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こっそりと詩を書く男の人
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たもつ
年齢:
58
性別:
男性
誕生日:
1967/06/05
自己紹介:
こっそりと詩を書く男の人
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2025/06/19 (Thu)
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2005/07/02 (Sat)
坂道の途中にある小さな花屋で
何度か花束を買った

買わない日の方が多いのに
そのことはあまり覚えてない

上り終えるあたりから見えてくるピアノがあって
軟式野球部員のカヂさんがよく曲を弾いていた
雨の日は境目のない傘をさして
二人で歌ったこともあった

もしかしたらカヂさんは
硬式野球部員だったかもしれない

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2005/07/02 (Sat)
あなたが
中古
静かに軋む二輪車の
匂い
角を曲がる
何かを思い出し
もう一度角を曲がる

イニシャルを失ったまま
あの縄跳びもまた
どこかへ行くの
駆け込み乗車は
錆びて
およし
危険ですから

歯形のついた
ペダルの軌跡を
追いかけて
汚れたブラウスは
縄跳びの向こう
滑らかに
行かないの

あなたは知らない
履歴書のうそを
古びれた余白を
それでも
角を曲がって
あなたは行くの
やはり
中古に


2005/07/01 (Fri)
夏休み
街から人はいなくなった
窓という窓
木陰という木陰
ベンチというベンチ
そのいたるところから
少しの匂いと
体温を残して

静寂、というには
まだわずかばかりの音がある
例えば幹線道路を南へと走る
忘れ物みたいなバス
そのアスファルトを踏む音
誰かの眼差し
のような夏の陽に紛れて
僕らは乗客の中にいた
時おり街角に棒立つ人がたの影
けれど次の瞬間には
もはや記憶ですらない

バスの中をバスが通過していく
もちろんそれはバスではない
夏の間しか生きられない小さな虫の飛行
剥き出しの命に
乗客はみな目を瞑る
その姿は祈りにも似ていたが
僕らは本当の祈りを知らない
上り坂にさしかかり
バスは一気に加速度を増す
はるか空を目指して
降下
していく

と、街に人が戻る
交差点で信号待ちをしている男たちの襟首は
垢で薄く汚れ
学生たちは机の上に課題を放置したまま
今という一瞬に余念がない
どこかのベランダでは
洗濯されたばかりの白いシーツが
ふわり膨らむ
風が形になる
隣で小さな寝息をたてている君
昨夜、街を捨てようと言ったのは
どちらからだったろう

2005/06/21 (Tue)
友達と仲直りをした娘は
昼食を食べ終え
さっさと青空の下に飛び出していった

子供同士っていいね
うん

娘たちは今ごろ
どのあたりを走っているのだろう
昨夜の小さなほころびも繕えない
大人同士二人を
こんな部屋に残して
2005/06/18 (Sat)
さよならの「さ」は
さよならの「さ」

さよならの「よ」は
さよならの「よ」

さよならの「な」は
さよならの「な」

さよならの「ら」は
らっぱの「ら」

突撃らっぱを聞いたまま
祖父は遠い南の島から
帰って来ない

2005/06/18 (Sat)
家具屋に行った
広いフロアを丹念に見て歩いたが
家具はどれも高くて
困ってしまった
結局小さな置時計をひとつだけ
買って帰ることにした
また時計を買ってきたの?
呆れ顔でそう言う妻に
いやこれは景品なのだ、と
今日は嘘をついた
2005/06/17 (Fri)
池袋のスクランブル交差点
ど真ん中で俺は
釣り糸をたれる
ジョニー にぼしのジョニー
おまえはどこか
白い皿の上で美しく
干からびている
ジョニー にぼしのジョニー
おまえもかつては
遠くの海を泳いでいた
ここ十数年海で泳いでいない俺は
その悲しみを知らない
そもそもおまえに悲しみはあるのか
干からびた目の玉で
中空を見つめ
にぼしのジョニー
俺に釣れるのは
いつも季節感の無いものばかりだ
そう ジョニー
恋人のマリーは
おまえがにぼしになった後も
海を泳ぎ 海で躍動し
そして昨晩
海で力尽きた
ジョニー にぼしのジョニー
おまえの干からびた脳みそに
俺はかぶりつきたい!
俺が釣りをしているのは
いったいどこの池袋なのか
おまえが干からびている
その白い皿こそが
池袋なのかもしれない
ジョニー いわしのジョニー
俺もおまえも
この池袋から早く帰りたいのだ


2005/06/17 (Fri)
クラゲ番長が肩(のようなもの)を
いからせ炎天下の街を歩いている
強いぞ!クラゲ番長!
逆らう奴には毒針を刺すぞ
殴られても骨折しないぞ
食べても味がしないぞ
おら!おら!おら!おら!
でも身体の95パーセント以上が水分だから
やがて蒸発して
それっきりです
2005/06/14 (Tue)
言う男 の 言う が
ぷかぷかと空に浮かんで
言う の 雲になり
言う の 雨を降らせる
言う男 は 言う の雨にうたれながら
言わない
言う男 の 言わない は
地面にこぼれて
言わない の芽を出す
どうして 言う の
どうして 言わない の
そのことについて 言う男 は
言ったり 言わなかったり で
そのとおりなのだけれど
言ったり も
言わなかったり も
小さな破片のようなものになるばかり
やがて 言わない の芽が
言わない の花を咲かせると
言う男 はそれを花束にして
聞く女 にプレゼントする
言う男 の 言う は雨になり
聞く女 の 聞く は傘になり
そのすべてを受け止める
目を閉じると
沈黙は二人のためにある


2005/06/10 (Fri)
ふでばこを開けると
アフリカの草原が広がっていて
夕日に向かって一人
お相撲さんが
四股をふんでいる
何故あの日
僕はふたを閉じてしまったのか
守るべきものなんて
まだほんの少しだったのに
言葉なんて信じてなかったのに
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* ILLUSTRATION BY nyao *