プロフィール
HN:
たもつ
年齢:
57
性別:
男性
誕生日:
1967/06/05
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こっそりと詩を書く男の人
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ブーツを仕分ける
仕分けまくる
「ブーツの仕分けに関する判断基準」(抄)
第三条 良いブーツ(以下「良いブーツ」という。)は天国を歩ける
ブーツとする。
2 悪いブーツ(以下「悪いブーツ」という。)は天国を歩けないブ
ーツとする。
3 第一項及び第二項にある天国とは、「天国等の指定基準」第
二条第一項に規定された天国をいう。
これ、天国を歩けるから、良いブーツ
これ、天国を歩けないから、悪いブーツ
ここは天国ではないので
人々は悪いブーツを履いて歩いている
走っている
止まっている
這いつくばっている
だからみんな、悲観することはないし
モヒカンにする必要もない
もちろん好みの問題だから
モヒカンにしても構わない
ここは天国ではないから
天国ではないのだから
ブーツを頭に被っても構わないし
ブーツをブー津と表記しても
ブートゥと発音しても構わない
ブートゥの山に埋もれて泣いていた人が
ブートゥをかきわけて、かきわけて
頭を出すときこそが
誕生の瞬間
だからもっと仕分けることができる
仕分けまくることができる
これ、良いブーツ
これ、悪いブーツ
中に蚊がいることに気づかず
ブーツを履いて四か所も刺された義理の弟は
昨晩、結婚してすぐ
新婦とともにブーツの山に埋もれて
泣き始めるのだった
これ、とても良いブーツ
これ、とても悪いブーツ
ブーツを仕分ける
仕分けまくる
でも、どんなに仕分けまくっても
ブーツを廃止することはできない
ブーツは入れ物だから
命を受け止める
小さな入れ物なのだから
仕分けまくる
「ブーツの仕分けに関する判断基準」(抄)
第三条 良いブーツ(以下「良いブーツ」という。)は天国を歩ける
ブーツとする。
2 悪いブーツ(以下「悪いブーツ」という。)は天国を歩けないブ
ーツとする。
3 第一項及び第二項にある天国とは、「天国等の指定基準」第
二条第一項に規定された天国をいう。
これ、天国を歩けるから、良いブーツ
これ、天国を歩けないから、悪いブーツ
ここは天国ではないので
人々は悪いブーツを履いて歩いている
走っている
止まっている
這いつくばっている
だからみんな、悲観することはないし
モヒカンにする必要もない
もちろん好みの問題だから
モヒカンにしても構わない
ここは天国ではないから
天国ではないのだから
ブーツを頭に被っても構わないし
ブーツをブー津と表記しても
ブートゥと発音しても構わない
ブートゥの山に埋もれて泣いていた人が
ブートゥをかきわけて、かきわけて
頭を出すときこそが
誕生の瞬間
だからもっと仕分けることができる
仕分けまくることができる
これ、良いブーツ
これ、悪いブーツ
中に蚊がいることに気づかず
ブーツを履いて四か所も刺された義理の弟は
昨晩、結婚してすぐ
新婦とともにブーツの山に埋もれて
泣き始めるのだった
これ、とても良いブーツ
これ、とても悪いブーツ
ブーツを仕分ける
仕分けまくる
でも、どんなに仕分けまくっても
ブーツを廃止することはできない
ブーツは入れ物だから
命を受け止める
小さな入れ物なのだから
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瞬きが景色をつくる
壁面に反射する光
戻ってくる
街路樹の梢たち
人々の独白は
磁器を数える単位となり
いつまでも終わらないので
扉は貧しい影の所有者となる
そして形はいつも
識別するための記号に過ぎない
隙間の空いた風を吸い込み
気がつく
私を組成するものは
砂鉄であると


歯磨きが終わり
コップを手に取ると
何かのゼリーのような感触がして
指が中へと沈んでいく
そして右手は
コップそのものになってしまう
これから歯ブラシは
左手で持たなければいけない
そう思って左手を見ると
すっかり歯ブラシになっている
ブラシの部分が反り返るなど
駄目になっても交換できるように
側にあった取扱説明書を
丹念に読み始める


