プロフィール
HN:
たもつ
年齢:
58
性別:
男性
誕生日:
1967/06/05
自己紹介:
こっそりと詩を書く男の人
ブログ内検索
カテゴリー
月間アーカイブ
最新コメント
[09/10 GOKU]
[11/09 つねさん]
[09/20 sechanco]
[06/07 たもつ]
[06/07 宮尾節子]
最新トラックバック
カウンター


彫りの深い司会者が
深い彫りの中で溺れて
ウェディングケーキはもう
瞼の中でしかカットされない
花束を越えて
何度も生まれてかわろうとする
たくさんの父と母は
まだ静かなまま
人の子ども
とても虚しい日だね
どんなに言葉を積み上げても
何も語れない
新郎新婦のいない会場で
誰もいない招待客が
小さく欠伸をして
式はただ淡々と進行していく
深い彫りの中で溺れて
ウェディングケーキはもう
瞼の中でしかカットされない
花束を越えて
何度も生まれてかわろうとする
たくさんの父と母は
まだ静かなまま
人の子ども
とても虚しい日だね
どんなに言葉を積み上げても
何も語れない
新郎新婦のいない会場で
誰もいない招待客が
小さく欠伸をして
式はただ淡々と進行していく
PR


涙の中を泳ぐ魚がいて
僕の源氏名はまだ忘れられたまま
あなたは僕の順番となり
順番は花びらのびらとなり
そのことで誰も困りはしない
こうして縮まった身体をひょうっとすれば
僕らの不在は電話でのみ確認されてしまう
大きく開かれた口の中
僕はあなたのスリッパを履き続け
書き終わらない卒論のまだ一行目あたり
を指でいじりまわしている
軒下という軒下では靴下のように
たくさんの人が歌われて今日も悲しい
その間にも理髪師のハサミは
意味の無い記号を切り刻んでいる
既に僕らに意味は無いのだから
ああ、眼鏡色の丘の上に立ち
僕はあなたのえくぼが好きだったのだと
さっき気づいたばかりなのだ
僕の源氏名はまだ忘れられたまま
あなたは僕の順番となり
順番は花びらのびらとなり
そのことで誰も困りはしない
こうして縮まった身体をひょうっとすれば
僕らの不在は電話でのみ確認されてしまう
大きく開かれた口の中
僕はあなたのスリッパを履き続け
書き終わらない卒論のまだ一行目あたり
を指でいじりまわしている
軒下という軒下では靴下のように
たくさんの人が歌われて今日も悲しい
その間にも理髪師のハサミは
意味の無い記号を切り刻んでいる
既に僕らに意味は無いのだから
ああ、眼鏡色の丘の上に立ち
僕はあなたのえくぼが好きだったのだと
さっき気づいたばかりなのだ


疲れてピアノが寝ていた
狭いピアノだったので
添い寝をすることもできた
やがて、か
間もなく、か
多分それくらいのことだろう
僕であることを間違えた僕を乗せて
草の列車が発車する
できるだけ一番寒くない格好をして
見送ってあげたかった
狭いピアノだったので
添い寝をすることもできた
やがて、か
間もなく、か
多分それくらいのことだろう
僕であることを間違えた僕を乗せて
草の列車が発車する
できるだけ一番寒くない格好をして
見送ってあげたかった


一頭の牛が
ブランコを押してくれた
こんなに高くは初めてで
空だけがきれいに見えたけれど
必ず元の場所に戻って
どこにも進むことはなかった
明日食べられるのだ、と
牛は言った
食べられた後はどうなるのだろう
牛にもそれはわからなかった
背中に伝わる牛の力は
すでに夕日に似ていた
気をつけて
牛さんも気をつけて
誰にもわからない明後日のことを考えながら
酷いことを言ってしまったと
泣きながら帰った
ブランコを押してくれた
こんなに高くは初めてで
空だけがきれいに見えたけれど
必ず元の場所に戻って
どこにも進むことはなかった
明日食べられるのだ、と
牛は言った
食べられた後はどうなるのだろう
牛にもそれはわからなかった
背中に伝わる牛の力は
すでに夕日に似ていた
気をつけて
牛さんも気をつけて
誰にもわからない明後日のことを考えながら
酷いことを言ってしまったと
泣きながら帰った


