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こっそりと詩を書く男の人
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たもつ
年齢:
58
性別:
男性
誕生日:
1967/06/05
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こっそりと詩を書く男の人
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2025/06/20 (Fri)
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2004/04/14 (Wed)
背伸びをすると

ほんの少し景色が変わった気がした

誰もいない朝の教室

僕は巨大なジンベイザメになって

ゆっくりと泳ぎ回る
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2004/04/09 (Fri)
肉体を支えるものが骨であるならば
空を支えている骨は人の想念である
人が空を想うかぎり空は空であり続け
けして空は空から落ちてくることはない
つまりそれは
人が人であり続けることと同じなのである
諸君!我々は自由だ!
自由のもと我々は人であるという選択をしたにすぎないのだ
さて、課題は掲示板に貼っておくので各自確認しておくように

そうして午後の講義は終わる
学生たちは皆、散り散りの風になり
どこかへ消えていった
広い春の野原にはもう誰もいない
2004/04/08 (Thu)
沈む夕日を見ていると

今日もまた口が淋しい

姉さん

そうつぶやく僕には

兄さんしかいなかった
2004/04/05 (Mon)
庭の木にセミの抜け殻があった
手にとって握りつぶすと
ぬちゃ
それはセミの抜け殻ではなく
抜け殻のようなセミ
どうしていいのか、もて余した僕は
こっそり、ぬか床に隠したのだった
夕食の時
今日のぬか漬けはいつもと一味違うなあ
父のご機嫌な声を聞きながら
今度生まれ変わることがあったなら
何か儚いものでいいと思った
2004/03/24 (Wed)
またね
春風から一番遠いところで
皆でそうつぶやいたら
誰かの下唇に
名前の知らない花が咲いた
なあ、せっかくだからさ
もうしばらく
楽しいおしゃべりをしよう

2004/03/20 (Sat)
君の笑顔は椅子に似ていて
笑うと誰もが顔に座りたがる

散歩途中のお年寄りや
旅に疲れた旅人
アイスキャンディーを持っている人
ただ夕日を見ているだけの人

誰かが座ると嬉しそうにするものだから
君の笑顔はますます椅子そっくりになる
やがて行列ができて
僕は並んでいる人に整理券を配る

キッチンから夕食の支度をする君の鼻歌が聞こえる
きっと顔中を椅子いっぱいにしているのだろう
その間、僕は君の似顔絵を描くけれど
いつもそれは淋しくなってしまう
2004/03/18 (Thu)
朝、リビングにあった箱が
帰宅すると寝室にあった
次の日はお風呂場
そしてトイレに
週末は首輪と鎖を買ってこよう
公園の桜はまだ早いだろうけど
2004/03/16 (Tue)
駅のホーム
喫煙コーナーのベンチ、夕暮れでは少女が
メールを打つ少女
メールを打っている

少女はメールを打つ
指、その速度の指で
穏やかな夕暮れ、穏やかな煙
少女よ、今、僕はカフェにいる、オープンカフェ
この季節、ホームには色とりどりの列車がやってくる
そのすべてに乗ることもせず
少女はメールを打つ
メールを打つ少女
僕は今、昭和基地で起点と終点の距離を測量しているよ
もしかしたらそれは僕のとんだ勘違いかもしれないが

さて、少女である
メールを打つ少女
少女はメールを打っている
その少し開いた唇の端から次々と記号はこぼれだして
世界の隙間という隙間を丁寧に埋めていく
応答せよ、応答せよ、ディスプレイ、ディスプレイ
少女よ、打っているのは
いつかの顔文字
いつかのありがとう
いつかのさよなら
少女よ、僕はメールを打たない

僕が打つのはメールではない
僕はメールを打たないのだ
いつかの顔文字
いつかのありがとう
いつかのさよなら
応答せよ、応答せよ、色とりどりの列車
少女よ、メールを打つな!

見てみるといい、そう、もう誰もいない
誰もいない、いるのは
メールを打つ少女以外の人
そして僕以外の人
穏やかな夕暮れ、すべてのもの

2004/03/11 (Thu)
サードとショートは楽しそうに話をしている
ああ、いいなあ、と思ってセンターを見る
そこには人数あわせの地蔵
ということはチェンジになるごとにあれをベンチまで運ばなければいけない
はるか彼方ライトを見れば
打倒サップ!の鉢巻をしてサンドバッグを叩いてやがる
今日は広い外野をひとり占めかよ
サードとショートの距離はさっきより縮まっていて
そのうち手でもつなぐんじゃないかと思っているうちにもう舌が入っている
主審のプレイボールの声があってもゲームは進行しない
マウンドにはピッチングマシーン
そうか、ピッチャーは嫁さんがお産だったなあ
頼みのセカンドは家と車のローンで首が回らない
ファースト、ああ駄目だ、トンボを見つけて嬉々としている
仕方なく走ってマシーンのスイッチを入れる
カキーンといい音が響いて打球は右中間に
白球を追って走る走る
花粉症だったことを思い出して
涙と鼻水で顔がぐちゃぐちゃになる
俺はこんなことをするために華の大都会にきたんじゃない
そう思いながら「コメオクレ」と田舎の母親に電報を打つ
もうあまりに卑猥すぎて三遊間の話はできない

2004/03/10 (Wed)
ふと右を見ると三塁手が君だったので
僕はすっかり安心した
うららかな春の日、デーゲームは淡々と続いている
スタンド、ベンチ、フィールド
いろいろなところからいろいろな声が飛び交っている
やあ、久しぶり
という一言から
僕らは話を始めた
今まで二人にあったことを
ありったけの言葉を使って話した
痛烈な当たりが二人の間を抜けていく
フライがポトリと落ちる
攻守が交代になり
デーゲームが終わりナイターが始まる
それでも定位置を動くことなく話し続けた
幾年かが過ぎ
球場は取り壊され駅ができたころになると
ようやく五年くらい前の話にさしかかる
「今、おしゃべりをしている三遊間の前にいるから」
僕らは待ち合わせの目印になった
いろいろな人がいろいろな格好で待ち合わせをしている
笑っている、怒っている、泣いている
うららかな春の日は淡々とすぎていく
今までのことを話し終えた僕らは
これからの話をすることにした
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* ILLUSTRATION BY nyao *