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こっそりと詩を書く男の人
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たもつ
年齢:
57
性別:
男性
誕生日:
1967/06/05
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こっそりと詩を書く男の人
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2007/09/25 (Tue)
冷蔵庫を背負う
重くて温かい
海のようなものが
背中から体の中へと
伝わってくる
夏休みを終えて
少したくましくなった
児童たちの声が
外の方から聞こえる
かつてもこうして
海に似た誰かを
背負っていた気がする
その人の名を呼びながら
台所の片隅で
 
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2007/09/25 (Tue)
厳格な王様がいた
優しいお姫様がいた
富める者がいて
貧困と差別があった
内外で争いがあり
子どもたちは時々
壁にもたれかかって
よく笑った
忘れる人がいたけれど
同じように
忘れられる人がいた
薄暗い店内
卓上のマッチ箱には
美しかった国
と印字されていた
2007/09/21 (Fri)
木陰で体温の
呼吸する
と、内と外とが入れ替わり
境目に懐かしい
わたしのかたまりがある
施設の人と集配車の運転手が
簡単な口論をしている
近くのベンチで関係のない
小柄な男性が
誰かと待ち合わせをしている
すでに数年待ち続け
もう誰も
その男性を待ったりはしない
融けかかり
たなびき
季節はずれの陽炎のように
それでも背中が見えれば
人とわかる
2007/09/19 (Wed)
犬が休んでる
まるで僕のように

背筋が足りない
何かを継ぎたして
少しずつ毎日の
起立がある

どうしてだろう
お父さんになってしまうのは
瞬間は確かにあるのに
どんなに積み上げても
新生児一人の
歴史にも満たない

洗いたての水分を含む白衣の
重たくてまぶしい空は
漁場で蟹を手にする
男たちのところまで続き
また何人かのお父さんにする

僕は今朝
まぶたを人に貸して
そばで休む
まるで犬のように
2007/09/15 (Sat)
冷やし中華が
静かに終わった奥の方
特別なこともなく
人をまたぎ
人にまたがれ
狭い柄模様のシャツが
時々きれいだと感じられた
入口の貼紙には
かつての文字のようなものが書かれ
それはとても
大切だったのかもしれない
投げ出した足先は
細く色を薄くしたまま
穏やかに外海へと続き
海はどこまでも
水で湿っている
昨日までわたしが放していた
稚魚の類は
淡水魚だったと
昨日初めて知った
ちょうちょが卵を産んでいたよ
と幼いころの人が
何か言いながら戻ってくる
その様子が遠くまで見渡され
また途切れ
そして終わっている

2007/09/13 (Thu)
寝台車の匂いが
掌にする
腕はまだ
距離を測っている
残されたものを集めると
骨の近く
きしきしして
初めて靴を買ってもらったときの
恥ずかしい喜びしか、もう
いらない
小さな建物のところで
化膿した皮膚を
ただ掻きむしった
寝台車が体を乗せて
発車の準備をしている
さよなら
言葉は空気を
震わせてはいけない
2007/09/09 (Sun)
老廃物と手をつなぐ
せつないから
死んでるようだ
見たものが
足元で花になり
ピアスでしたね
初めてのプレゼントは
初めてでしたね
はがれていったのも
見送ることは時々
見送られることに
とても似ている
僕らはなるべくたくさんの
空気を吸い込む
生きようとして
なるべくたくさんの
ため息をつかなければならない


2007/09/09 (Sun)
ポケットが汚れ始めている
待合室は朝から眠たい
何かの整備工の人が
口を動かしている
語りかけるように
沈黙を選ぶ言葉があった
目を閉じようとすると
少しばらばらになる
水が優しい濃度の塩分を含み
つなぎとめている
空の遠いところを
爆撃機が行く
守ることではなく
守られることに慣れてしまった
僕たちは何度も殺しあい
笑いあい、そしてまだ
愛していたのだ

2007/08/29 (Wed)
やさしみの
さかなが
しずかに
みなもをおよぐ

やわらかな
さざなみは
しあわせなきおくを
みたそうとする

やきつくされたあさ
さいれんがなりひびく
しきはまためぐり
みらいなんてしらない

やさしさをくちにふくみ
さかなはいく
しろくまずしいいきつぎをして
みずはひとのかたちににている
 
2007/08/28 (Tue)
はさみ
兵藤ゆきより
大きなはさみを
買う
ポケットには入らないので
背負って
帰る
兵藤ゆきですら
背負ったことないのに
道が市街地に向かって
少し車で混んでる
子供の頃
兵藤ゆきを背負いたい
と言うと両親は
あの人はきっと有名な人だから
そう言って
柔らかい体のまま
テーブルを拭いたり
何か持ったりしていた
代わりに両親を
背負ってあげれば良かった
でも腐った匂いがして
淋しい感じしかしなかった
はさみ
のひんやりとした感覚が
背中に温められて
体温と同じ温度で
兵藤ゆきも同じくらいだろうか
少し懐かしい
腐ったような匂いに
足をとられそうになる
もしかしたらその匂いは
両親のものでも
はさみのものでもなく
自分のものかもしれない
そう思うと
生きた心地がしていない
おそらくあの日から
ずっとだ

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* ILLUSTRATION BY nyao *