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こっそりと詩を書く男の人
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たもつ
年齢:
58
性別:
男性
誕生日:
1967/06/05
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こっそりと詩を書く男の人
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2001/11/09 (Fri)
柿の木いっぽん
風に揺れ
柿の実ひとつ
風に揺る

他に見るもの何も無く
他に見るもの何も無し

柿の実ひとつ
風に揺る

秋の夕暮れ
秋の夕暮れ
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2001/11/07 (Wed)
すべての葉を散らした体内で
若葉たちは
もうおしゃべりを
しているころだ
2001/11/05 (Mon)
あの夜
たしかに家出は決行された

両親が寝静まるのを待ち
四つ離れた兄は大学生で
もう家にはおらなかった

荷物は何も持たず
ズボンのポケットに
ありったけの小銭と札
そして中也の詩集をしのばせたあの夜
たしかに家出は決行された

目指したのは夜汽車
その硬いシートにもたれながら
車内に客はまばら
窓に映る自分の顔は青白く
カタコトカタコトと揺られ
寝る
眠る

結局、この未成熟な詩人気取りは
町内を歩き回り
公園のベンチで
薄暗い街灯の下で
折り目と手垢だらけの詩集を読んで
帰宅した

以来、夜になると時折
心は徘徊し
彷徨し
乗ることの出来なかった夜汽車に
乗り込む

結婚し
子供が産まれ
そろそろ家でも建てるかと算段し始めた今でも
それは
変わらない
2001/11/03 (Sat)
カツレツは
ベジタリアンが食べてくれないのが悲しくて
もやしは
野菜嫌いの子供が食べてくれないのが悲しくて
二人は一つになって
「もやしカツレツ」になりました

二人はとても意味のあることをしたのだ、と
喜んだのですが
結局、ベジタリアンも
野菜嫌いの子供も
食べてくれなくて
なんて意味の無いことをしてしまったのか、と
たいそう嘆きました

こうして生ごみになった二人は
ごみ焼却場で灰になりました

灰になった二人は
リサイクルされてスラグになり
道路として使われました
二人はこれはやはり意味のあることだったのだ、と
たいそう喜びました

道路を使うドライバーにしてみれば
リサイクルスラグかどうかなんて
さして意味のあることではないのですが
それは二人の知らぬこととしておきましょう
2001/11/02 (Fri)
総てのものに意味は無い
一方で
意味の無いものはこの世に無い
そんな二律背反について考えながら
金曜日の正午すぎ

古本屋に行った
いま食ったカツレツが
末端の細胞まで届くのに
どれくらいの時間を要するのか
知りたくて
2001/10/31 (Wed)
誰が悪いわけでもなく
何が悪いわけでもない
こんな、どうでもいいことは

あえていうなら
沈む夕日のせい
昇る朝日のせい
青い空のせい
その下で寄せて返す
白い波のせい
昨日読んだ
「月と6ペンス」のせい
隣のおやじの
歯槽膿漏のせい

その程度のことなんだ
こんな、どうでもいいことは

だから、気にしない
2001/10/28 (Sun)
テレビでは逆さまに泳ぐ
魚の特集をやっていたから
私は読みかけの詩集を
逆さまにしてみた

すると
縦書き上詰のその詩は
逆さまの字が積み上げられた
不揃いの
ビルヂングの集まりになった

そして
下方の空白部は
そのまま
広大な空になった

その造型の素晴らしさに
しばらく酔っていたが
何かが足りない

そこで
私はちびた4Bの鉛筆で
空の部分に大きな
三日月を書いてみた

うん、
これで良い
こうでなければならない

私は想わずにはいられなかった
自分が毎日書いているのは
こんなものなのだ、

2001/10/27 (Sat)
去り行く君へ
私は留まる
私は留まり
留まることしかしない

国道に架かる歩道橋の上に
その下の電話ボックスに
雑踏のなか
深夜、喫茶店の片隅に
あちらこちら
そこかしこに

私は留まり
留まりつづける

二極化された分類のなかで
君が去り行く人間ならば
私は留まる人間

だから
私は留まり
留まることしか知らない

銀行のキャッシュコーナーに
1丁目の電信柱の影に
書類の山にうずもれ
親指の盲牌にまかせ
不完全な円周率を描きながら
舶来の煙草に咽びながら

私は留まり
留まることをやめようとしない

そして
去り行く君よ
私は留まることを日々とし
日々、留まることで
私は留まるのだ
2001/10/25 (Thu)
雨の粒たちが描く
池の波紋を見ながら
保育園からの帰り道
娘は赤い小さな傘をさして
唇をぎゅっと結んで

最近、娘の話題といえば
明日の遠足のことばかり
弁当のおかずの注文とか
当日の集合時間とか
加奈ちゃんと手をつないで行くことだとか

明日は雨のち晴れの天気予報
帰ったら照る照る坊主でも作ろうか
出かかった言葉は
そのまま飲み込み
雨かもしれないね、と

夕食の間
娘はひととおり今までのおさらいをし
私と女房はいい加減うんざりし
いつもより1時間早く寝かせると
女房は弁当の下準備を始め
私は娘のビー玉で
照る照る坊主を作っても
頭だけが小さくて

窓を開ければ
相変わらずの雨模様
それでも
若干、雨脚が弱まったように見えたのは
多分気のせい

2001/10/25 (Thu)
ママ、雪が降ってきたよ
その晩、子供は
雪だるまをつくる夢を見ました

くそっ、雪が降ってきやがった
その晩、八百屋のおじさんは
明日の売上が気になりました

ああ、雪が降ってきたなあ
降る雪を見ながら
俳人は筆をとりました

あら、雪だわ
恋人同士の二人は
そっと肩を寄せ合いました

雪とは、おあつらえ向きだ
心理学者は雪と人間心理の因果関係について
論文を書き進めました

雪が降ってきた、砲撃中止だ
指揮官は命令しました
だって、彼はロマンチストなんですよ

今夜は各地で大雪となるでしょう
天気予報士はいつものとおり
自分の仕事をこなしました
予報が的中したので少々得意げに

次の朝
平均すると
1秒間に257人が
雪で滑ったということです

ちなみに寒がりなうちの犬は
こたつに潜り込もうとするのですが
長い尻尾だけが隠れません

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* ILLUSTRATION BY nyao *