忍者ブログ
こっそりと詩を書く男の人
  プロフィール
HN:
たもつ
年齢:
58
性別:
男性
誕生日:
1967/06/05
自己紹介:
こっそりと詩を書く男の人
  ブログ内検索
  月間アーカイブ

  最新記事
(04/10)
(03/29)
(03/27)
(03/22)
(03/20)
  最新コメント
[09/10 GOKU]
[11/09 つねさん]
[09/20 sechanco]
[06/07 たもつ]
[06/07 宮尾節子]
  最新トラックバック
  投票所
     
クリックで投票
 ↓ ↓ ↓
人気blogランキング
    
  バーコード
  カウンター
[112] [113] [114] [115] [116] [117] [118] [119] [120] [121] [122]
2025/06/19 (Thu)
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

2005/04/03 (Sun)
扉しかない部屋で
君は朝焼けを食べている
朝焼けを食べ終わっても
朝焼けはなくならない
俺が隣で朝焼けを描いているから
なくならない朝焼けを食べ続け
そして君はまた扉を排泄する
遠くでは娘が
泣きながらその扉を開け続けている
弱いものにしわ寄せが行く
そんな世界を嫌っていたじゃないか
なのにいつも俺たちじゃないか
PR
2005/03/31 (Thu)
人さらいは人をさらったことがない
これからもさらう予定がない
けれど人さらいは人さらい
それは何の比喩でもなく
人さらいが人さらいであるということだ
何故人さらいは人さらいなのか
生まれたときには既に人さらいだった人さらいは
生まれながらにして真正の人さらい
誰が名付けたのか
その名に何が期待されているのか
人さらいは知らない
けれど人をさらったことがない人さらいは
これからも人をさらわない
人さらいが歯をみがく
人さらいがスキャットで歌う
人さらいが西の空を見る
それらはすべて人さらいという名前に何の関係もない行為である
が主語はいつでも人さらいであるところの人さらい
によって行われている
ああ、人さらいの濁流が押し寄せてくる
人さらいは人さらいに溺れ
人さらいは人さらいの遠くを知る
それでも気を取り直し
人さらい、春の街を走る
人さらい、転ぶ

2005/03/30 (Wed)
ダチョウに良く似た面接官は
履歴書に書いてあることをいくつか質問すると
さて、と言い残し
窓から空へと飛んでいってしまいました
そのときになって初めて
面接官がダチョウに似ているのではなく
ダチョウが面接官に似ているのだと気づいたのです
その夜
慕っていた祖母が
私とは血が繋がっていないということを
父から聞きました


2005/03/29 (Tue)
眼、鼻、耳、口、毛穴
すべての穴に私たちは窓を取り付け続けた
窓に明りが灯ると私たちはそれを街と呼んだ
街が体中に繁茂していく傍ら
明りの消えていく窓がある
その浮力により
私たちは悲しみを持つ
いつまでも人

とある時代、橋上から
私たちは川を覗き込んだ
かつてその川にいくつもの街が水没した、と
人々はまことしやかに噂し合った
覗き込んではいけない窓がある
私たちはそのことを知っていたが
決して言葉にすることはなかった

2005/03/28 (Mon)
テーブルの上ではコンニャクが
ぷるんぷるんとダンスをしている
花束は戸籍を失効してしまった
僕のポケットには扉が無い
行きつけの店で転んだまま
起き上がれない児童相談員は綺麗な歯肉
想像もつかない質量をもったクッキーを
食べたのは豪族
セーターの編み目を覗き込んでみろ
必ず誰かと目が合うはずだ
昨日という昨日今日という今日
すべての日付に寿マークをつけたブライダルショップの
店員が一塁線上で憤死した早朝
新聞の活字が溶解し
ナイアガラの滝の水源に合流すると
僕らにはもうなんの手段も残らない
なんということだ
右手が
と言ってサムライは左手を押さえている
缶コーヒーから溢れ出す大量のマニフェストは
駅員の謀略により八百屋の店頭で10%オフ
ゴミ箱にサバ
なかなか寝付けない夜、ローリング、ローリング
小規模な爆発が繰り返される机の引出しで
誕生した赤ちゃんに早く表札を!
はずれた受話器からは最早ま行の音しか伝わらない
速く走れるものは速く走るべきである
父はメモを残してコスタリカに行った
ああ、青春とは何ぞや
ただただ僕は疾走する、疾走した

2005/03/27 (Sun)
戒厳令の布かれた残暑
透きとおっていく言葉の
飛沫のように

あなたは白く皮膚の薄い手で
一すじの光を木箱に閉じ込めた

二人の椅子に
二人の卓上に
二人のナイフに

あの日、私たちは
ささやかな呪いをかけた

2005/03/26 (Sat)
徴兵された兵士のように
寒い目をしてあなたは通路を行く
改札を抜け再び階段を降り
あなたの目が地下鉄に乗る
と、私の目だけが置き去りにされる
壁にはたくさんの色あせたポスター
そのすべてに
あなたと私のまぶたが描かれている

2005/03/25 (Fri)
パリへ
たくさんのフランスパン
食べて
一足の靴にまつわる
幸せな嘘が書き連ねられた
紙ナプキンをたたみ
富沢さんは
国際空港から発つ

2005/03/24 (Thu)
心臓の近くでセミの声がしている
冷蔵庫を開けると
大きめのロブスターが、ヤー、ヤー、と
おもちゃの銃を振り回しているのが見える
いつだって無邪気な者には罪が無い

野菜室からよく冷えたキュウリを取り出し
マヨネーズをつけて食べる
君の着ていたものは
すっかり色が抜け縮んでしまった
今すぐ帰ってきてもいいように
毎日洗濯して
畳んでいるから

ふと何かを追い越す気がして
減速する
窓に残された手形は誰のものだったか
君だけが知っていたのだ

2005/03/22 (Tue)
トーク。暁から暁までしゃべり続ける、トーク。
トーク。君とトーク。
知っていることをトーク。
知らないことをトーク。
トーク。いつまでもトーク。

人の顔を覚えるのが苦手な僕は
君が誰かわからないまま
しゃべり続けている
トーク。顔の無い君と、トーク。
違う、顔が無いのは僕の方だ
そう、トーク。僕のトーク。いつまでもトーク。

窓の外、無数の爆撃機が飛来してきている
部屋は閃光に包まれ僕も君も静かに炎上する
殺すつもりなんてありませんでした
信じてください!僕は足をもって運んだだけなんです
子供を返せ、僕の子供を、僕のたくさんの子供たちを
返せ
違う
トーク。それはただのトーク。
心配はいらない、今日も世界は美しく
花嫁は皆に祝福されている

トーク。目に映るもの、映像のすべてがトーク。
手に触るもの、舌で味わうものがトーク。
トーク。それは僕のトーク。一人きりでトーク。
剥離していく肉体の隅々までトーク。
トーク。
僕の声だけが僕であり続ける
忍者ブログ [PR]

* ILLUSTRATION BY nyao *