忍者ブログ
こっそりと詩を書く男の人
  プロフィール
HN:
たもつ
年齢:
58
性別:
男性
誕生日:
1967/06/05
自己紹介:
こっそりと詩を書く男の人
  ブログ内検索
  月間アーカイブ

  最新記事
(04/10)
(03/29)
(03/27)
(03/22)
(03/20)
  最新コメント
[09/10 GOKU]
[11/09 つねさん]
[09/20 sechanco]
[06/07 たもつ]
[06/07 宮尾節子]
  最新トラックバック
  投票所
     
クリックで投票
 ↓ ↓ ↓
人気blogランキング
    
  バーコード
  カウンター
[113] [114] [115] [116] [117] [118] [119] [120] [121] [122] [123]
2025/06/19 (Thu)
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

2005/03/17 (Thu)
食べかけのスイカがもう
夏に生きる虫のように臭っている
庭に埋めなきゃ
そう思ってサンダルを履いたのだが
シャベルが見つからない
春先に何かの花を植えた時には確かにあったはずだ
スイカを入れたビニール袋の隙間からは
相変わらず夏の虫の臭いが漏れてくる
庭に埋めなきゃ
代わりのものを探す
履きつぶして放置されたままの靴のかかと
植木鉢の角
ほうきの柄の部分
多分どれを使っても穴を掘ることはできるだろう
けれど自分を満足させる穴を掘ることができるか
その自信が持てない
近所のホームセンターまで買いに行く
歩こう
歩く、サンダル
が少しブカブカで足の甲の部分が擦れて痛い
暑い
やわらかくなったアスファルトの感覚
もしかしたらやわらかいのはサンダルの底かもしれない
それとも自分の足の裏?
いや、やめよう
確かめなくてもいいことをたくさん確かめ過ぎた
庭に埋めなきゃ
ビニール袋の隙間から漏れる臭いはますますきつくなる
クラクションを鳴らされてとっさに避ける
よろける
体勢をを立て直してまた
歩く
庭に埋めなきゃ
ホームセンターの駐車場を抜ける
車は少ない
自動ドアが開く
涼しくて良かった
何人かの人とすれ違う
その度に左手に持ったビニール袋に視線が注がれる
ビニール袋
虫のような臭い
隙間から
埋めなきゃ
二番目に安いシャベルを手に取る
何の金属だろう、ひんやりと手に冷たい
数分後すっかりぬるくなったこのシャベルで
穴を掘る自分を想像してみる
今一番大切なことはいったい何か
そしてそれは今一番しなければいけないことと
必ずしもイコールではない
やがて埋めたところから
スイカの種が発芽するかもしれない
でもどうせ
雑草か何かと思って誰かが引っこ抜くんだろう
それはきっと自分
レジへと向かう


PR
2005/03/15 (Tue)
計算機を裏返し
ドライバーでひとつひとつ
ネジをはずす
基盤が剥き出しになる
入りくんだところで
ラーメン屋は既に営業している
のれんをくぐる
いらっしゃい、とだけ言って
寡黙な店主は作業を続ける
カウンターは汚れているが
清潔さを保っている
醤油ラーメンを注文する
カウンター下の棚から
漫画雑誌を取り出す
ページをめくる
我が家の玄関がある
扉を開けて中に入る
居間で
バラバラになった計算機を前に
娘がべそをかいている
ネジをなくしたらしい
ポケットを探りネジを取り出す
ドライバーでひとつひとつ
ネジをはめる
もう大丈夫だよ
娘は安心して泣き止む
お母さんはどこ?という質問に
娘は黙って台所を指差す
台所に行く
海がただ静かに広がっている
僕はとても残酷なことを娘に聞いてしまった

2005/03/01 (Tue)
馬鹿ターボ
全開で帰宅する俺
髭をたくわえ少しワイルドな俺に
おかえり、を言う娘は少しワイルドな俺に少し慣れ
一番星が出始めた空の下で縄跳びの練習中
綺麗でしょ、綺麗でしょ
いや、綺麗なのは縄跳びではなく
誰も汚さないお前の生き方だ
飼犬のペソは詰まった排水溝に鼻を突っ込み
いつものように遊んでいる
昨年過って溺れ土葬された犬の名もペソ
我が家の飼犬の名はペソ
これからもずっとペソ
突撃した隣の晩ご飯
から君が帰ってきたら
今日あった悲しいことのいくつかを
明日への喜びにして
楽しい団欒が始まる

