耳は更に遠くなっていく
遠くなるにつれて
聞こえるようになった
知りたかったこと
知りたくなかったこと
何でもないこと
世の中はこんなにも華やかで
陰惨な音が溢れかえっているのに
自分の周りだけ
皆、息をし忘れたように
静かだ
2011/02/24 (Thu)
詩
亀のレストランに入った
亀たちが食事を楽しんでいた
メニューにあった
「亀肉のソテー○○○風」
(○○○が何であったかは失念)
を注文した
料理名の下には
不慮の事故で死んだ亀の肉を使っている旨が
小さく表記されている
もちろん彼らは頼まない
亀以外の生き物だけが注文を許されている
ソテー○○○風を食べている間
彼らは見て見ぬ振りをしてくれる
それがこの店の仕来りだった
食べている方も
美味しいだの、不味いだの、
そんなことを言ってはいけない
代金は死んだ亀を弔う経費に充てられる
だから他の料理よりも少し高くて
レジのあたりはいつも
湿っている
2011/02/23 (Wed)
詩
掌に雨が降る
小さな水溜りができて
魚たちが泳ぎ始める
両方の手で精一杯の
くぼみをつくる
それでも水や魚は
溢れ出してしまう
途方に暮れているうちに
いつしか雨は止み
水溜りの上に虹がかかる
水は蒸発し
魚たちは鳥になり
空へと戻っていく
弱いからすぐに嘘をつく
そして弱い人間で良かった
そう思うことが時々ある
2011/02/22 (Tue)
詩
おでんの中を艦船が航行する
デッキから若い水兵が
手を振ってくれる
大根とはんぺんが好き
牛スジは入れる習慣がない
ガンモは好んで食べないが
無ければ無いで淋しい
この春は何を諦めるのだろう
失うことよりも楽に
そしてなるべく
人に迷惑をかけないように
ツミレやチクワを回避しながら
船は進む
既にあるはずのない
遥か遠くの母国を目指して
2011/02/21 (Mon)
詩
道路を丸めて食べる
どうしたら草の音みたいに
生きることができるのだろう
曲った色鉛筆
間違えないように覚えた言葉
値札の無い指の軌跡
並べることばかり
いつの間にか上手になって
見知らぬサルが隣に座って
昔からの友だちになる
何かの卵を手渡しでくれる
ひとつずつ温める
信じられないよ、
親になるんだ
2011/02/20 (Sun)
詩
長いものに巻かれている
とても柔らかな
マシュマロに腰を掛けて
呼吸に合わせて
長いものが少しうねる
今まで大切な人と
大切なお話をしていたはずなのに
もう残りものの空しか見えない
ここは世界の果てかもしれない
ふと思う
そんな思いが救いになったことなど
一度もないけれど
身体がゆっくりと
マシュマロに溶けていく
自分にも体温があったことに
今更ながら戸惑う
2011/02/18 (Fri)
詩
整形外科で溺れた
子どもの頃から登り棒は得意だった
誰よりも早く天辺に登れる自信があった
それなのに整形外科で溺れてしまった
むしろ言葉の綾、
と言った方が正確なようにも思えるけれど
綾子そのものは昔の彼女の名前であり
どこかで幸せに暮らしていることを願うのは
ただのエゴなのかもしれない
しばらく溺れていると
二人の看護師さんに助けてもらった
二人とも細身で男の人だった
溺れて初めて
魚が何故エラ呼吸をするのかがわかった
もし魚だったら
看護師さんは助けてくれなかっただろうから
医師には右肩の亜脱臼と診断された
そのあとでエラ呼吸の仕組みについて
詳しい説明を受けた
エラ呼吸はともかく、右肩の亜脱臼は
自分の生活の中では珍しいことなので
きっと控えめな様子で
周りの人に自慢するのだろう
そしてその中に
綾子の姿はないだろう
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