プロフィール
HN:
たもつ
年齢:
58
性別:
男性
誕生日:
1967/06/05
自己紹介:
こっそりと詩を書く男の人
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バスの回数券を一枚ずつ切り離す
私たちの遊びは既に失効している
終わりがないプレイルームで
延々と始まりだけが続き
つまるところ距離が無いという意味の部屋で
初めて見た虹を汚らしいと思った私たちは
それは奇麗なものなのだと教えてもらった
そして奇麗だと信じた私たちの
指先は今この瞬間にも何かと途切れている
今まで沢山の死に方を学び上手に物真似もできるのに
死体ごっこ、
そんな遊びをしてはいけないと大人たちは言う
テレビの中で炎上する街の美しさに歓喜の声を高らかに上げ
我こそは世紀の大悪党ブッシュである、という決め台詞に
大人たちはスイッチを切り
それは正義の味方の名だ、と
たった一つの真実を大切なことであるかのように告げる
その間にもバスは次々と操車場から出庫するので
回数券をすべて切り離してしまった私たちは
お互いの体毛をむしり取りお互いを相殺する
それでも禁じられてない遊びに夢中になりながら
どこかに繋がろうと無邪気に冷たい指先を伸ばす
私たちの遊びは既に失効している
終わりがないプレイルームで
延々と始まりだけが続き
つまるところ距離が無いという意味の部屋で
初めて見た虹を汚らしいと思った私たちは
それは奇麗なものなのだと教えてもらった
そして奇麗だと信じた私たちの
指先は今この瞬間にも何かと途切れている
今まで沢山の死に方を学び上手に物真似もできるのに
死体ごっこ、
そんな遊びをしてはいけないと大人たちは言う
テレビの中で炎上する街の美しさに歓喜の声を高らかに上げ
我こそは世紀の大悪党ブッシュである、という決め台詞に
大人たちはスイッチを切り
それは正義の味方の名だ、と
たった一つの真実を大切なことであるかのように告げる
その間にもバスは次々と操車場から出庫するので
回数券をすべて切り離してしまった私たちは
お互いの体毛をむしり取りお互いを相殺する
それでも禁じられてない遊びに夢中になりながら
どこかに繋がろうと無邪気に冷たい指先を伸ばす
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「水」という字を見ると不安な気持ちになるので
女は薄目を開けて電話帳をめくる
おかげで大好きな「花」という字もぼんやりとかすんでしまう
今日はついてない
最後までめくり終えると印をつけ
積み上げられた山の一番上に置き新しい電話帳を手にする
延々と続けられるその作業
速度が常に一定に保たれた指先とページとのけじめは
既につかなくなりつつある
欠落した昨日と明日のちょうど真ん中くらいで
次々とめくられていくのは女自身である
女は何か卑猥な言葉を呟いてみたくなった
女は薄目を開けて電話帳をめくる
おかげで大好きな「花」という字もぼんやりとかすんでしまう
今日はついてない
最後までめくり終えると印をつけ
積み上げられた山の一番上に置き新しい電話帳を手にする
延々と続けられるその作業
速度が常に一定に保たれた指先とページとのけじめは
既につかなくなりつつある
欠落した昨日と明日のちょうど真ん中くらいで
次々とめくられていくのは女自身である
女は何か卑猥な言葉を呟いてみたくなった


秋の色と形に
よく似た人と走る
最初にゴールした僕が振り返ると
その人は笑っている
もう一度振り返ると
もう誰もいない
一等の賞品に
不細工に割れたコップをもらった
午後三時
季節の記述についてはそれだけの
早春である
よく似た人と走る
最初にゴールした僕が振り返ると
その人は笑っている
もう一度振り返ると
もう誰もいない
一等の賞品に
不細工に割れたコップをもらった
午後三時
季節の記述についてはそれだけの
早春である


ネジを食べる
硬い
ネジ、硬いね
君も食べる
時々軟らかいのがある
不良品なので捨てる
そろそろご両親に挨拶に行きたいのだけど
言いそびれていた話を切り出す
君が嬉しそうに微笑む
お土産は何がいいかな
ええっと、ネジ
すべて食べずに残しておく
硬い
ネジ、硬いね
君も食べる
時々軟らかいのがある
不良品なので捨てる
そろそろご両親に挨拶に行きたいのだけど
言いそびれていた話を切り出す
君が嬉しそうに微笑む
お土産は何がいいかな
ええっと、ネジ
すべて食べずに残しておく


