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こっそりと詩を書く男の人
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たもつ
年齢:
58
性別:
男性
誕生日:
1967/06/05
自己紹介:
こっそりと詩を書く男の人
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2025/06/20 (Fri)
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2004/07/01 (Thu)
二人で地面に小石を並べる
ひとつ、またひとつ
やがて円の形となり
収束していく始まりと終わり
夏の日
暑いね、という言葉だけが僕らだった
何故だろう
あんなにも
世界がありふれていたのは
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2004/06/25 (Fri)
降りしきる雨の中
傘もささずに俺たちは歩いた
死ぬほど歩き続けた
けれどそれで
俺たちが死ぬことはなかった
俺たち いい奴だった
俺たち 輝いていた
俺たちは生の肉だった
俺たちは皮膚そのものだった
俺たち 愛しあってた
俺たちはポケットに
鋭利なナイスを忍ばせて歩いた
時々鋭利なナイスをちらつかせて
俺たち 素敵だった
好きな食べ物は何ですか
そう聞かれて
カブト虫
と答えてしまったような気まずさが
生きていく俺たちにはあった
別にダンゴ虫でも良かった 
俺たちはダンゴ虫が好きだった
俺たちには名前があった
降りしきる雨の中
歩く俺たちを追いこしていく
別の名前たち
アスファルト
雨が水となって溜まる
ガードレール
のように
俺たち 無口だった
俺たち 平和だった
矮小なバクテリア

そしてテリア
首輪をひきちぎり
テリア走る 北へ
背中の手が届かないところが
痒い俺たちは
ショウウィンドウを見ながら
お互いの背中を掻いた
俺たちはショウウィンドウ
になりたかった
俺たち 幸せだった
降りしきる雨の中
僅かな言葉で愛を語り続ける
俺たちはいつまでも頭蓋骨だった


2004/06/24 (Thu)
風呂桶に
フルーツが
ふたつ
うかぶ
そのことは
今日の僕らの幸せであり
どこか、という
不特定の場所では大層な
不幸せだった
2004/06/23 (Wed)
右手を挙げると
鏡に映る自分が左手を挙げた
右手を挙げさせるために
僕は左手を挙げる
外の方から小さな鳥のような鳴き声が聞こえる
空はまだ晴れているだろう
午後は爆弾を買いに都会へと行く
2004/06/20 (Sun)
妻と二人で梅干を漬ける
台風が近づいている
空はまだ晴れているけれど
窓から入る風は生暖かく蒸し暑い
梅の実の良い匂いがする
水洗いした梅の実をタオルで一つ一つ拭き
ヘタを楊枝でほじくるのが僕の役目だ
妻が塩梅を見ながら漬けていく
うっかり額の汗を素手でぬぐってしまい
手を洗いに行く
塩分を控えめにしたために
カビを生やして駄目にした年もあった
窓の外を見ると
日の当たる花壇では植物たちが光合成をしている
小さな虫が蜜を吸いにやってくる
その間にも僕らは
何故か生きることに多忙なのだ
2004/06/18 (Fri)
ひつじが鳴いていた
ひまわりが咲いていた
人がいた 好きだった
目を閉じる
陽だまりのなか
明日なら
死んでも良かった
2004/06/17 (Thu)
(1)

駅から海へ
雨が落ち
いつもふたり
草のことを話して



(2)

質屋の縁(へり)を
魚らが訪問するよ
季節はとっくに
冬めいてね



(3)

義父がうなだれ
肩越しに秋の空を見る
子供は骨と



(4)

町の議会も終わり
帽子は空へ!
やがて
虹と呼ばれる



(5)
ゾウとキリン
どちらが虹か
忘れてたよ
夏の宿題を

2004/06/12 (Sat)
ビタミンが不足しているのは百科事典に住んでいる僕の妹
い、いえ、祖父だっただろうか、毎晩旅をするんです
一人残される僕の血糖値は急激に低下する
い、い、いいえ、血糖値が低下しているのは叔母の実の妹かもしれない
西暦1825年、ストックトンとダーリントン間に世界初の蒸気機関車鉄道が開通した
その名は「ロコモーション号」
い、い、い、いいえ、やっぱり僕の妹かもしれない、開通したのは
妹、走る、ビタミン不足のジョージ・スティーブンソンを乗せて
開かないでください、その頁は
男と女の生殖器が克明に描かれている
それを見ながら自慰をしているのはヨークシャーテリアのポチ
い、い、い、い、いいえ違います、アメリカンショートヘアのタマでした
アメリカンショートヘアのタマはいつも唇がカサカサなまま遺跡を発掘している
その唇には一頭の駱駝が昼寝をしていて、い、い、い、い、い、いいえそれは
ブロッコリー
緑に茹で上がっている
あまりに美味しそうだから父さんは賛美歌を歌いだす
履歴書を駅のベンチに忘れてきた僕の父さん、妹は毎晩旅をしています
ビタミン不足はお肌の天敵よ、が口癖の母さんは今日も北枕
その足の先にはJR内房線、そして線路を走る僕の妹、い、い、い、い、い、い、い、
いいえ、走っているのは「特急さざなみ号」だ
乗客は皆、目を瞑った等身大の埴輪、発掘者であるアメリカンショートヘアのタマは
自慰のし過ぎで存在が真っ赤に破裂してしまった
ビタミン剤を傷口に塗る僕の指先から百科事典の香り
妹よ、そろそろ帰っておいで
ブロッコリーを食べに

2004/06/12 (Sat)
午前、町の本会議場では
一般質問に立った初老の議員が
延々と演説をしている
議員も当局側も
数名が舟を漕ぎ始めた
誰が忘れていったのだろうか
傍聴人席には一冊の事典
その立派な装丁に頁を捲ることもできず
初夏の風は
またどこかへと去っていく
2004/06/10 (Thu)
君はただひたすらに自動券売機をつくっている
外、春はとっくに酸化してしまった
困るね、こんな雨の日は
花壇に水をあげることもできない
僕の手の中で冷たくなっている冷蔵庫
その扉を開けると中から
かつてモノだったモノたちが加速度もなく溢れ出してくる

あの日、乗り物は僕らを置いて発車した
工具売り場の細い路地で迷子になっている間に
たくさんの行列と行列と行列
走り抜けて息を切らし言葉をいくつか失ったのだ
両手で耳を塞ぐ
それくらいのことしか出来なかった

雨に含まれる使われなくなった生き物のネジが
コツコツと窓ガラスを鳴らしている
ただひたすらに自動券売機をつくっている君の額から
汗がまた落ちる
一生懸命な君の横顔とそれを見ている僕
多分、これからもそう
何か足りないものがあったので
僕らは買い物にでかける


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* ILLUSTRATION BY nyao *