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こっそりと詩を書く男の人
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たもつ
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50
性別:
男性
誕生日:
1967/06/05
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こっそりと詩を書く男の人
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2010/03/14 (Sun)

61
 
窓口で明日のことを聞く
明後日のことはわからないと言う
 
犬の尻尾を握ったまま
数日が過ぎた
 
公印の刷り込まれた
きれいな色の証明書が届く
 
 
62
 
受話器を取ると
波音が聞こえる

海は何を伝えたかったのだろう
その海では
伝えたくないことばかり
生まれてくるというのに
 
でも僕は
ソファに広がっている
 
 
63
 
室長にひびがはいる

スペイン語で書かれた懸案事項は
昔からずっと
偽物のまま

分断して
蒸気船が入港する
 
 
64
 
駅名の無い駅で
ベンチに座り
来るはずのない人の名を
待っている
今日は言葉の代わりが
見つからないので
チューリップの絵を描いて
終日過ごす
 
 
65
 
メニューに
僕の名前が書いてあった
 
隣の席の人が僕を注文したので
こちらへどうぞ
と店員に案内される
 
注文した人と対面する
負傷した人たちが
帰還してくるのが見える
 
 
66
 
慈しんだ
あの空を
この朝を
食卓のピーナッツバターを
素晴らしい、素晴らしいと言っても
それを咎める者など
誰もいなかった
   
  
67 
 
眠っている人の
まぶたを押して歩く
 
みな安らかな寝顔なのに
淋しさや悲しみの類の答えが
返ってくる

屋根に星屑が降り積もる
朝までには
すべて溶けるのだろう
  
 
68
 
豆腐専用のポストに
豆腐を投函する
家に帰ってから
絹ごし用の方に
木綿を入れてしまったことに気づく
誰かに謝りたくて
果物でも剥こうと思ったけれど
昨日から台所が壊れている
  
  
69
 
家の裏に都会がある
華やいだ人々のざわめきや
乗り物の動いている音がする

一度行ってみたいのに
家の裏へと続く
道が見つからない

都会のある方の壁に
窓と
窓から都会を覗く
自分の絵を描いてみる
 
 
70
 
無人のお花畑に
パラシュートを開いたベッドが
落下する
揚げたてのコロッケを
たくさん積んで
 
もし新しい子が生まれたら
白い色鉛筆を持たせてあげよう
好きなものを
好きな形で
描けるように



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2007/09/09 (Sun)
ポケットが汚れ始めている
待合室は朝から眠たい
何かの整備工の人が
口を動かしている
語りかけるように
沈黙を選ぶ言葉があった
目を閉じようとすると
少しばらばらになる
水が優しい濃度の塩分を含み
つなぎとめている
空の遠いところを
爆撃機が行く
守ることではなく
守られることに慣れてしまった
僕たちは何度も殺しあい
笑いあい、そしてまだ
愛していたのだ

2007/08/28 (Tue)
木陰に砂糖菓子のような
駅をつくって
少女は列車を待ってる

関連づけられるものと
関連づけられないものとが
交互に、時には順序をかえて
やってくる
皮膚に触れば
それは風のことだと思う

力なく首のくずれる子犬は
数少ない死の経験であり
やがてはそのうちのひとつ
になるにちがいなかった

列車が来るまで少女は歌う
楽しげな童謡もあったが
知っているすべてを
歌うしかなかった
  
2007/08/22 (Wed)
午前、すべての音を忘れ
掌からこぼれていく
ものがある
極東と呼ばれる
工業地帯のある街で
あなたは忘れられない
いくつかの日付をもち
数えながら折る指に
僕は気づいてはいけなかった
身支度して
パジャマを買いに行く
明日もまた変わらない朝がくる
と強く信じることもなく
それは何かの予感のように
またひとつ
掌からこぼれていくのだった
 
 
2007/08/18 (Sat)
51

手に速度が馴染む
坂道は距離のように続き
俯瞰する
鶏頭に良く似た形の湾に
昨晩からの雪が落ちている
ポケットに手をつっこめば
速度はあふれ出し
また新たな速度が生成される
少しの背伸びをする
白いソックスの真新しさ
言葉は誰をも裏切らない
裏切るのはいつも意味だ



