プロフィール
HN:
たもつ
年齢:
58
性別:
男性
誕生日:
1967/06/05
自己紹介:
こっそりと詩を書く男の人
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種子が私を追い越そうとしている
それはとても嫌なことなので
速度を上げる
と、背が少し伸びる
冬に逝った人の名を
夏の終わりになって
帳面に書き足す
遠くが見えるということは
かわいそうことなのだ
そう気づき始めている
種子が種子の中で発芽する
私が私の中で行方不明になる
それはとても嫌なことなので
速度を上げる
と、背が少し伸びる
冬に逝った人の名を
夏の終わりになって
帳面に書き足す
遠くが見えるということは
かわいそうことなのだ
そう気づき始めている
種子が種子の中で発芽する
私が私の中で行方不明になる
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この大きな水たまりは俺がつくってしまったのか
海を前にして蛇口は茫然と立ち尽くした
もしかしたら俺の栓を大事に開け閉めしてくれた人たちの家もどこかに沈んでいるのかもしれない
そう考えると居ても立っても居られなくなって
目の前にある水をすべて吸い上げ
細く暗い管のもっと奥にある得たいの知れないところに戻したくなる
海は凪いで港を出港した貨物船が沖へと向かうのが見える
ああ、俺はあんなものまで出してしまったのだ
蛇口はもう死にたい気持ちでいっぱいになったけれど何をもって蛇口の死というのか考えもつかない
泣こうにも真水ばかりが出て海水の塩分濃度を下げるばかりなのだ
海を前にして蛇口は茫然と立ち尽くした
もしかしたら俺の栓を大事に開け閉めしてくれた人たちの家もどこかに沈んでいるのかもしれない
そう考えると居ても立っても居られなくなって
目の前にある水をすべて吸い上げ
細く暗い管のもっと奥にある得たいの知れないところに戻したくなる
海は凪いで港を出港した貨物船が沖へと向かうのが見える
ああ、俺はあんなものまで出してしまったのだ
蛇口はもう死にたい気持ちでいっぱいになったけれど何をもって蛇口の死というのか考えもつかない
泣こうにも真水ばかりが出て海水の塩分濃度を下げるばかりなのだ


あなたの温かみと重みが
わたしの存在に加えられる
その重みで
わたしは少し沈む
ほんの少し
沈む、あなたのわからない程度に
支える四本の脚
と呼ばれているそれは
わたしの言葉
もしくは誓いのようなもの
あなたがいて
わたしは椅子
夜明けのリビング
わたしは確かにあるのに
無垢の木の床と擦れ
小さな産声もあげない
わたしの存在に加えられる
その重みで
わたしは少し沈む
ほんの少し
沈む、あなたのわからない程度に
支える四本の脚
と呼ばれているそれは
わたしの言葉
もしくは誓いのようなもの
あなたがいて
わたしは椅子
夜明けのリビング
わたしは確かにあるのに
無垢の木の床と擦れ
小さな産声もあげない


ラクダと探偵が恋に落ちた
ふたりは愛情を育んだが
所詮は偶蹄目と霊長目の許されぬ仲
お別れの日探偵は
沈むことのない夕日をプレゼントした
ラクダは泣き疲れ
二つのこぶをなくし
変な動物として
それでも生きた
探偵は夕日が沈むだけの街で
生きる
と同等の意味であり続けようとした
ふたりは愛情を育んだが
所詮は偶蹄目と霊長目の許されぬ仲
お別れの日探偵は
沈むことのない夕日をプレゼントした
ラクダは泣き疲れ
二つのこぶをなくし
変な動物として
それでも生きた
探偵は夕日が沈むだけの街で
生きる
と同等の意味であり続けようとした


僕らが歩き出す衝動は
希望なのかもしれない
その過程でいくつかの
意味のようなものを口に含むけれど
次々と廃棄しなければならない
進めば進むほど薄くなるものを感じながら
やがて一番硬いところにたどり着く
それは決して核でなく
たいていの場合はつまらない
その外側のただ広がっているところは
もっとつまらないが
僕らの生身はいつもそこにあるのだ
希望なのかもしれない
その過程でいくつかの
意味のようなものを口に含むけれど
次々と廃棄しなければならない
進めば進むほど薄くなるものを感じながら
やがて一番硬いところにたどり着く
それは決して核でなく
たいていの場合はつまらない
その外側のただ広がっているところは
もっとつまらないが
僕らの生身はいつもそこにあるのだ


