プロフィール
HN:
たもつ
年齢:
58
性別:
男性
誕生日:
1967/06/05
自己紹介:
こっそりと詩を書く男の人
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扉しかない部屋で
君は朝焼けを食べている
朝焼けを食べ終わっても
朝焼けはなくならない
俺が隣で朝焼けを描いているから
なくならない朝焼けを食べ続け
そして君はまた扉を排泄する
遠くでは娘が
泣きながらその扉を開け続けている
弱いものにしわ寄せが行く
そんな世界を嫌っていたじゃないか
なのにいつも俺たちじゃないか
君は朝焼けを食べている
朝焼けを食べ終わっても
朝焼けはなくならない
俺が隣で朝焼けを描いているから
なくならない朝焼けを食べ続け
そして君はまた扉を排泄する
遠くでは娘が
泣きながらその扉を開け続けている
弱いものにしわ寄せが行く
そんな世界を嫌っていたじゃないか
なのにいつも俺たちじゃないか
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人さらいは人をさらったことがない
これからもさらう予定がない
けれど人さらいは人さらい
それは何の比喩でもなく
人さらいが人さらいであるということだ
何故人さらいは人さらいなのか
生まれたときには既に人さらいだった人さらいは
生まれながらにして真正の人さらい
誰が名付けたのか
その名に何が期待されているのか
人さらいは知らない
けれど人をさらったことがない人さらいは
これからも人をさらわない
人さらいが歯をみがく
人さらいがスキャットで歌う
人さらいが西の空を見る
それらはすべて人さらいという名前に何の関係もない行為である
が主語はいつでも人さらいであるところの人さらい
によって行われている
ああ、人さらいの濁流が押し寄せてくる
人さらいは人さらいに溺れ
人さらいは人さらいの遠くを知る
それでも気を取り直し
人さらい、春の街を走る
人さらい、転ぶ
これからもさらう予定がない
けれど人さらいは人さらい
それは何の比喩でもなく
人さらいが人さらいであるということだ
何故人さらいは人さらいなのか
生まれたときには既に人さらいだった人さらいは
生まれながらにして真正の人さらい
誰が名付けたのか
その名に何が期待されているのか
人さらいは知らない
けれど人をさらったことがない人さらいは
これからも人をさらわない
人さらいが歯をみがく
人さらいがスキャットで歌う
人さらいが西の空を見る
それらはすべて人さらいという名前に何の関係もない行為である
が主語はいつでも人さらいであるところの人さらい
によって行われている
ああ、人さらいの濁流が押し寄せてくる
人さらいは人さらいに溺れ
人さらいは人さらいの遠くを知る
それでも気を取り直し
人さらい、春の街を走る
人さらい、転ぶ


ダチョウに良く似た面接官は
履歴書に書いてあることをいくつか質問すると
さて、と言い残し
窓から空へと飛んでいってしまいました
そのときになって初めて
面接官がダチョウに似ているのではなく
ダチョウが面接官に似ているのだと気づいたのです
その夜
慕っていた祖母が
私とは血が繋がっていないということを
父から聞きました
履歴書に書いてあることをいくつか質問すると
さて、と言い残し
窓から空へと飛んでいってしまいました
そのときになって初めて
面接官がダチョウに似ているのではなく
ダチョウが面接官に似ているのだと気づいたのです
その夜
慕っていた祖母が
私とは血が繋がっていないということを
父から聞きました


眼、鼻、耳、口、毛穴
すべての穴に私たちは窓を取り付け続けた
窓に明りが灯ると私たちはそれを街と呼んだ
街が体中に繁茂していく傍ら
明りの消えていく窓がある
その浮力により
私たちは悲しみを持つ
いつまでも人
とある時代、橋上から
私たちは川を覗き込んだ
かつてその川にいくつもの街が水没した、と
人々はまことしやかに噂し合った
覗き込んではいけない窓がある
私たちはそのことを知っていたが
決して言葉にすることはなかった
すべての穴に私たちは窓を取り付け続けた
窓に明りが灯ると私たちはそれを街と呼んだ
街が体中に繁茂していく傍ら
明りの消えていく窓がある
その浮力により
私たちは悲しみを持つ
いつまでも人
とある時代、橋上から
私たちは川を覗き込んだ
かつてその川にいくつもの街が水没した、と
人々はまことしやかに噂し合った
覗き込んではいけない窓がある
私たちはそのことを知っていたが
決して言葉にすることはなかった


