プロフィール
HN:
たもつ
年齢:
58
性別:
男性
誕生日:
1967/06/05
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こっそりと詩を書く男の人
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2010/02/01 (Mon)
詩
光が蒸発していく駅舎
待合室の隅のほうで
一匹のエンマコオロギが
行き場をなくしている
他に行くところのない子供たち
髪にきれいに飾られた赤いリボン
鼻から伸びているチューブ
幸せ、不幸せを感じられるうちは
人はまだ幸せなのかもしれない
誰に謝ってよいのかわからないけれど
僕の生活は幸せに満ちている
飛べない羽がある
語れない唇がある
いのちを守りたい、と
政治家が高いところから演説をする
僕は僕のいのちに言い淀んでしまう
※「いのちを守りたい」
平成二十二年一月二十九日
鳩山総理大臣 施政方針演説より
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2010/01/31 (Sun)
詩
キッチンで君と二人
こんにゃくをちぎっていく
娘は一人、二階で
静かに宿題をしている
こうして手でちぎると味がよく染みこむのよ
君が母親から教えてもらったように
僕は君から教えてもらっている
こんにゃくの中心を目指して
ひたすらちぎっていく
その度に中心は移動し
やがてどこかに消えてしまう
ちぎっているようで
実は表面を撫でているにすぎないのだ
こんにゃくについてさえも
僕らは何も語ることなどできない
不必要な言葉に肥え、太り
おそらく人生の折り返し地点など
とっくに過ぎてしまった
鍋がいっぱいになる
それでもまだ
こんにゃくは山積みになってる
これで何を作るの
君に聞くと
わからない
とだけ答える
キッチンが夕闇に沈んでいく
二階の方から鼓動のような
小さな物音が聞こえる
2010/01/29 (Fri)
詩
このこんにゃくを探しています
家族同様に可愛がってました
見かけた方はご連絡ください
という貼紙が電柱にあった
家にあるこんにゃくに良く似ていたので
書かれていた住所のところまで持って行った
玄関に女の人が出てきて
残念ですが違います、と言った
その後ろでは男の人が覗き込んで
悲しそうに首を振っている
知らない人だった
2010/01/28 (Thu)
詩
こんにゃくの降る街を
君と歩く
手をつなぐのは
二人に手があるから
理由はそれだけでよかった
子どもたちが積もったこんにゃくで
だるまを作ろうとしている
それは無理なことだ、と
大人は教えようとするけれど
彼らはまだ
不可能という意味を知らない
やがてその意味を知り
やがてそのことに傷つき
やがて何も感じなくなる
その一連の過程を
悲しい、と言うには
僕らは年を取りすぎてしまった
幸せ、不幸せという二つの言葉だけで
すべてが言い表せる
と思っていたあの日も
こんにゃくが降る街を
君と手をつないで歩いた
今日よりもたくさん降っていたはずなのに
その話をすると
僕らの記憶は食い違った
2010/01/27 (Wed)
詩
どこかの外れのような野原に
ひっそりとメリーゴーランドはあった
白い馬にまたがると
むかし死んだ友だちが背中を押してくれる
メリーゴーランドがきれいな音楽とともに
ゆっくりと回りだす
友だちは遠くで手を振っている
その笑顔が懐かしくて
もしかしたら死んでいるのは僕の方ではないのか
という気持ちになる
ポケットの中に入れたこんにゃくで
ズボンが湿っている
手を突っ込むと
すべすべとした弾力で押し返してくる
その手触りだけが
僕と今の僕の生を
わずかにつなぎとめてる
2010/01/26 (Tue)
詩
手紙を出す用事があって
エレベーターを待ってる
扉が開く
エレベーターの中が
こんにゃくでいっぱいだったので
乗らずにに見送る
あんなに沢山のこんにゃくを積んで
あのエレベーターはどこまで行くのだろう
もう二度と来ない気がして
階段で行くことにする
階段の一段一段すべてに
こんにゃくが敷き詰められている
この階段を使うには
資格や資質のようなものが必要だと思うけれど
自分がいったい何であるのか
教えてくれる人も見つからない
封筒に入れたこんにゃくの水分で
宛名も自分の名も滲んで
美しい他のものにみえる
2010/01/26 (Tue)
詩
こんにゃくを買いに出かける
いつものスーパーでは売り切れだった
少し遠くのスーパーでは見つからなかった
少し遠くの別のお店では
こんにゃく以外のものならあるのですが
と残念がられた
昨日まではあんなに並んでありふれていたのに
一晩でこんにゃくは皆どこかに行ってしまった
こんにゃくを使わなくてもよいものにしようと
料理の本をめくってみるけれど
昨日まで見ていたものは
本当はこんにゃくではなかったのかもしれない
そう思うと
自分がここにいるべきではない気がして
すべてのページに折り目をつけてしまう
2010/01/24 (Sun)
詩
テーブルの上に
こんにゃくがある
窓の外では
桜の花びらが少しずつ
風に散っている
白い磁器の皿にのせられたまま
誰に忘れられたのか
いつまで忘れられるのか
蒸発した水分の量だけ
その身を軽くしながら
敷地内の停留所
こんにゃくにも忘れられた
夜勤明けの僕が
駅までの巡回バスを待ってる
2010/01/20 (Wed)
詩
砂時計の砂が落ちていく
のをあなたは見つめている
すべての砂が落ちてしまうと
黙って逆さまにする
一日がその果てしない繰り返し
あなたにとって時間の単位とは
どこまでも続く砂漠だった
そしてそれはまた
二度と帰ることのない
あなたの遠い旅路に違いなかった
表情のなかった口元が
ふと緩む
旅先で何か
嬉しいことがあったのだろう
2010/01/19 (Tue)
詩
舌の根が乾かぬうちに、駅
年を取った男の人が
魚の燻製や塩漬けのようなものを
車の荷台に積んでいる
濁った金属製の手すり
この街で指紋のいくつかは
言葉と同じ程度の意味を持つ
つまりそれは
言葉と同じ程度の意味しか持てない
コンコース、行き来する柔らかい
背中の人々
どうか記憶しておいて欲しい
誰かの命を奪うことで
感謝される誰かがいるということを
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