プロフィール
HN:
たもつ
年齢:
58
性別:
男性
誕生日:
1967/06/05
自己紹介:
こっそりと詩を書く男の人
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2012/03/06 (Tue)
詩
黄ばんだ紙
表と裏
その間に
地方都市
雑居ビルの一室から
産声
産まれることの
懐かしい痛み
短い言葉は
短い影をつくり
壁は語られる
曖昧な
理屈によって
ふと吹いた風に
紙が舞う
足などに踏まれ
粉々になる
女の人が
上の空で
逃げ水を見ている
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2012/03/05 (Mon)
詩
冷蔵庫の扉が
閉まらなくなった
代わりに
炊飯器の蓋をつけた
閉まるようになった
炊飯器の蓋には
冷蔵庫の扉をつけた
毎日、ご飯の時が
重くて大変だけれど
つらいことばかりじゃないよ
と、君は笑う
2012/03/04 (Sun)
詩
死にたいな、
群青
産まれてから今まで
食べたバナナの数を計算すると
予想より多くて
思っていたより少ないから
どんな気持ちになってよいのか戸惑う
親父はすっかりまだらボケ
時々俺を誰かと間違えるようにまでなった
背中の斜面
太陽の灯火
可愛がってくれた野口さんは
転んだ拍子に死んじまった
たーちゃんはいい子だね、
たーちゃんはいい子だね、
でもね、野口さん
たーちゃんはいい大人にはなれなかったよ
それでも生の端っこにしがみついて
俺を殺さないでくれ、と
何かに懇願するんだろう
空も風も
何であんな所にありやがる
死にたいな、
群青
死にたいな、
群青
2012/02/29 (Wed)
詩
傍らに咲く向日葵の肩に
歯車、のようなものが落ちて
僕らは片言で話す
君はカタコトと音をたてて
一面の夜みたいに
目を閉じている
カタコト
カタコト
いつかそんな音がする列車に
二人で乗ったね
目は開けていたけれど
真っ暗な中を走る
たしか、最終列車だったね
そして思い出という言葉を
使えるほどの勇気も
僕らはまだ持ち合わせていないね
歯車のようなものが飛んでいく
あれは歯車ではなくて
羽のある何か小さな生き物
何も忘れることなく
何も奪うことなく
きれいに見えなくなる
2012/02/28 (Tue)
詩
夜、すべての列車が
運行を終えたころ
駅にしんしんと
ネジが降り始める
駅舎の出入口や
線路に積もったネジを
当直の駅員がネジかきをする
やがてネジは止み
夜明けにはすべて溶けて
人々は何もなかったかのように
駅に集まるだろう
そして今日もどこかで
ネジは締められ
緩められ
ゆっくりと酸化し
愛する人のために盗まれる
一本のネジもあることだろう
2012/02/26 (Sun)
詩
湿った自転車を押して
海に向かいます
水つながりで
相性がとても良いのです
防風林の間を進むと
しばらく進むと
ポケットに小銭があります
ものが買えるくらいあります
壁に手をついているうちに
大人になっていた
大人ってみんなそんな感じがします
そして草や虫の
名前とか性質とかについても
話をしたりするようになります
海が見えてきました
さあ、楽しみましょう
2012/02/25 (Sat)
詩
窓ふきをしていたはずなのに
気がつくと父の背中を流している
こうしてもらうなんて何年ぶりだろう
父が嬉しそうに言う
十五年ぶりくらいじゃないかな
僕が答える
父の狭い背中から垢がポロポロと落ちる
お風呂、週一回じゃ駄目だよ
俺が風呂嫌いなの、知っているだろう
父の背中はどんどん薄くなっていく
透明になってしまうのではないか、
と心配になるくらいに
よし今度はおまえの番だ
そう言われて僕は後ろを向く
きれいに磨かれた窓ガラスには
僕の背中だけがうっすらと映り
外にあるのは寒い色をした空だろう
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