52

難破船に良く似た背格好で
女の頭は枕の上にあった

すぐ側まで夕暮れは押し寄せ
女は何も言わない人のように
沈黙の中にいた

僕は近くの駅から快速列車に乗る
窓の外、触れないものがある
すべて景色だった



53

中村さんちのご近所で
海がひとつ発見された
大きくも小さくもなかった
夏が始まる頃
中村さん
次男になってた
泣きたい人は
泣いてかまわなかった



54

何よりも助走を
愛した父親たちは
助走の途中で
自らの心臓を止めた
薄いパラフィン紙が残され
魚たちの休憩所になった
良く見れば
数えることもできた



55

二酸化炭素に描いた夢を
団体職員たちが
追いかけていく

地表の近くは
ハンガーの匂いで
賑わい、そして

小さすぎて
誰にも聞えることはなかった
つぼみも
誤解も



56

ヒグラシ色のバスが
人と同じくらいのものを乗せて
走っていく
どこまでも溢れそうな
海岸通り
静かに
海戦が始まっている



57

古くからの友人が
おぼつかない言葉を使って
雑誌をめくっている

耳の穴から
鮮やかな山ぶどうが生えている

声をかけようとして
もう誰もいないかもしれなかった



58

共通の話題の中を
一羽の鳥が飛ぶ
くちばしや羽毛の様態
速度の美しさ
などについて語った
ただあの日
あなたはそれを見守り
僕は見捨てたのだった



59

羅列から
滲んでいる
湿った粘土
のような
午後の塊
男も女も
うねり
自分の陰毛に
むせんだ



60

鳴く電灯があったので
となりに
鳴かない電灯を置いた
テーブルは墓石のように
きれいに磨かれていた
ほぐれていくね
握った手を開くと指は
どこまでも伸びていかなくて
ヒツジみたいに
あなたを愛した
お伽噺は
いつもそこで終わっている


2007/08/14 (Tue)
 
庭に雑踏が茂っていた
耳をそばだてれば
信号機の変わる音や
人の間違える声も聞こえた
ふと夏の朝
熱いものが
僕の体を貫いていった
雑踏は燃え尽きた
かもしれないが
庭土に刻印された日付を
人は語り続け
それは語らないことと
何も変わらない
網を持たずに出かけた子供は
低いところで弱っていたセミを
一匹捕まえて
戻ってくる途中だった
 
 
2007/08/05 (Sun)
41

市民会館の大ホールを
ゼリーは満たしていた
屋外では雨が
土埃の匂いを立てている
観客の思い浮かべる風景は
みな違っていたが
必ずそれはいつか
海へとつながっていた



42

遠い親戚の
燃えるような匂いがしている

あなたの折る鶴の顔は
みな優しい

原野に置かれた輪転機は
誰にも迷惑をかけなくなった



43

ひたすらコーヒープリンを
食べ続けた夏があった
風は脈拍や鼓動の近くを吹き
僕はその夏
届出する書類もなく
自分の名前を書くことはなかった
ただ薄い皮膚が破れないように
気をつけていた



44

雲のお墓に
壊れた自転車を捨てに行く
途中、虫の社宅に
陽光は惜しみなく注ぎ
非番の者が平たくなって
ベランダに干されている
星の準備に忙しいのだ



45

レールはきみだ
枕木はぼくだ
二人で寝転んで
そのまま
今日も電車来なかったね、と
ぼくらの地下鉄ごっこは終わる



46

鉄棒の近くで
あなたの柔らかい体を拭く
懐かしい感じしかしないのに
あなたの背中には汗疹があって
僕にひりひりと痛い
前回りを一回して
タオルを洗いに行く
逆上がりは
あなたが死んでから
練習しようと思う



47

馬は海を見ている
その尻尾にはランプのように
ほのかな灯がともっている
待合室のソファーでは
妹のいない船長が
簡単な説明を受けて頷いてる



48

人々の歓声があがったので
そちらの方を見ると
人々、に良く似た
一人の人だった
他人事とは思えない
上手な埋め方を
おぼつかない
手つきで
口つきで



49

ホームセンターの
生活雑貨売場に
誰かの修飾語がうちあげられていた
もう何も修飾することなく
干からびるのを待つだけだった
さしたる根拠のある話でもないけれど
その場所からはいつも
男が自慰をする
狭そうな窓が見えた



50

夜が明けるころまで
足に合う靴を探し続ける玄関が
海の前に広がっている
やがて足音は魚影となり泳ぐのだが
まぶた、と思うとそれは
静かに閉じられてしまうのだった


2007/07/27 (Fri)
31

世界が坂道と衝突する
アゲハチョウの羽が
誰かの空砲になって響く

内海に
大量のデッキブラシが
投棄された夏

遠近法のすべてを燃やして
子等は走る



32

首府は雨季をむかえていた
人と同じ生き物が
街中のいたるところで
影をつくっていた
皮膚病の犬がかわいそうに
水をたくさん飲んでいる
地主を名乗る男の
さっきからうるさい、瞬きが



33

昨日、家に
好き嫌い、が遊びに来て

好き嫌い、をたくさん言って

サルとワニの
追いかけっこは果てしなく続き

以下同文
のような笹舟に乗って
少し遭難していた



34

男は腕を組んでいた
腕から先は
肩も胴も頭も脚も
空っぽだった
十姉妹の形と
雨どいの静かな朝を
愛してやまなかった



35

夏至の入道雲が石化して
地面に落下し始めていた
僕の気配は時々あなたに似ている
例えばシャツの端をつまむ
その一連の仕草など
抜け殻のような虫の鳴き声
旧街道に並ぶ窓の内側では
この瞬間にも
いくつかの生と嘘が囁かれている



36

りんごの中で少年たちが
キャッチボールをしている
りんごの味をまだ
言葉でしか知らない
やがてボールは意味となり
りんごの中を転がって行く
少年たちはまだ知らない
本当は自分自身が
言葉であることを