鞄を探していた
たった一つの鞄だった
大切にしていた鞄だった
心当たりのあるところは
すべて探した
鞄の中も探してみたのに
布製のハンカチや
プラスチック製の文房具など
必要だけれど
あまり大切ではないものしか
見つからなかった
そうこうしているうちに
すっかり夜が明けたので
鞄を押入れにしまう
今、押入れを開ければ
そこにある気がしてならない


木に実っていた最後の世界が
その重さに耐え切れず
落ちる
あっ、という誰かの叫びは
空気を震わせることなく
そのまま大気中へと浸透していく
店頭に並んでいた時計の化石を
少年がそっとポケットに入れる
小さな罪悪感の海では
銀色の魚が群れて泳ぎ
思考で生きている巻貝の一種が
舐めるように水底をはっている
奥まった日当たりの悪い書斎で
あなたは昔の咳をする
障子を少し開けると
細く柔らかい一筋の光
机の端に射し込んでいるのが
今でもわかる


冷蔵庫 冷やしたいから 冷やしてる
洗濯機 洗いたいから 洗ってる
右を見て 左を見たら 眠ってる
霜月の 雨に降られて 眠ってる
椅子がある ただそれだけで 眠ってる
眠ってる 隣の人は 起きている
イレイザー レーザーだけは 出しません
イレイザー レーサー乗れば イレーサー
イチョウの木 胃腸の弱い きみだから
門に立つ 男の人が 父でした
ランドリー ドリームだけは 見せません
イレーサー 内緒だけれど 眠ってる
しんぶんし 逆さにすると 読みにくい
コイン入れ ボタンを押すと ジュース出る
コイン入れ ボタンを押すと 切符出る
ジンギスカン 食べているのは チンギス・ハン
ジンギスカン 作っているのは フビライ・ハン
ジンギスカン 売っているのが 父でした
コイン入れ ボタンを押すと ゲップ出る
ゲップ出る 平賀源内 エレキテル
薬師丸 ひろ子に似てる 安達祐実
安達祐実 ひろ子に似てる 薬師丸
鳴かぬなら 鳴くまで待とう 薬師丸
鳴かぬなら 鳴くまでずっと 眠ってる
五枚目の 表彰状が これですか
新しい 駐車場にも 虫がいる
しんぶんし 元にもどせば 読みやすい
ゾウがいて パンダのいない 動物園
動物園 ヒグマの前で 死んだ振り
鳴かぬなら 鳴くまで待とう 本能寺
正解を 答えた途端 朝が来て
満天の 星を見ながら 手をつなぐ
手をつなぎ 二人でずっと 起きている
いつまでも 忘れないでね 眠っても


国道のアスファルトを
食べている様子が映像として流れる
「今朝のカバ」のコーナー
テレビの表面はいつも
山奥にある沼のように寂しいので
スイッチを入れれば
色とりどりの
本当や嘘のことを見せてくれる
ベテランらしき男性アナウンサーと
まだ若い女性アナウンサーが
こちらの方を見ながら
楽しそうに話をしているけれど
すべて聞こえてしまっている
ほんの一瞬、コメンテーターの半魚人が
悠々とお茶を飲んでいる場面が映る
よくある些細な放送事故
些細な事故
けれど、些細な事故であっても
打ち所が悪ければ
生きているものですら危ない
リモコン
モリコン
並べかえると嫌味がなくて
分解してみる
星占いのコーナーが始まり
丁寧に星座のことを教えてくれる
今日の私は双子座だそうだ
もたもたしているうちに
コマーシャルになる
精巧な偽札がたくさんあれば
買えるものばかり売っている
一日中晴天なので洗濯物が良く乾くでしょう
それではエンディングをお楽しみください


人が地下道の階段を下りて行く
地下道の中には
何も無いけれど
ただ、向こう側に行きたい
というだけで
地下道へと下りて行く
やがて階段を上り
再び地上に出たとしても
同じ空の下
同じ季節があるだけだというのに
人は賢くて寂しいから
向こう側へと行きたがる


夕暮れの校庭で
少年が一人
逆上がりの練習をしている
息はすでに上がり
手のマメは破れているけれど
何度も地面を蹴り続けている
成功したところで
得られるものも
失うものも
わずかばかりだというのに
世界は沈黙したまま
気泡に包まれた少年を
見守っている