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こっそりと詩を書く男の人
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たもつ
年齢:
58
性別:
男性
誕生日:
1967/06/05
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こっそりと詩を書く男の人
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2025/06/19 (Thu)
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2005/09/14 (Wed)
バスの回数券を一枚ずつ切り離す
私たちの遊びは既に失効している
終わりがないプレイルームで
延々と始まりだけが続き
つまるところ距離が無いという意味の部屋で
初めて見た虹を汚らしいと思った私たちは
それは奇麗なものなのだと教えてもらった
そして奇麗だと信じた私たちの
指先は今この瞬間にも何かと途切れている
今まで沢山の死に方を学び上手に物真似もできるのに
死体ごっこ、
そんな遊びをしてはいけないと大人たちは言う
テレビの中で炎上する街の美しさに歓喜の声を高らかに上げ
我こそは世紀の大悪党ブッシュである、という決め台詞に
大人たちはスイッチを切り
それは正義の味方の名だ、と
たった一つの真実を大切なことであるかのように告げる
その間にもバスは次々と操車場から出庫するので
回数券をすべて切り離してしまった私たちは
お互いの体毛をむしり取りお互いを相殺する
それでも禁じられてない遊びに夢中になりながら
どこかに繋がろうと無邪気に冷たい指先を伸ばす
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2005/09/12 (Mon)
「水」という字を見ると不安な気持ちになるので
女は薄目を開けて電話帳をめくる
おかげで大好きな「花」という字もぼんやりとかすんでしまう
今日はついてない
最後までめくり終えると印をつけ
積み上げられた山の一番上に置き新しい電話帳を手にする
延々と続けられるその作業
速度が常に一定に保たれた指先とページとのけじめは
既につかなくなりつつある
欠落した昨日と明日のちょうど真ん中くらいで
次々とめくられていくのは女自身である
女は何か卑猥な言葉を呟いてみたくなった

2005/09/12 (Mon)
秋の色と形に
よく似た人と走る

最初にゴールした僕が振り返ると
その人は笑っている
もう一度振り返ると
もう誰もいない

一等の賞品に
不細工に割れたコップをもらった

午後三時
季節の記述についてはそれだけの
早春である

2005/09/12 (Mon)
ネジを食べる
硬い
ネジ、硬いね
君も食べる
時々軟らかいのがある
不良品なので捨てる
そろそろご両親に挨拶に行きたいのだけど
言いそびれていた話を切り出す
君が嬉しそうに微笑む
お土産は何がいいかな
ええっと、ネジ
すべて食べずに残しておく
2005/09/09 (Fri)
あさ うたたねをしていたら

いつのまにか ひがくれていた

めがねをかけていて よかった

すべてはガラスいちまい

むこうのできごと 


2005/09/06 (Tue)
せっかく外に出たのだから
妻と娘に土産を買って帰りたかった
二人が泣いて喜ぶようなものではなく
小さな包みのもので構わない
ほんの少し甘いお菓子で
お土産買ってきたよ
あら、ありがとう
なんて大げさではないお礼を言われ
食べながら美味しいとか美味しくないとか
ありきたりの話を適当にする
家族の絆とか
そういうご大層なものではなく
僕ら家族三人を世界が放っておいてくれるような
そんな筏を買って帰りたかった
2005/09/02 (Fri)
フットサル
足元で猿
ボールを蹴りながら
猿回しの猿に
回されてますよ俺
舞わされてますよ俺
華麗なステップ
素敵なトラップ
フィット
チーネの味は
忘れました
あなたがいないから
いなくなったから
でもいますのよ猿
足元に猿
さて皆々さま
季節はすっかり猿めいてきました
グルーミングに夢中になりすぎて
忘れてはいけないものまで
忘れてしまった俺たち
つまりは俺と猿の契り
フットサル
ふっと
足元から去る猿
尻尾をつけた
それはあなたでした


2005/09/02 (Fri)
立っているだけで結構ですからと
レジ係を頼まれる
お客さんがカウンターにやってきたけれど
その言葉を忠実に守り立っているだけにする
約束事のように一人また一人と列に並び始める
お弁当コーナー
よく冷えた清涼飲料水コーナー
(本当に冷たいのか私は知らない)
エロ雑誌のコーナー
エロじゃない雑誌のコーナー
を経て列は店外へと伸びていく
並んでいるお客さんは始終無言でその様子は
私に何かを期待しているようでもあり
何も期待して無いようでもある
ただ皆一様に同じ目をしていて
かつて同じ目をした私も
どこかの列に並んでいた気がする
もはや最後尾は見えないところにある
列はどこまで伸びているのだろう
そう考えると夕刻まで間があるのに
果てしない光景の向こう側に広がっているのは
いつか見た夕暮れのようでもある
2005/09/01 (Thu)
机が坂を滑り落ちる
その形状を保ちながら
机が坂を滑り落ちていく
誰に目視されることもなく
他に滑り落ちるもののない坂を
机が机として滑り落ちていくのだ
ああ素晴らしき滑走!
けれどそれは何をも慰めはしない
いずれ大きな岩に叩きつけられ
大破するだけなのだから
はたしてその机は木製であった
と翌朝記事は伝えた
2005/09/01 (Thu)
ものすごく幅の広い男がいた
けれどものすごく薄かったので
風に吹かれ
簡単に飛んでいってしまった
やがてどこかに着地して
さっきみたいな感じでいるのだろう
そう考えると
何のありがたみも無い話だった

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* ILLUSTRATION BY nyao *