プロフィール
HN:
たもつ
年齢:
58
性別:
男性
誕生日:
1967/06/05
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こっそりと詩を書く男の人
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2008/07/22 (Tue)
詩
羊とシーソー遊びをすると
いつも重い方が沈みました
両方が沈まないでいるのは
とても難しいことでした
わたしはまだ
言葉をよく知らなかったのです
+
眠れないときは羊を数えなさい
そう教えてくれた母は
羊飼いに恋をして
家を出て行きました
あとにはわたしと
海賊をしていた父が残されました
+
父は略奪も人身売買も忘れて
眠れないときは二人で
羊を数えました
それはどちらかが眠くなるまで続き
終わることはありませんでした
+
ある日父は
暗くて寒い海に身投げしましたが
わたしは人気のないベランダで
取り込まれることのない洗濯物をみながら
羊を数えていました
数はとっくに羊からも
溢れていました
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2008/07/18 (Fri)
詩
あなたがブリキの本を開く
かつて繁栄した都と
路地裏で生き抜いた猫の
長い物語が始まる
朝から駐車場を壊す音がする日
僕は電柱を売りに出かける
どこか遠くで
孤独に電柱を
つくり続ける人のために
2008/07/18 (Fri)
詩
屋根をつくった
もう雨が降っても
濡れなくてすむ
立ったまま目をつぶると
近くや遠くから
夏の音が聞こえてくる
いつもと同じなのに
いつもと同じくらい懐かしい
誰か早く壁とか柱とか
つくってくれないだろうか
重みに腕が震える
2008/07/16 (Wed)
詩
村田川の土手を歩いていると
おーい
誰かが僕の名を呼ぶ
振り返っても
きれいな夕日がひとつあるだけだった
僕の名前を呼んだのはおまえかー
違うよー、と夕日が答える
なんだ、違うのか
どうでもいい後日談
僕の死体が
冷蔵庫の中から見つかったそうだ
2008/07/15 (Tue)
詩
魚のために
椅子をつくる
いつか
座れる日のために
背もたれのあたりを通過する
ふと、足りないものと
足りすぎているものとが
少しずつある
雨に濡れた生家が
生乾きのまま
風のようなものにゆれる
匂いがしている
恥ずかしいけれど
幸せも不幸せも
本当は鋳型なんて
最初からなかった
2008/07/03 (Thu)
詩
白地図に雪が降り積もる
数える僕の手は
色のない犬になる
古い電解質の父が
真新しい元素記号を生成している間に
妹は今日はじめて
言葉を書いた
それを言葉だと信じて疑わないので
僕は薄い溶液に嗚咽しながら
ひとつひとつ添削をして
あきらめていく
幅広の机から化学が溢れ出して
その向こう、暖かな場所では
母が微笑みを絶やすことなく
世界を切り刻んでる
2008/06/25 (Wed)
詩
ありがとう
僕らの朝食
光あふれる幸福な食卓に
小型の爆弾は落ちた
ばらばらになって美しく輝く体を
ひとつひとつ拾い集め
元に戻していく
どちらのものかわからないところは
昔のように二人で仲良くわけあった
ありがとう
これから郊外の量販店まで
日用雑貨を買いに行く予定だった
ありがとう
今日、命として認められた
ひとやものたち
黙祷しようとして
どうしても瞼だけが
見つからなかった
2008/06/21 (Sat)
詩
初夏の光
ひとつ前の駅で降ります
虫かごもないのに
+
栞はかつて
誰かの魚でした
本の中で溺れるまでは
+
夕日のあたたかいところに
古いネジが落ちています
いつか機械からはぐれて
+
六月の日よけに懐かしい
あなたの手が触れていました
ひとつのことのように
+
草行きのバスに乗ります
生きている魚にも
瞼をつけてあげたかった
+
掌に残る水温の痕
大きな船で発ちます
音にもなれずに
+
ゆっくりと通過していくのは
海の内緒話でしょうか
柔らかな雲のお墓へと
2008/06/12 (Thu)
詩
指でなぞる
水の裏側
剥がれていく
記憶のような
古い駅舎
影踏み遊びをしながら
呼吸の合間に
母とひとつずつ
嘘をついた
砂漠に父は
キョウチクトウを
植栽し続け
一面きれいになると
アパートの二階から
落ちていった
あれは瞬き
裏側はどこまでも
瞼のまま
2008/06/07 (Sat)
詩
停留所の影
鳴くヒグラシ
模写の中で
+
石の階段
落下していく
ランドセルへと
+
夏時間の早朝
別に区分される
地下茎と言葉と
+
鳥の死は
抜粋されたまま
仕様書から
+
藻場に集まる粒子
告白の長い
期間が始まる
+
耳の種類を
書き足してしまう
多弁すぎて
+
穴を掘る子ら
背中に残る
鉱物の痕
+
植物は深夜
あなたの名前を
うまくごまかす
+
誰もいない屋上で
フェンスをゆらす
しあわせは形
+
悲しみ続ける
わたしたちがまだ
ものであるかぎり
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