ひまわり畑の上を
一羽のペンギンが羽ばたいていく
僕はその意味がわからないまま
男の人と手を繋いでいて
見送るより他なかった
ぎゅっと握ると
男の人の手は少し汗ばんでいて
何か大切なものを包み込むような力が
僕を押し返す
とても有り触れた
けれど特別な名前で
その人を呼んでいた気がする
ひまわりが無かったら
ペンギンはどうなるのだろう
そう考えると急に恐くなって
更に力を込めた
掌の中で
男の人も景色のすべても
粉々に砕け散ってしまった
一羽のペンギンが羽ばたいていく
僕はその意味がわからないまま
男の人と手を繋いでいて
見送るより他なかった
ぎゅっと握ると
男の人の手は少し汗ばんでいて
何か大切なものを包み込むような力が
僕を押し返す
とても有り触れた
けれど特別な名前で
その人を呼んでいた気がする
ひまわりが無かったら
ペンギンはどうなるのだろう
そう考えると急に恐くなって
更に力を込めた
掌の中で
男の人も景色のすべても
粉々に砕け散ってしまった


がんばるじいさん がんばった
がんばらないじいさん もがんばった
がんばって がんばって
りっぱな はしをかけると
そのはしを がんばるばあさんが
がんばって こわしていく
がんばらないばあさんは
ひたすら はをみがく
がんばらないじいさん もがんばった
がんばって がんばって
りっぱな はしをかけると
そのはしを がんばるばあさんが
がんばって こわしていく
がんばらないばあさんは
ひたすら はをみがく


子供が行きたがっていたはずの
遊園地に行った
子供が恐がるであろう乗り物
恐がらないであろう乗り物
そのひとつひとつに順序良く
そしてなるべく丁寧に
乗っていく
スタンプカードがたまったので
景品交換所で綺麗な色の
飴玉に換えてもらう
子供と共通した記憶などあるはず無いのに
どんなに高いところまで上っても
観覧車からは懐かしい形のものしか見えない
何歳になったのか
なんて自分の子の歳を忘れる親などいるものか
なめていた飴玉で口の中を切った
かすかに地下鉄の味がする
そのまま地下鉄に乗って
観覧車の見えないところまで
行くつもりだった
遊園地に行った
子供が恐がるであろう乗り物
恐がらないであろう乗り物
そのひとつひとつに順序良く
そしてなるべく丁寧に
乗っていく
スタンプカードがたまったので
景品交換所で綺麗な色の
飴玉に換えてもらう
子供と共通した記憶などあるはず無いのに
どんなに高いところまで上っても
観覧車からは懐かしい形のものしか見えない
何歳になったのか
なんて自分の子の歳を忘れる親などいるものか
なめていた飴玉で口の中を切った
かすかに地下鉄の味がする
そのまま地下鉄に乗って
観覧車の見えないところまで
行くつもりだった


洗い場には
石鹸の代わりに豆腐があった
かじると
石鹸の味がした
食卓には
冷奴の代わりに石鹸があった
かじると
やはり石鹸の味がした
豆腐はすべて食べてしまったの
と言いながら
絹ごしのような白い手で
妻はビールを注いでくれる
ベッドの上には
枕の代わりに
ぐちゃぐちゃになった豆腐があった
もうかじらなくてもわかる
本当はこんなにたくさん
食べ残してしまったのだ
石鹸の代わりに豆腐があった
かじると
石鹸の味がした
食卓には
冷奴の代わりに石鹸があった
かじると
やはり石鹸の味がした
豆腐はすべて食べてしまったの
と言いながら
絹ごしのような白い手で
妻はビールを注いでくれる
ベッドの上には
枕の代わりに
ぐちゃぐちゃになった豆腐があった
もうかじらなくてもわかる
本当はこんなにたくさん
食べ残してしまったのだ