37

風呂桶に
フルーツが
ふたつ
うかぶ
そのことは
今日の僕らの幸せであり
どこか、という
不特定の場所では大層な
不幸せだった



38

雨のようなところで
手回しオルガンを奏でている

しちがつ、
を思うと
祭りはいつも
かさぶたと間違われてしまう

良かった、人は
虹と少し似ていなくて



39

係長さんが
トンネル工事から
帰ってきた

今日も
長いものと
短いものとが
溢れて
ありふれていたよ
と、係長さん

そしてまた
さんずい
のような格好をして
ケヤキの近く
買い物をするに
違いなかった



40

どこまでも伸びる
手、そして
それに附随するもの

あやふやなものばかりを
僕らは大事にしてしまう

あなたの発した、ん、で
しりとりが今
終了した



2007/07/23 (Mon)
21

カレンダーを見ると
夏の途中だった
日付は海で満たされていた
子供だろうか
小さな鮫が落ちて
少し跳ねた
恐くないように
拾って元に戻した



22

フライパンが笑っていた
自分を鳥類図鑑か何かと間違えていたのだった
図鑑は笑わないことを教えてあげた
図鑑のように笑わなくなった
静かに朝の始まる頃
台所の方から
鳥の羽ばたく音が聞こえてくる



23

朝、一人の銀行強盗が
なくした僕のブランコを
届けに来てくれた
特に困っていたわけでもなかったが
なければないで少し不便にしていた
一日草の花びらが後から
僕の名前を呼んだ
他の名前を呼ばれても
たぶん気づかなかった



24

水槽と同じ匂いの犬が
古ぼけた庭を走り回っている

無言で門扉を直す豆腐売りの
懐かしい肩だけが見える

他がどうなってるか
知る人も今では少なくなった



25

あなたの肋骨と肋骨の間に
一区画の土地がある
あなたが家を造っている
造りかけの家に
夕食時の家族の団欒がある
僕もその中の一人だった
人数を数えていたら
あなたはパジャマを直して
肋骨を閉じた



26

リトマス試験紙が
赤く反応した
近くのやかんには
湯冷ましが半分入っていた
プラスチックの何か
塊のようなものがあった
空には
虹以外のものがかかっていた



27

針葉樹林に雨
人々の労働は原型を留め
たしかに僕の手は
何かを働いていた
カウンターにライス
針葉樹林に雨
生きる、の発音が
うまくいかない



28

傘の柄に書いた名前が
消えかかっていたので
それならばいっそ
消して書き直そうと思って
実際に消してみると
簡単に消えた
それからもう一度書いた
季節とかそういう話ではなく
何かに期待してはいけない
いつもその言葉のとおりだった



29

なにもない、
があった

空から
なにもない、
が降って
なにもない、
に優しく
積もった

なにもない
ただあなただけが椅子に座り
靴のサイズを
気にかけていた



30

壁と壁の隙間で
人は靴擦れし続けた
いくつもの朝があり
newspaperは配られ続けた

わたし、を名乗れば
わたし、はいつも
わたし

異物を飲み込んだ子供たちが
診療所でどこまでも
列をつくっている

その幸せを
人は信じ続けた

2007/07/22 (Sun)
11

ジャングルジムの上で
傘の脱皮を手伝う

またやってくる
次、のために

海水浴の帰り道
人の肌が一様に湿っている



12

ピアノを弾くと
鍵盤がしっとり柔らかくて
むかし手をつないだ人の
指に似ている
かいているのは本当に汗だろうか
ハンカチで顔を拭いても
パイプ椅子のような感じしかしない



13

空に向かって開かれた傷口から
無数のインコが飛び出していく
いつか名札も返して欲しい



14

紙の港から出航した
一隻の船を
雌カマキリが
美味しそうに食べた

石積みの橋の上
兄弟の内緒話は終わる



15

水の自転車を引きずり
隣の家の人が
習い事をしに行く
光合成の真似をしたまま
僕が昨日から帰ってこない



16

渋谷も池袋も失った
品川の交差点
余白を残したまま
講堂は突っ伏していた
そしてそれからのこととして
人々の足音が
少し遅れてやってくる



17

宿泊棟の窓から
吏員が風船を投げた

はたしてあれは
誰の幸せだったろう

僕は時計のように
口を開けて立ってる



18

ホテルの前に男は立っていた
女が来て
男はホテルをポケットにしまった
一面のお花畑が現れた
女はお花畑をバッグにしまった
一面、だけが後に残されて
二人は週末まで
ジャムを塗り続けた



19

壁から男が出てきた
男はその日
壁を直した

僕から男が出てきた
男はその日
柿のようなものを触った



20

青ヤギと赤ヤギが
白ヤギと黒ヤギの
噂をしていた

海は既に顎のところまで迫っていた

落ちていく日を見ながら
世界は美しいのかもしれない
と思った

明日も牧草の良い匂いが
嗅げる気がした

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* ILLUSTRATION BY nyao *