駅前にはたくさんの
駅が並んでいて
降り出した雨に
みな一様に同じ音をたてている
線路は出鱈目にひかれ
それでも人は
誰かを待ち続けなければならない
世界で一番
悲しく笑うために
駅が並んでいて
降り出した雨に
みな一様に同じ音をたてている
線路は出鱈目にひかれ
それでも人は
誰かを待ち続けなければならない
世界で一番
悲しく笑うために


世界で一番悲しい人が笑った
花のようだった
花の名前と同じ速度で
列車は走った
良い陽が入るね
そう話す乗客たちの袖口は
等しく汚れていた
窓の外にはいつも窓の外がある
ということにみな安心していたけれど
それを希望と呼ぶには
まだ誰の指先も生まれてなかった
花のようだった
花の名前と同じ速度で
列車は走った
良い陽が入るね
そう話す乗客たちの袖口は
等しく汚れていた
窓の外にはいつも窓の外がある
ということにみな安心していたけれど
それを希望と呼ぶには
まだ誰の指先も生まれてなかった


あめに にた人がいたので
かさにいれてあげた
もうふらなかった
その人はぼうしをぬぐと
きれいなにじを見せてくれた
それからぺこりとえしゃくして
だれかのそうしきに行ってしまった
かさにいれてあげた
もうふらなかった
その人はぼうしをぬぐと
きれいなにじを見せてくれた
それからぺこりとえしゃくして
だれかのそうしきに行ってしまった


ほら あの先生はからしあじ
だからだれも食べようとしないのさ
ほら でも うでのきず
むかし 食べようとした せいとのはがたさ
そのせいとは どうなったかって?
いまではむらで六ばんめにせの高いおとなだよ
だからだれも食べようとしないのさ
ほら でも うでのきず
むかし 食べようとした せいとのはがたさ
そのせいとは どうなったかって?
いまではむらで六ばんめにせの高いおとなだよ


水槽の中には
迷い込んだ
ひとつコブの駱駝がいて
その上は
とても静かなので
置かれるものがない
それをあなただけの
目が見ている
寝癖が空調にそよぎ
わたしはもう
何も奪わなくてよかった
迷い込んだ
ひとつコブの駱駝がいて
その上は
とても静かなので
置かれるものがない
それをあなただけの
目が見ている
寝癖が空調にそよぎ
わたしはもう
何も奪わなくてよかった


白線の内側におさがりください
融けかかった身体が通過して行きます
主成分は耳とし耳けるもの
声のいくつか
危険ではありませんが
触れると昔を思い出して
いささかに寂しい
窓とし窓けるものに
なるべく沢山の履歴書を貼りましょう
苦労されたのですね
と言われることは本意でなくとも
それもまたここでの規則なのです
生まれてこなかった者のために
「わたし」を発音しないでください
それは何をも免罪しませんから
ただ白線の内側でお待ちください
やがて半島にくる放課後のように
右も左も同じ速度で壊れていきます
融けかかった身体が通過して行きます
主成分は耳とし耳けるもの
声のいくつか
危険ではありませんが
触れると昔を思い出して
いささかに寂しい
窓とし窓けるものに
なるべく沢山の履歴書を貼りましょう
苦労されたのですね
と言われることは本意でなくとも
それもまたここでの規則なのです
生まれてこなかった者のために
「わたし」を発音しないでください
それは何をも免罪しませんから
ただ白線の内側でお待ちください
やがて半島にくる放課後のように
右も左も同じ速度で壊れていきます