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こっそりと詩を書く男の人
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たもつ
年齢:
57
性別:
男性
誕生日:
1967/06/05
自己紹介:
こっそりと詩を書く男の人
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2011/01/05 (Wed)
 
 
蛇口をひねると
小さな雲が出てきました
まだ水を作っている途中でした
水道管の中から
作業中の囁きが聞こえてきます
小さな雲は部屋の中を
ふわふわ移動すると
一滴の雨を降らせて
消えてしまいました
飲みかけのブロッコリースープを
ほんの少し薄めて
 
 
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2011/01/03 (Mon)


青い空でした
どこまでも澄んでいました
こちらの方が戸惑うくらいに
名前がありませんでした
形がありませんでした
ありがとう、も
言うことができませんでした
ごめんなさい、という言葉だけが
空のどこかに落ちて
小さな波紋を描くだけでした
でも、今ならやはり
ありがとう、という言葉が
一番相応しいと思えます
だから青い空の下
今日も辞書を引くのです
 
 
2011/01/02 (Sun)
 
 
真水で栞を作っています
本がすっかり乾いてしまったから
水に住む生き物や底に沈む石ころが
あれば良かったのですが
誰に許しを得れば良いのかわからないので
最初から無理な話でした
風でページがめくれます
重しの代わりにのせておいた
一枚のわら半紙は
舞い上がって
そのまま何処かへ飛んで行きました
目的などあるはずもないのに
 
  
 
2010/12/31 (Fri)
 
 
石化する
柔らかな石
心電図の
波形の谷間が
わたしたちの眠るところ
わたしたちの見聞きするところ
わたしたちの対話するところ

/年の瀬も差し迫ったふとしたある日
 一組の家族が引越しの準備をしている
 出発の直前まで
 母親は壁の亀裂を懐かしそうに指でたどっていた
 かつて寝室だった部屋の隅には
 積み残された子供用の座椅子
 一番末の娘が
 まだ座っている
  
 
2010/12/30 (Thu)
 
 
すべての子どもたちが夢や
夢とは違うものを見ている頃
誰もいない教室では
白墨が生徒の名前を
一人一人板書している

名前の下に記されているのは
その生徒にあった今日の出来事
何もない日などない
平凡な一日という
言い訳があるくらいで

白墨がすべてを書き終えると
黒板消しがそれを消していく
翌朝ばれないように
日直の残した模様を正確に真似て

ただ白墨だけが心もち
短くなっているけれど
教室とはそういうところ
たぶん、そんなところ

  
 
2010/12/28 (Tue)
 
 
友だちの家に遊びに行った
門のところで、久しぶり、と挨拶されたので
久しぶり、と答えた
もてなしてくれるのだろうか
和室に案内されて
お茶とお大福を振舞ってくれた
正直な話、あまり好きな食べ物ではなかったけれど
断るのも失礼なので
美味しいお大福ですね、と言って全部食べた
友だちは満面の笑顔で今度は羊羹を出してくれた
羊羹も好きではなかった
でも久しぶりに会った友だちを悲しませるのもあれだし
やはり残さずに食べた
その後にも
ショートケーキ、モンブラン、ドーナツ、お寿司、スパゲッティ等々
出てきた菓子や料理はすべて好きではないものばかりだった
嫌いではないものは、お茶とコーヒーの飲み物だったけれど
何か変な味がした
もしかして、この人は友だちではないのではないか
家を間違えてしまったのではないか
かつて苛めたことがあって、その仕返しをしているのではないか
いろいろな思いが頭を巡り、顔をまじまじと見ても
友だちは友だちのように、不安になるくらいの満面の笑顔で
何より思い出話はすべて通じたし
昔どこかで会った気もする
ご飯よ、と女の人の声がすると
友だちは人形の私を放り出して
部屋を出て行ってしまった
食べ物はすべて粘土で、液体は絵の具を溶かした水だった
口の中にべたべたとした粘土と絵の具の味だけが残った
もちろん、本物のお大福もスパゲッティやらも食べたことがないので
それらの味を知らないし
好きなものも嫌いなものもあるわけがなかった
おままごとをしている時だけ
私は私の人格を与えられるのだった
今度で何度目の私だったのだろう
意識が薄れていく
これからすべてを忘れる
またおままごとの機会があれば
新しい別の私が与えられるのだ
  
  
 
2010/12/26 (Sun)


無人のブランコが揺れる
温かくても冷たくても
風はいつもものを動かそうとする
ジャングルジムの天辺に登れた人が
みんなから尊敬されていた時もあった
そんなに昔のことではないけれど
 
非衛生的だ、という理由で
夏休みが始まる前に砂場は撤去された
反対していた人たちも今は何も言わない
忘れる、ということだって
人にとっては大切な仕事だから
 
洋菓子店のケーキの箱を
宝物のようにしっかりと抱えて
女の子が母親の後ろをついて歩く
木や家の壁に飾られた電球たちも
昼は束の間のお休み
その奥では収穫されないままの柚子が
風にまだ耐えている

2010/12/25 (Sat)


バスが山道のカーブを曲がりきれずに
ガードレールと  
摂食した
バスとガードレールが何を食べているのか
ここからはよく見えなかった
ただ黙々と摂食を続けていた
いっしょにバスに乗っていた昆虫たちは
だらしなく開いたドアや窓から
樹液などを舐めに飛んでいってしまった
わたしは一人
ひとつという言葉の方が似合うかのように
最後部の座席に取り残されていた
お腹が空いて食べられるものを探すと
ポケットの中にパンの耳があった
自分の耳のような食感がしたけれど
自分の耳など食べたこともないし
もう残っているものは何もなかった
 
 
2010/12/24 (Fri)
 
 
隙間から押し寄せる波が
文庫本の栞を
何に使うのだろう
一枚さらって
もとの海に戻っていく

生き物の柔らかな陰影
そのようなものがあると
いつまでも
触れていたくなる

がらんどうの口は安らかに崩れ
声のない言葉が
窓の向こう側へと沈む

ただいま
おかえり

それだけで
済むはずだったのに
  
 
2010/12/23 (Thu)


病院の待合室で
ヒマワリたちがソファーに並んで
自分の名前が呼ばれるのを待っている
けれどヒマワリたちには
個別の名前が無いので
何時まで経っても呼ばれはしない
ヒマワリは次々と入ってくる
ソファーに座れないものは
公衆電話の脇や廊下に
立ったまま咲いて待っている
一面のヒマワリ畑を抜け
個別の名前を呼ばれた人が
順番に診療室へと向かう
季節が終りやがて枯れると
どこからか小動物などがやってきて
種を巣穴に運び
冬支度を始める
 
 
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* ILLUSTRATION BY nyao *