プロフィール
HN:
たもつ
年齢:
58
性別:
男性
誕生日:
1967/06/05
自己紹介:
こっそりと詩を書く男の人
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読みかけの詩集を逆さまにすると
文字の列たちは
不ぞろいのビルディングになりました
そして
下のほうにあった余白は
広い空に
しばらくその様子に見とれていましたが
何かが足りない気がしたので
4Bの鉛筆で大きな三日月を描きました
窓に明かりが灯り始め
人々の話し声や装置の動く音が溢れ出す
その間にもどこかでまた言葉が生まれ
詩と呼ばれます
明かりのない窓の向こう
誰かが小さく咳をします
文字の列たちは
不ぞろいのビルディングになりました
そして
下のほうにあった余白は
広い空に
しばらくその様子に見とれていましたが
何かが足りない気がしたので
4Bの鉛筆で大きな三日月を描きました
窓に明かりが灯り始め
人々の話し声や装置の動く音が溢れ出す
その間にもどこかでまた言葉が生まれ
詩と呼ばれます
明かりのない窓の向こう
誰かが小さく咳をします
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魚が手紙のようなものをくわえたまま
道の真ん中で力尽きているのを
少年は見つけました
水を泳ぐ魚にとって
ポストはあまりに遠かったのでしょう
少年は手紙のようなものを
代わりに投函しました
そして、その足で公園に行き
陽のあたらないところに魚を埋めました
魚の言葉を知らないので
少年は少年の知っている
一番簡単な弔いの言葉を添えました
風が吹いてほんの少し
海水浴のような匂いがしました
帰り道、魚屋の前を通りましたが
並べられていたのは
さっきのとは違う形の魚ばかりでした
道の真ん中で力尽きているのを
少年は見つけました
水を泳ぐ魚にとって
ポストはあまりに遠かったのでしょう
少年は手紙のようなものを
代わりに投函しました
そして、その足で公園に行き
陽のあたらないところに魚を埋めました
魚の言葉を知らないので
少年は少年の知っている
一番簡単な弔いの言葉を添えました
風が吹いてほんの少し
海水浴のような匂いがしました
帰り道、魚屋の前を通りましたが
並べられていたのは
さっきのとは違う形の魚ばかりでした


時計が遅れたり
進んだりするのを気にする人は
何よりも時間の大切さを
知っている人です
けれど
時計には時計のペースがあることを
忘れないでほしい
など
ホームの水飲み場で
あなたを待つわたしの人生訓が
ちぐはぐに転がります
昨日より少し涼しい日
間もなく海の方から
クラゲ色の列車が到着します
進んだりするのを気にする人は
何よりも時間の大切さを
知っている人です
けれど
時計には時計のペースがあることを
忘れないでほしい
など
ホームの水飲み場で
あなたを待つわたしの人生訓が
ちぐはぐに転がります
昨日より少し涼しい日
間もなく海の方から
クラゲ色の列車が到着します


あの人は頭にツノがありました
ある日
頭にツノがあって大変ですね
と言うと
あなたはツノがなくて大変ですね
そう答えました
あれを初恋と呼んでいいものか
今でも戸惑います
ただ、あることもないことも
同じくらいに淋しいときが
確かにあったのです
ある日
頭にツノがあって大変ですね
と言うと
あなたはツノがなくて大変ですね
そう答えました
あれを初恋と呼んでいいものか
今でも戸惑います
ただ、あることもないことも
同じくらいに淋しいときが
確かにあったのです


数学者は
0より小さい100の存在について考えながら
歯を磨き
大学前の坂道を登り
故郷の母親に手紙を書きます
今日は
0より小さい100の存在を確認するため
のみ市で
中古の天体望遠鏡を買ってきました
それとフランスパンを
数学者は思っています
もし
0より小さい100の存在が確認できたら
10年前に別れた
白夜の地に住む恋人を
迎えに行こうと
0より小さい100は
春告鳥とともに
0より小さい100の存在について考えながら
歯を磨き
大学前の坂道を登り
故郷の母親に手紙を書きます
今日は
0より小さい100の存在を確認するため
のみ市で
中古の天体望遠鏡を買ってきました
それとフランスパンを
数学者は思っています
もし
0より小さい100の存在が確認できたら
10年前に別れた
白夜の地に住む恋人を
迎えに行こうと
0より小さい100は
春告鳥とともに


誰も知らないどこかの
小さな部屋で
歌わなくなったピアノに
ほこりが積もっています
鍵盤を叩けばまだ鳴るのに
音符はまだカエルになってないのに
歌を忘れてしまったのは
きっとわたしの方
小さな部屋で
歌わなくなったピアノに
ほこりが積もっています
鍵盤を叩けばまだ鳴るのに
音符はまだカエルになってないのに
歌を忘れてしまったのは
きっとわたしの方


卵をひとつ落として
夕焼けは夕焼けへと帰っていきます
さよならを言うのが嫌で
いつまでもふざけていたのは
言葉を越えられるものは
言葉ではないと
ある日ふと知ってしまったから
ちびた鉛筆が捨てられることなく
机の一番上の引きだしに
しまわれています
夕焼けは夕焼けへと帰っていきます
さよならを言うのが嫌で
いつまでもふざけていたのは
言葉を越えられるものは
言葉ではないと
ある日ふと知ってしまったから
ちびた鉛筆が捨てられることなく
机の一番上の引きだしに
しまわれています


最初から
おじいさんや
おばあさんが
いたわけではないのです
ただ風ばかりが吹く
何もない夕暮れのようなところから
むかし、むかし
と物語はいつも始まるのでした
やがてお話が終わると
また夕暮れのようなところで
風ばかりが吹く
そのようにして物語は
語り継がれていきます
母さん
その風の音を聞きながら眠るのが
わたしは好きでした
おじいさんや
おばあさんが
いたわけではないのです
ただ風ばかりが吹く
何もない夕暮れのようなところから
むかし、むかし
と物語はいつも始まるのでした
やがてお話が終わると
また夕暮れのようなところで
風ばかりが吹く
そのようにして物語は
語り継がれていきます
母さん
その風の音を聞きながら眠るのが
わたしは好きでした


くちびるを閉じると
世界とわたしは
分かれます
くちびるを開くと
世界とわたしは
またつながります
分かれたり、つながったり
くりかえし、くりかえして
わたしはまた少し
遠くへと行きます
世界とわたしは
分かれます
くちびるを開くと
世界とわたしは
またつながります
分かれたり、つながったり
くりかえし、くりかえして
わたしはまた少し
遠くへと行きます