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こっそりと詩を書く男の人
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たもつ
年齢:
58
性別:
男性
誕生日:
1967/06/05
自己紹介:
こっそりと詩を書く男の人
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2025/06/20 (Fri)
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2004/07/28 (Wed)
読みかけの詩集を逆さまにすると
文字の列たちは
不ぞろいのビルディングになりました
そして
下のほうにあった余白は
広い空に
しばらくその様子に見とれていましたが
何かが足りない気がしたので
4Bの鉛筆で大きな三日月を描きました
窓に明かりが灯り始め
人々の話し声や装置の動く音が溢れ出す
その間にもどこかでまた言葉が生まれ
詩と呼ばれます
明かりのない窓の向こう
誰かが小さく咳をします
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2004/07/27 (Tue)
魚が手紙のようなものをくわえたまま
道の真ん中で力尽きているのを
少年は見つけました
水を泳ぐ魚にとって
ポストはあまりに遠かったのでしょう
少年は手紙のようなものを
代わりに投函しました
そして、その足で公園に行き
陽のあたらないところに魚を埋めました
魚の言葉を知らないので
少年は少年の知っている
一番簡単な弔いの言葉を添えました
風が吹いてほんの少し
海水浴のような匂いがしました
帰り道、魚屋の前を通りましたが
並べられていたのは
さっきのとは違う形の魚ばかりでした
2004/07/22 (Thu)
時計が遅れたり
進んだりするのを気にする人は
何よりも時間の大切さを
知っている人です
けれど
時計には時計のペースがあることを
忘れないでほしい
など
ホームの水飲み場で
あなたを待つわたしの人生訓が
ちぐはぐに転がります
昨日より少し涼しい日
間もなく海の方から
クラゲ色の列車が到着します
2004/07/21 (Wed)
あの人は頭にツノがありました
ある日
頭にツノがあって大変ですね
と言うと
あなたはツノがなくて大変ですね
そう答えました
あれを初恋と呼んでいいものか
今でも戸惑います
ただ、あることもないことも
同じくらいに淋しいときが
確かにあったのです

2004/07/20 (Tue)
数学者は
0より小さい100の存在について考えながら

歯を磨き
大学前の坂道を登り
故郷の母親に手紙を書きます

今日は
0より小さい100の存在を確認するため
のみ市で
中古の天体望遠鏡を買ってきました
それとフランスパンを

数学者は思っています
もし
0より小さい100の存在が確認できたら

10年前に別れた
白夜の地に住む恋人を
迎えに行こうと

0より小さい100は
春告鳥とともに
2004/07/20 (Tue)
誰も知らないどこかの

小さな部屋で

歌わなくなったピアノに

ほこりが積もっています

鍵盤を叩けばまだ鳴るのに

音符はまだカエルになってないのに

歌を忘れてしまったのは

きっとわたしの方

2004/07/19 (Mon)
卵をひとつ落として

夕焼けは夕焼けへと帰っていきます

さよならを言うのが嫌で

いつまでもふざけていたのは

言葉を越えられるものは

言葉ではないと

ある日ふと知ってしまったから

ちびた鉛筆が捨てられることなく

机の一番上の引きだしに

しまわれています

2004/07/18 (Sun)
最初から
おじいさんや
おばあさんが
いたわけではないのです
ただ風ばかりが吹く
何もない夕暮れのようなところから
むかし、むかし
と物語はいつも始まるのでした
やがてお話が終わると
また夕暮れのようなところで
風ばかりが吹く
そのようにして物語は
語り継がれていきます
母さん
その風の音を聞きながら眠るのが
わたしは好きでした
2004/07/17 (Sat)
くちびるを閉じると

世界とわたしは

分かれます

くちびるを開くと

世界とわたしは

またつながります

分かれたり、つながったり

くりかえし、くりかえして

わたしはまた少し

遠くへと行きます

2004/07/17 (Sat)
あのビルは

誰の羽なのでしょうか

あんなに高くて

空に届かない

見上げるわたしたちは

いつまでも

一枚の写真でした
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* ILLUSTRATION BY nyao *