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こっそりと詩を書く男の人
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たもつ
年齢:
58
性別:
男性
誕生日:
1967/06/05
自己紹介:
こっそりと詩を書く男の人
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2026/04/01 (Wed)
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2006/02/20 (Mon)
その浴室には
窓が無かった
窓どころか
シャワーや
バスタブも無かった
それでも入口に
「浴室」
と書かれていたので
男はそこを浴室だと思った
よくしつ
男はゆっくりと発音した
文字を見れば声にして読むのが癖でした
年老いた母親は
喪服姿で泣き崩れた


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2006/02/17 (Fri)
フライドポテトを
鉛筆削りで削り続けた
すっかり疲れると
ハンバーガーに
紙やすりをかけた

やがて消えてなくなる
という結果は
すべてにものに等しく訪れる

四日目の早朝
窓を開け放ち
僕の名付け親だった寂しい親戚は
一番遠くの海に飛び込んだ


2006/02/15 (Wed)
右目がポケットに落ちた
左目を瞑るだけで
見なくて済むものは見えなくなったけれど
溜まっていたゴミや砂が入って
右目からは涙が止まらない
あの人のズボン泣いてるみたいだね
と言う男の子の隣で
母親がとても嫌そうな顔で立っている
こんなにもたくさん
身体から水分が出たというのに
何も生まれてこないし
人の絵を描けばきっと
はだ色に塗りつぶすに違いなかった

2006/02/10 (Fri)
彫りの深い司会者が
深い彫りの中で溺れて
ウェディングケーキはもう
瞼の中でしかカットされない

花束を越えて
何度も生まれてかわろうとする
たくさんの父と母は
まだ静かなまま
人の子ども

とても虚しい日だね
どんなに言葉を積み上げても
何も語れない

新郎新婦のいない会場で
誰もいない招待客が
小さく欠伸をして
式はただ淡々と進行していく

2006/02/09 (Thu)
涙の中を泳ぐ魚がいて
僕の源氏名はまだ忘れられたまま
あなたは僕の順番となり
順番は花びらのびらとなり
そのことで誰も困りはしない
こうして縮まった身体をひょうっとすれば
僕らの不在は電話でのみ確認されてしまう
大きく開かれた口の中
僕はあなたのスリッパを履き続け
書き終わらない卒論のまだ一行目あたり
を指でいじりまわしている
軒下という軒下では靴下のように
たくさんの人が歌われて今日も悲しい
その間にも理髪師のハサミは
意味の無い記号を切り刻んでいる
既に僕らに意味は無いのだから
ああ、眼鏡色の丘の上に立ち
僕はあなたのえくぼが好きだったのだと
さっき気づいたばかりなのだ
2006/01/27 (Fri)
水槽の中には
迷い込んだ
ひとつコブの駱駝がいて

その上は
とても静かなので
置かれるものがない

それをあなただけの
目が見ている

寝癖が空調にそよぎ
わたしはもう
何も奪わなくてよかった
2006/01/25 (Wed)
白線の内側におさがりください
融けかかった身体が通過して行きます
主成分は耳とし耳けるもの
声のいくつか
危険ではありませんが
触れると昔を思い出して
いささかに寂しい
窓とし窓けるものに
なるべく沢山の履歴書を貼りましょう
苦労されたのですね
と言われることは本意でなくとも
それもまたここでの規則なのです
生まれてこなかった者のために
「わたし」を発音しないでください
それは何をも免罪しませんから
ただ白線の内側でお待ちください
やがて半島にくる放課後のように
右も左も同じ速度で壊れていきます

2006/01/23 (Mon)
靴下を洗濯籠に投げる
途中、失速して
僕の知らない野原に落ちる

しばらくすると
一匹の美しい横顔の生き物が
くわえて行ってしまった

もう何も無くさないようにと
決めていたのに
気持ちと身体の境目あたりに
痛さのようなものがあって
少し疼いてる

家族の楽しそうな笑い声が
茶の間から聞こえてくる
おそらく楽しいのだろう
あの生き物にも僕にも
帰るべき場所があるのだ

2006/01/19 (Thu)
何故降り積もったのか
僕らを組成する因子は
間違えることなく
ある日僕らを僕らにした

悲しみは毎日のように語られけれど
掌には幾ばくかの幸せが残されている
まだ誰も本当の悲しみなど
知らないのだから

やがて木々が芽吹く頃になると
解けた雪が地下の水脈を潤すように
僕らはまた僕ら以外のものに
還りたがるのだ
2006/01/15 (Sun)
きみは船長で
ぼくは車掌だった
二人でずっと
夕日のようなものを見ていたけれど
夕日だったのは
きっと僕たちにちがいなかった
海にも線路にも続くことのない
ロープでできた乗り物を最初に降りたのは
同じ悲しみを持たない
ぼくの方だった
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* ILLUSTRATION BY nyao *