プロフィール
HN:
たもつ
年齢:
58
性別:
男性
誕生日:
1967/06/05
自己紹介:
こっそりと詩を書く男の人
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2011/11/22 (Tue)
詩
潮風が吹くだけの頁がある
そこまで読むと
少年はいつも眠くなってしまう
少しずつ部屋に隙間ができる
西日とともに
明日、と呼ばれる不安が
部屋を満たし始める
ハエが小さな声で鳴く
テーブルの隅で
夏に別れを告げている
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2011/11/21 (Mon)
詩
壊れたヤドカリが階段を上る
その先には二階があるだけなのに
暑いと感じる人は、暑い、と言う
今日という退屈な一日
下駄屋のおじいさんが亡くなった
母を斎場まで車で送った
一時間後に迎えに行った
昨日は普段着で買い物をしていたけれど
今は喪服で話をしている
読みかけの本には栞の代わりに
小型のウミウシを挟んでおいた
頁は水分で湿っているだろう
2011/11/20 (Sun)
詩
どこかで小型犬が吠えている
真夏なのに帽子を被った女性の人が
オレンジ色の自動車を運転している
ガソリンは昨日より一リットルあたり二円安い
空は曇っている、天気予報士がしゃべったとおりに
さっきまで、きみと手を繋いで歩いていたはずなのに
いつの間にか壊れたメトロノームを引きずっている
メトロノームは壊れていく
外側のプラスチックはあちらこちら欠けて
いろいろな音をたてて壊れていく
同じくらいの背丈の人とすれ違う
その背中ではセミの幼虫が羽化している
観察日記をつけながら少年がその後を歩いて行く
もしかしたら、きみ、なんて人は
最初からいなかったんじゃないか、と思い始めてる
でも、実際にこうして手を繋いでいるし
いくつかの口癖も鮮明に思い出せるのだ
2011/11/19 (Sat)
詩
キャッチャーがサインを出す
マウンドでは扇風機が首を振っている
サインを変える
それでも扇風機は首を振る
そうしているうちに
野手も打者も応援団も実況席も
夏の暑さに溶けていく
サインは一向に決まらない
たとえ一人と一台だけ残されても
戦いは続く
2011/11/17 (Thu)
詩
午後八時五十分発の
てんとう虫に乗る
潰さないように気を付けていると
言葉に疲れた兄が一人やってきて
優しい飲み水を差し入れしてくれた
ありがとうございました
そうお礼言う前に
てんとう虫は発車してしまった
月が明るくて
星の少ない夜だけど
今度てんとう虫が停車したら
洒落たカーテンを買って
窓に飾ろうと思う
こうして少しずつ剥がれていくんだね
剥がれて小さくなって
見えなくなっていくんだね
2011/11/16 (Wed)
詩
海へと下りていく小道に
一匹のセミがいた
地面にしがみつくように
じっと静かにしていた
指で摘んでも動かない
すでに命は失われていた
次から間違えないよう
ひっくり返しておいた
2011/11/14 (Mon)
詩
母が滑り台で遊んでいる
すぐに、つまらない、と言い出して
妹のあきよさんと裏山の藪に入っていった
インターホンが鳴る
野口さんが玄関に立っている
タッパの中身は手作りの牛乳羮だろう
野口さんのお葬式、行けなくてごめんね
野口さんは黙って手を振って笑う
いつもの仕種で笑う
最後は笑うしかないもんね
そう思うと
もう野口さんに会えないことがわかる
部屋では看護疲れの母が畳に寝ている
東京に行くからスーツに着替えさせてくれ
ベッドの父がいつもより少し元気な声で言う
東京は昨日行ったでしょう、と言うと
そうか、昨日行ったか、と笑う
裏山から帰って来た母が目を覚ます
大きな荷物を抱えて
妻も買い物から帰ってくる
何があっても最後は笑う
絶対に笑う
2011/11/13 (Sun)
詩
誰もいない夜明けの街を
少年が黙って自転車をこぐ
真面目に呼吸を続けながら
サルは今も進化と退化の中を
死にそうになりながら
生きているころだろう
エロい身体をした僕は、夕べ
たくさんの貧乏くじを作った
自分のささやかな不幸を
引き当てて楽しむために
窓を開ける
どこまでも美しく
市町村が広がっている
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