テーブルの上ではコンニャクが
ぷるんぷるんとダンスをしている
花束は戸籍を失効してしまった
僕のポケットには扉が無い
行きつけの店で転んだまま
起き上がれない児童相談員は綺麗な歯肉
想像もつかない質量をもったクッキーを
食べたのは豪族
セーターの編み目を覗き込んでみろ
必ず誰かと目が合うはずだ
昨日という昨日今日という今日
すべての日付に寿マークをつけたブライダルショップの
店員が一塁線上で憤死した早朝
新聞の活字が溶解し
ナイアガラの滝の水源に合流すると
僕らにはもうなんの手段も残らない
なんということだ
右手が
と言ってサムライは左手を押さえている
缶コーヒーから溢れ出す大量のマニフェストは
駅員の謀略により八百屋の店頭で10%オフ
ゴミ箱にサバ
なかなか寝付けない夜、ローリング、ローリング
小規模な爆発が繰り返される机の引出しで
誕生した赤ちゃんに早く表札を!
はずれた受話器からは最早ま行の音しか伝わらない
速く走れるものは速く走るべきである
父はメモを残してコスタリカに行った
ああ、青春とは何ぞや
ただただ僕は疾走する、疾走した
ぷるんぷるんとダンスをしている
花束は戸籍を失効してしまった
僕のポケットには扉が無い
行きつけの店で転んだまま
起き上がれない児童相談員は綺麗な歯肉
想像もつかない質量をもったクッキーを
食べたのは豪族
セーターの編み目を覗き込んでみろ
必ず誰かと目が合うはずだ
昨日という昨日今日という今日
すべての日付に寿マークをつけたブライダルショップの
店員が一塁線上で憤死した早朝
新聞の活字が溶解し
ナイアガラの滝の水源に合流すると
僕らにはもうなんの手段も残らない
なんということだ
右手が
と言ってサムライは左手を押さえている
缶コーヒーから溢れ出す大量のマニフェストは
駅員の謀略により八百屋の店頭で10%オフ
ゴミ箱にサバ
なかなか寝付けない夜、ローリング、ローリング
小規模な爆発が繰り返される机の引出しで
誕生した赤ちゃんに早く表札を!
はずれた受話器からは最早ま行の音しか伝わらない
速く走れるものは速く走るべきである
父はメモを残してコスタリカに行った
ああ、青春とは何ぞや
ただただ僕は疾走する、疾走した


戒厳令の布かれた残暑
透きとおっていく言葉の
飛沫のように
あなたは白く皮膚の薄い手で
一すじの光を木箱に閉じ込めた
二人の椅子に
二人の卓上に
二人のナイフに
あの日、私たちは
ささやかな呪いをかけた
透きとおっていく言葉の
飛沫のように
あなたは白く皮膚の薄い手で
一すじの光を木箱に閉じ込めた
二人の椅子に
二人の卓上に
二人のナイフに
あの日、私たちは
ささやかな呪いをかけた


徴兵された兵士のように
寒い目をしてあなたは通路を行く
改札を抜け再び階段を降り
あなたの目が地下鉄に乗る
と、私の目だけが置き去りにされる
壁にはたくさんの色あせたポスター
そのすべてに
あなたと私のまぶたが描かれている
寒い目をしてあなたは通路を行く
改札を抜け再び階段を降り
あなたの目が地下鉄に乗る
と、私の目だけが置き去りにされる
壁にはたくさんの色あせたポスター
そのすべてに
あなたと私のまぶたが描かれている


心臓の近くでセミの声がしている
冷蔵庫を開けると
大きめのロブスターが、ヤー、ヤー、と
おもちゃの銃を振り回しているのが見える
いつだって無邪気な者には罪が無い
野菜室からよく冷えたキュウリを取り出し
マヨネーズをつけて食べる
君の着ていたものは
すっかり色が抜け縮んでしまった
今すぐ帰ってきてもいいように
毎日洗濯して
畳んでいるから
ふと何かを追い越す気がして
減速する
窓に残された手形は誰のものだったか
君だけが知っていたのだ
冷蔵庫を開けると
大きめのロブスターが、ヤー、ヤー、と
おもちゃの銃を振り回しているのが見える
いつだって無邪気な者には罪が無い
野菜室からよく冷えたキュウリを取り出し
マヨネーズをつけて食べる
君の着ていたものは
すっかり色が抜け縮んでしまった
今すぐ帰ってきてもいいように
毎日洗濯して
畳んでいるから
ふと何かを追い越す気がして
減速する
窓に残された手形は誰のものだったか
君だけが知っていたのだ


トーク。暁から暁までしゃべり続ける、トーク。
トーク。君とトーク。
知っていることをトーク。
知らないことをトーク。
トーク。いつまでもトーク。
人の顔を覚えるのが苦手な僕は
君が誰かわからないまま
しゃべり続けている
トーク。顔の無い君と、トーク。
違う、顔が無いのは僕の方だ
そう、トーク。僕のトーク。いつまでもトーク。
窓の外、無数の爆撃機が飛来してきている
部屋は閃光に包まれ僕も君も静かに炎上する
殺すつもりなんてありませんでした
信じてください!僕は足をもって運んだだけなんです
子供を返せ、僕の子供を、僕のたくさんの子供たちを
返せ
違う
トーク。それはただのトーク。
心配はいらない、今日も世界は美しく
花嫁は皆に祝福されている
トーク。目に映るもの、映像のすべてがトーク。
手に触るもの、舌で味わうものがトーク。
トーク。それは僕のトーク。一人きりでトーク。
剥離していく肉体の隅々までトーク。
トーク。
僕の声だけが僕であり続ける
トーク。君とトーク。
知っていることをトーク。
知らないことをトーク。
トーク。いつまでもトーク。
人の顔を覚えるのが苦手な僕は
君が誰かわからないまま
しゃべり続けている
トーク。顔の無い君と、トーク。
違う、顔が無いのは僕の方だ
そう、トーク。僕のトーク。いつまでもトーク。
窓の外、無数の爆撃機が飛来してきている
部屋は閃光に包まれ僕も君も静かに炎上する
殺すつもりなんてありませんでした
信じてください!僕は足をもって運んだだけなんです
子供を返せ、僕の子供を、僕のたくさんの子供たちを
返せ
違う
トーク。それはただのトーク。
心配はいらない、今日も世界は美しく
花嫁は皆に祝福されている
トーク。目に映るもの、映像のすべてがトーク。
手に触るもの、舌で味わうものがトーク。
トーク。それは僕のトーク。一人きりでトーク。
剥離していく肉体の隅々までトーク。
トーク。
僕の声だけが僕であり続ける