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こっそりと詩を書く男の人
  プロフィール
HN:
たもつ
年齢:
58
性別:
男性
誕生日:
1967/06/05
自己紹介:
こっそりと詩を書く男の人
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2006/02/10 (Fri)
彫りの深い司会者が
深い彫りの中で溺れて
ウェディングケーキはもう
瞼の中でしかカットされない

花束を越えて
何度も生まれてかわろうとする
たくさんの父と母は
まだ静かなまま
人の子ども

とても虚しい日だね
どんなに言葉を積み上げても
何も語れない

新郎新婦のいない会場で
誰もいない招待客が
小さく欠伸をして
式はただ淡々と進行していく

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2006/02/09 (Thu)
涙の中を泳ぐ魚がいて
僕の源氏名はまだ忘れられたまま
あなたは僕の順番となり
順番は花びらのびらとなり
そのことで誰も困りはしない
こうして縮まった身体をひょうっとすれば
僕らの不在は電話でのみ確認されてしまう
大きく開かれた口の中
僕はあなたのスリッパを履き続け
書き終わらない卒論のまだ一行目あたり
を指でいじりまわしている
軒下という軒下では靴下のように
たくさんの人が歌われて今日も悲しい
その間にも理髪師のハサミは
意味の無い記号を切り刻んでいる
既に僕らに意味は無いのだから
ああ、眼鏡色の丘の上に立ち
僕はあなたのえくぼが好きだったのだと
さっき気づいたばかりなのだ
2006/02/09 (Thu)
疲れてピアノが寝ていた
狭いピアノだったので
添い寝をすることもできた
やがて、か
間もなく、か
多分それくらいのことだろう
僕であることを間違えた僕を乗せて
草の列車が発車する
できるだけ一番寒くない格好をして
見送ってあげたかった
2006/02/05 (Sun)
一頭の牛が
ブランコを押してくれた
こんなに高くは初めてで
空だけがきれいに見えたけれど
必ず元の場所に戻って
どこにも進むことはなかった
明日食べられるのだ、と
牛は言った
食べられた後はどうなるのだろう
牛にもそれはわからなかった
背中に伝わる牛の力は
すでに夕日に似ていた
気をつけて
牛さんも気をつけて
誰にもわからない明後日のことを考えながら
酷いことを言ってしまったと
泣きながら帰った
2006/02/04 (Sat)
駅前にはたくさんの
駅が並んでいて
降り出した雨に
みな一様に同じ音をたてている
線路は出鱈目にひかれ
それでも人は
誰かを待ち続けなければならない
世界で一番
悲しく笑うために
2006/02/04 (Sat)
世界で一番悲しい人が笑った
花のようだった
花の名前と同じ速度で
列車は走った
良い陽が入るね
そう話す乗客たちの袖口は
等しく汚れていた
窓の外にはいつも窓の外がある
ということにみな安心していたけれど
それを希望と呼ぶには
まだ誰の指先も生まれてなかった
2006/02/01 (Wed)
あめに にた人がいたので
かさにいれてあげた
もうふらなかった
その人はぼうしをぬぐと
きれいなにじを見せてくれた
それからぺこりとえしゃくして
だれかのそうしきに行ってしまった
2006/01/29 (Sun)
ほら あの先生はからしあじ

だからだれも食べようとしないのさ

ほら でも うでのきず

むかし 食べようとした せいとのはがたさ

そのせいとは どうなったかって?

いまではむらで六ばんめにせの高いおとなだよ
2006/01/27 (Fri)
水槽の中には
迷い込んだ
ひとつコブの駱駝がいて

その上は
とても静かなので
置かれるものがない

それをあなただけの
目が見ている

寝癖が空調にそよぎ
わたしはもう
何も奪わなくてよかった
2006/01/25 (Wed)
白線の内側におさがりください
融けかかった身体が通過して行きます
主成分は耳とし耳けるもの
声のいくつか
危険ではありませんが
触れると昔を思い出して
いささかに寂しい
窓とし窓けるものに
なるべく沢山の履歴書を貼りましょう
苦労されたのですね
と言われることは本意でなくとも
それもまたここでの規則なのです
生まれてこなかった者のために
「わたし」を発音しないでください
それは何をも免罪しませんから
ただ白線の内側でお待ちください
やがて半島にくる放課後のように
右も左も同じ速度で壊れていきます

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* ILLUSTRATION BY nyao *