せっかく外に出たのだから
妻と娘に土産を買って帰りたかった
二人が泣いて喜ぶようなものではなく
小さな包みのもので構わない
ほんの少し甘いお菓子で
お土産買ってきたよ
あら、ありがとう
なんて大げさではないお礼を言われ
食べながら美味しいとか美味しくないとか
ありきたりの話を適当にする
家族の絆とか
そういうご大層なものではなく
僕ら家族三人を世界が放っておいてくれるような
そんな筏を買って帰りたかった
妻と娘に土産を買って帰りたかった
二人が泣いて喜ぶようなものではなく
小さな包みのもので構わない
ほんの少し甘いお菓子で
お土産買ってきたよ
あら、ありがとう
なんて大げさではないお礼を言われ
食べながら美味しいとか美味しくないとか
ありきたりの話を適当にする
家族の絆とか
そういうご大層なものではなく
僕ら家族三人を世界が放っておいてくれるような
そんな筏を買って帰りたかった


フットサル
足元で猿
ボールを蹴りながら
猿回しの猿に
回されてますよ俺
舞わされてますよ俺
華麗なステップ
素敵なトラップ
フィット
チーネの味は
忘れました
あなたがいないから
いなくなったから
でもいますのよ猿
足元に猿
さて皆々さま
季節はすっかり猿めいてきました
グルーミングに夢中になりすぎて
忘れてはいけないものまで
忘れてしまった俺たち
つまりは俺と猿の契り
フットサル
ふっと
足元から去る猿
尻尾をつけた
それはあなたでした
足元で猿
ボールを蹴りながら
猿回しの猿に
回されてますよ俺
舞わされてますよ俺
華麗なステップ
素敵なトラップ
フィット
チーネの味は
忘れました
あなたがいないから
いなくなったから
でもいますのよ猿
足元に猿
さて皆々さま
季節はすっかり猿めいてきました
グルーミングに夢中になりすぎて
忘れてはいけないものまで
忘れてしまった俺たち
つまりは俺と猿の契り
フットサル
ふっと
足元から去る猿
尻尾をつけた
それはあなたでした


立っているだけで結構ですからと
レジ係を頼まれる
お客さんがカウンターにやってきたけれど
その言葉を忠実に守り立っているだけにする
約束事のように一人また一人と列に並び始める
お弁当コーナー
よく冷えた清涼飲料水コーナー
(本当に冷たいのか私は知らない)
エロ雑誌のコーナー
エロじゃない雑誌のコーナー
を経て列は店外へと伸びていく
並んでいるお客さんは始終無言でその様子は
私に何かを期待しているようでもあり
何も期待して無いようでもある
ただ皆一様に同じ目をしていて
かつて同じ目をした私も
どこかの列に並んでいた気がする
もはや最後尾は見えないところにある
列はどこまで伸びているのだろう
そう考えると夕刻まで間があるのに
果てしない光景の向こう側に広がっているのは
いつか見た夕暮れのようでもある
レジ係を頼まれる
お客さんがカウンターにやってきたけれど
その言葉を忠実に守り立っているだけにする
約束事のように一人また一人と列に並び始める
お弁当コーナー
よく冷えた清涼飲料水コーナー
(本当に冷たいのか私は知らない)
エロ雑誌のコーナー
エロじゃない雑誌のコーナー
を経て列は店外へと伸びていく
並んでいるお客さんは始終無言でその様子は
私に何かを期待しているようでもあり
何も期待して無いようでもある
ただ皆一様に同じ目をしていて
かつて同じ目をした私も
どこかの列に並んでいた気がする
もはや最後尾は見えないところにある
列はどこまで伸びているのだろう
そう考えると夕刻まで間があるのに
果てしない光景の向こう側に広がっているのは
いつか見た夕暮れのようでもある


机が坂を滑り落ちる
その形状を保ちながら
机が坂を滑り落ちていく
誰に目視されることもなく
他に滑り落ちるもののない坂を
机が机として滑り落ちていくのだ
ああ素晴らしき滑走!
けれどそれは何をも慰めはしない
いずれ大きな岩に叩きつけられ
大破するだけなのだから
はたしてその机は木製であった
と翌朝記事は伝えた
その形状を保ちながら
机が坂を滑り落ちていく
誰に目視されることもなく
他に滑り落ちるもののない坂を
机が机として滑り落ちていくのだ
ああ素晴らしき滑走!
けれどそれは何をも慰めはしない
いずれ大きな岩に叩きつけられ
大破するだけなのだから
はたしてその机は木製であった
と翌朝記事は伝えた


ものすごく幅の広い男がいた
けれどものすごく薄かったので
風に吹かれ
簡単に飛んでいってしまった
やがてどこかに着地して
さっきみたいな感じでいるのだろう
そう考えると
何のありがたみも無い話だった
けれどものすごく薄かったので
風に吹かれ
簡単に飛んでいってしまった
やがてどこかに着地して
さっきみたいな感じでいるのだろう
そう考えると
何のありがたみも無い話だった