プロフィール
HN:
たもつ
年齢:
57
性別:
男性
誕生日:
1967/06/05
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こっそりと詩を書く男の人
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2007/07/22 (Sun)
詩群「その海から」
11
ジャングルジムの上で
傘の脱皮を手伝う
またやってくる
次、のために
海水浴の帰り道
人の肌が一様に湿っている
12
ピアノを弾くと
鍵盤がしっとり柔らかくて
むかし手をつないだ人の
指に似ている
かいているのは本当に汗だろうか
ハンカチで顔を拭いても
パイプ椅子のような感じしかしない
13
空に向かって開かれた傷口から
無数のインコが飛び出していく
いつか名札も返して欲しい
14
紙の港から出航した
一隻の船を
雌カマキリが
美味しそうに食べた
石積みの橋の上
兄弟の内緒話は終わる
15
水の自転車を引きずり
隣の家の人が
習い事をしに行く
光合成の真似をしたまま
僕が昨日から帰ってこない
16
渋谷も池袋も失った
品川の交差点
余白を残したまま
講堂は突っ伏していた
そしてそれからのこととして
人々の足音が
少し遅れてやってくる
17
宿泊棟の窓から
吏員が風船を投げた
はたしてあれは
誰の幸せだったろう
僕は時計のように
口を開けて立ってる
18
ホテルの前に男は立っていた
女が来て
男はホテルをポケットにしまった
一面のお花畑が現れた
女はお花畑をバッグにしまった
一面、だけが後に残されて
二人は週末まで
ジャムを塗り続けた
19
壁から男が出てきた
男はその日
壁を直した
僕から男が出てきた
男はその日
柿のようなものを触った
20
青ヤギと赤ヤギが
白ヤギと黒ヤギの
噂をしていた
海は既に顎のところまで迫っていた
落ちていく日を見ながら
世界は美しいのかもしれない
と思った
明日も牧草の良い匂いが
嗅げる気がした
ジャングルジムの上で
傘の脱皮を手伝う
またやってくる
次、のために
海水浴の帰り道
人の肌が一様に湿っている
12
ピアノを弾くと
鍵盤がしっとり柔らかくて
むかし手をつないだ人の
指に似ている
かいているのは本当に汗だろうか
ハンカチで顔を拭いても
パイプ椅子のような感じしかしない
13
空に向かって開かれた傷口から
無数のインコが飛び出していく
いつか名札も返して欲しい
14
紙の港から出航した
一隻の船を
雌カマキリが
美味しそうに食べた
石積みの橋の上
兄弟の内緒話は終わる
15
水の自転車を引きずり
隣の家の人が
習い事をしに行く
光合成の真似をしたまま
僕が昨日から帰ってこない
16
渋谷も池袋も失った
品川の交差点
余白を残したまま
講堂は突っ伏していた
そしてそれからのこととして
人々の足音が
少し遅れてやってくる
17
宿泊棟の窓から
吏員が風船を投げた
はたしてあれは
誰の幸せだったろう
僕は時計のように
口を開けて立ってる
18
ホテルの前に男は立っていた
女が来て
男はホテルをポケットにしまった
一面のお花畑が現れた
女はお花畑をバッグにしまった
一面、だけが後に残されて
二人は週末まで
ジャムを塗り続けた
19
壁から男が出てきた
男はその日
壁を直した
僕から男が出てきた
男はその日
柿のようなものを触った
20
青ヤギと赤ヤギが
白ヤギと黒ヤギの
噂をしていた
海は既に顎のところまで迫っていた
落ちていく日を見ながら
世界は美しいのかもしれない
と思った
明日も牧草の良い匂いが
嗅げる気がした
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2007/07/19 (Thu)
詩群「その海から」
「序詞」
ゆりかごの中で
小さな戦があった
理不尽な理由とプラントが
長い海岸線を覆いつくした
けたたましくサイレンが鳴り響き
その海から人は
眠りにつくだろう
01
鳥は籠の外にいた
人は籠の中にいた
籠は夕日
海はいつものように
言葉で濁っていた
02
階段で数名の男と女が
アメリカ式のパーティーをしている
それがいったい
どこの国のアメリカだったか
アンクル・ボブの人差し指に
アキアカネが止まった
03
駅舎から煙突が生えて
子供たちは砂場の砂を
壊し続ける
栞だと思ったら
あなたの目だったので
どこまで読んだか
もうわからない
04
箪笥の引き出しを開けたまま
男は寝た
朝起きても
引き出しは開いていた
七時の時報を聞いて
男は部屋を出た
終日
そのような感じだった
05
ショウリョウバッタ
その隣に他のバッタの亡骸
その隣に曲がった草の形
隣に朽ちた部品
そして断片
人と呼ぶには確かに
遠いところだった
06
尻尾だけを残し
豚たちは行く
残された尻尾は
光らない蛍のように
ただ空を飛ぶのだった
わたし、は
ひとり、のそばで
草時計を編む
07
水道管に
飛行船が詰まった
紙
その向こうに
また紙は連続する
帰って、今日は
幼いから
08
古い木の雨戸は
あてどころもなく
ここで閉ざされていた
外、
王様の降り積もる音が聞こえる
09
紅茶を飲む僕の鼻先に
サーカスが来ていた
テント小屋の屋根に
穴を開けたのは誰
ピエロが一人
空に向かって落ちていった
10
解放を記念してつくられた広場で
子どもは風を捕まえた
おかずになれば母親が喜ぶと思った
そして今夜も青い玩具の車で
父親を轢いて遊ぶのだった
ゆりかごの中で
小さな戦があった
理不尽な理由とプラントが
長い海岸線を覆いつくした
けたたましくサイレンが鳴り響き
その海から人は
眠りにつくだろう
01
鳥は籠の外にいた
人は籠の中にいた
籠は夕日
海はいつものように
言葉で濁っていた
02
階段で数名の男と女が
アメリカ式のパーティーをしている
それがいったい
どこの国のアメリカだったか
アンクル・ボブの人差し指に
アキアカネが止まった
03
駅舎から煙突が生えて
子供たちは砂場の砂を
壊し続ける
栞だと思ったら
あなたの目だったので
どこまで読んだか
もうわからない
04
箪笥の引き出しを開けたまま
男は寝た
朝起きても
引き出しは開いていた
七時の時報を聞いて
男は部屋を出た
終日
そのような感じだった
05
ショウリョウバッタ
その隣に他のバッタの亡骸
その隣に曲がった草の形
隣に朽ちた部品
そして断片
人と呼ぶには確かに
遠いところだった
06
尻尾だけを残し
豚たちは行く
残された尻尾は
光らない蛍のように
ただ空を飛ぶのだった
わたし、は
ひとり、のそばで
草時計を編む
07
水道管に
飛行船が詰まった
紙
その向こうに
また紙は連続する
帰って、今日は
幼いから
08
古い木の雨戸は
あてどころもなく
ここで閉ざされていた
外、
王様の降り積もる音が聞こえる
09
紅茶を飲む僕の鼻先に
サーカスが来ていた
テント小屋の屋根に
穴を開けたのは誰
ピエロが一人
空に向かって落ちていった
10
解放を記念してつくられた広場で
子どもは風を捕まえた
おかずになれば母親が喜ぶと思った
そして今夜も青い玩具の車で
父親を轢いて遊ぶのだった