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こっそりと詩を書く男の人
  プロフィール
HN:
たもつ
年齢:
52
性別:
男性
誕生日:
1967/06/05
自己紹介:
こっそりと詩を書く男の人
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2020/03/29 (Sun)

 
朝、君のおでこにキスをする
そのまま頭蓋骨にかじりつく
前後逆だよ、と言うので
前後正しくかじると
痛い、と言う
僕はきれいな犬を飼って
周りの人に自慢したいと思った
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2020/03/27 (Fri)

 
午後のナイロビで
楷書体の委任状が
綴られている
天気予報は曇り時々雨
虫が入らないように
姉は海側の窓を閉めて
虫が入ると困るから、と
説明した‬

2020/03/22 (Sun)

 
市民プールに雪が降る
ハムを食べ過ぎたと言って
嘔吐しているうちに
友達の一人は
立派な大人になった
紙のような声で鳴く鳥が
夜明けのある方へと飛ぶ
その頃になると
すべては塩辛く許されている

2020/03/20 (Fri)

 
ケント紙の家の中で
リンゴを煮ていると
蟻が集まってきて
椅子の傾きを直してくれる
サーカスのあった夜
話もないのに
冷蔵庫を開けた
2020/03/19 (Thu)

 
お金を数えていたはずなのに
気がつくと
銀行の人は月をつくっていました
せっかくなので
何もない空に飾りました
自転車が売り切れた自転車屋では
ジェットコースター
という名前の犬が
水をがぶ飲みしています
わたしはこれから
松田さんのお通夜に行きます
久しぶり、と
一言伝えたかった

2020/03/18 (Wed)

71

右手に吹いた風が
左手に届く
200CCの献血
等級の低い列車で
ここまで来た
会議が始まる


72

プラスチックの空
消し忘れた電線の跡
眠るだけ眠ると
羊たちは巣に帰って行く
色彩豊かな
廃車に乗って


73

寝不足の犬が長い坂道を下る
開け放たれた窓から
今日の天気予報が流れてくる
停留所にバスがとまり
浮き輪を身に着けた人が
次々と降りてくる
遥か彼方の海を目指して
ここからは皆
歩いて進まなければならない


74

水平線の匂いがする
黒板消しは今日もどこかで
私の背中を
消しているにちがいない
百葉箱を開ける
台風が音を立てている


75
 
送電線の中で
キャッチボールをする
刻々と夕闇は深まり
私たちはいくつもの
ボールを失ったのだった
何事にも負けない、
そう決めた時から
アジのひらきが好物となり
ホッケもたくさん食べた


76

虹の真下で受話器を取った
誰かの息継ぎだけが聞こえる
私は海について
知っていることのすべてを
話すように努めた
昼休みの造船所から
人が出てくる


77

前線が停滞して
私たちのトビウオは
飛ぶべき空を失った
バスに乗って行こうか
掌と同じ色のバスに乗って
話ができるくらいの距離で


78

駐車場を指で触っている
紙の上では革命
逃げ場のない独裁者は
「うみ」と書いて
その中に飛び込む
何事もなかったかのように
さっきから
自転車が壊れている


79

失踪した運転士をさがして
モノレールが夜の街を走る
私たちはは美味しいご飯を
食べたかっただけなのに
食器を指紋で汚し続けた
明日の朝は早く起きて
入道雲を捕まえに出かける


80

喉に刺さった魚の骨を
抜いている間に
弁当屋は解体され
更地は売りに出された
水族館ができるといいねと
子供たちは噂し合った
海も川もない街だった
それでも風だけはいつも
豊富に吹いた

2020/03/17 (Tue)


冷蔵庫を買いに出かけた 
途中、空港に寄って
パイロットの友人と会った 
友人はペットのモンキーと遊んでいた
モンキーは滑らかに動いていた 
餌も食べていた 
週末には海に行くと言った 
空港の脇道を抜けて 
家電量販店に向かった
冷蔵庫売り場にはたくさんの冷蔵庫が並んでいた 
店員さんはお勧めの冷蔵庫の前に案内してくれた 
それから冷蔵庫の型番を読み上げてくれた 
いろいろな型番があったけれど 
結局気に入った色のを買うことにした
店員さんも週末に海に行くと言った 
面識のない二人が偶然海で会ったら 
どんな顔をするのだろうか
冷蔵庫は四、五日以内に届くそうだ 
その間に起こりうる不便なことと
不便ではないことをいくつか考えてみた
帰りに遠回りをして書店に寄った 
昔ここにいた友人は
今はもういない 
冷蔵庫を使うのに役立つ本を買った
2020/03/16 (Mon)

 
身体の中に
雨が降る
雨は水になる
集めると
水になる

川の字になって寝る
真ん中は
いつも私だった

結婚し、子どもが産まれ
いつしか右端で
身体を少し曲げながら
寝るようになった

明方、安宿の窓を開ける
川の音がする
誰が名付けたのか
雨が降ってる
2020/03/15 (Sun)

 
百葉箱に住んでいた校長先生が 
退職することとなった 
わたしたちはそれを寂しいことと思い 
お別れの言葉と
鯖を送ったのだった 
美味しい鯖ですね、と 
校長先生は美味しそうに食べた 
校長先生が鯖を食べるところを初めて見たし 
鯖が好きだということも初めて知った 
退職後は海の見える百葉箱に引っ越しをするそうだ 
これから鯖を見るとみんなのことを思い出します
と言うけれど 
わたしたちを見ると鯖のことを思い出すのだろうか 
それとも生きることは 
みんなに等しく辛いことなのだろうか 
遅くならないうちにお帰りなさい 
ということを校長先生は言って 
わたしたちは適宜解散し
卒業を終えた 
2020/03/14 (Sat)

 
霊安室に母が椅子を並べている
「みんな死んだのよ」
いつこの仕事に就いたのだろう
死んだ体を扱うように
丁寧な手つきで並べていく
手伝おうとすると
「いいのよ、毎日、お仕事、大変でしょう」
と言う
父のことを聞くと
「最初からいないでしょう」
俯いて答える
そんなはずはないと思い
父の特徴を思いだそうとするけれど
すべてが椅子の特徴になってしまう
遊園地にも三人で行ったはずなのに
母と二人で椅子に座ったことしか
もう思いだせない
乾いた木と金属の音が室内に響く
「あなたは人だから」と呟いて
母は下を向いたまま椅子を並べ続ける
胸につけた名札が揺れる
一字違いで花の名前になれない
母は昔からそういう人だった
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* ILLUSTRATION BY nyao *