2005/02/26 (Sat)
車内はひんやり寒い
乗客はみな一様にうつむき
僕の呼吸だけがまた
不細工な格好で繰り返される

耳元で川が流れている
昔、綺麗な魚に見とれて
手袋の片方を落とした
それは確かにあったことだが
川の名をいつも思い出せない

ポケットから次々と生まれる
新しい僕という僕
行き場も無く僕は僕であり続け
せめて僕たちが
他の誰をも傷つけませんように

茶色い髪の女の人が
あっ、と小さく叫んだ
嘘だ
それは手袋を川に落としたあの日の叫び
片方の手はまだ冷たいまま

2005/02/21 (Mon)
3月20日 2時~早稲田大学戸山キャンパス33号館2F第一会議室において開催される「いんあうと2005」に出演します。
「詩人の呼吸 ~詩を作る、呼吸する、広がってゆく~」という題目で川口晴美さん、ヤリタミサコさんらと討議をする予定です。
2005/02/16 (Wed)
兄はまだ小学生相撲大会の賞状を
大事にしているだろうか、と
扁桃腺の手術後
縫合を忘れられたままの婿養子は
まだ考えているだろうか
ふとバス停に波は寄せて返し
沖に流されていく砂の数くらいは
ある日思い出すのかもしれない
時刻表に刻まれた沢山の名前
それはかつて産声を奪われた生命たちの痕跡
屈託なく笑う僕が映っている鏡は
昨日までにすべて叩き割っておいた
料金箱に破片を一つ落とそうとして
指を深く切った
初老の運転手は遥か遠く
よそ見をしている
2005/02/16 (Wed)
覚えてる
迷ったときの指先のちょっとした仕草とか
暑い室内でむっと漂ってきた身体の匂いとか

正午、君がサイレンの口真似をすると
僕らは作業を中断して
いつも小さな昼食をとった

今日は無線の受信機を持って
役場の職員がやってきた
一通り機械の説明をして
それから今年は甘いなあ、と
冷えたスイカを一切れ食べて帰っていった
これからは正午になると
綺麗な音楽が流れるそうだ

君の記憶のほんの僅かを
僕は自分自身の記憶として引き継ぎ
後はもう空っぽだよ、って
写真の君はそんなところだろうか
試しにサイレンの口真似をしてみると
他にすることがなくなってしまう
2005/02/06 (Sun)
僕は波に濡れ
波に濡れたままずぶ濡れとなり
絶え間なくそれは
断続的にそれは
いつまでもそれだった
それって
日テレ?
いえ蛋白質の軽めやや三十倍程度の喪中
ツモ
ラスハクですかあ
タンキですかあ
しかものみですかあ
スーパーマーケット勤務の東場が
煙草に火をつけると
世界のようなものはまた一つ
暖かさと明るさを取り戻した
かのように見えた
耳を澄ませてはいけない
どこもかしこも
内臓と内臓の擦れあう音があまりに
微かなので
2005/02/03 (Thu)
マンホールの蓋を開けると
ハローページは既にそこまで
ぎっしりと積み上がっていて
でかくて、飲み込めね、でかくて、飲み込めね
ごきゅごきゅ喉をいわせ
頑張っている船長の隣で
僕はタウンページのイエローを
レッドに塗りつぶしながら
それが何の抵抗になるのか知らない
鮫の形をした猫は
背びれをなくしたのが悲しくて
悲しくて
とっても悲しくって
オイオイ泣きっぱなし
昨晩風の音が恐かった僕は
アゲハを天ぷらにしてしまった
良い航海を
ある晴れた朝港のジェニーは見送ってくれたが
やはり飛行機がいい僕らは
リムジンバスに乗って空港へ行く
2005/01/31 (Mon)
ワン!
と唐突に始まる詩
を数編書き
少女はそれから二度と詩を書こうとはしなかった
ターコイズ、ターコイズ、ターコイズ・マーチ
ターコイズ・マーチ
先生!山下君のターコイズ・マーチがうるさくて授業に集中できません!
放っておきましょう、歌わなければ忘れられないことだってあるんですよ
と言った先生が
その少女
雪の降る寒い朝に都内の小さな病院で産まれ
今年、後厄
忍者ブログ [PR]

* ILLUSTRATION BY nyao *