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こっそりと詩を書く男の人
  プロフィール
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たもつ
年齢:
58
性別:
男性
誕生日:
1967/06/05
自己紹介:
こっそりと詩を書く男の人
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2025/06/15 (Sun)
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2007/02/06 (Tue)
頁をめくる指に
降る水がある
温度とそうでないものとが混在し
それは仄かな懐かしさで
やがて積もっていく
一月の末日
漢方の匂いが漂う診療所の待合室
あなたはまだ誰にも知られていない
かのようにたたずんでいた
窓の外、コンクリートの建物の側で
旗が風にはためいている
どこかの国旗だったはずだ
という記憶だけで
あなたがあなたの形をしている
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2007/02/04 (Sun)
下駄箱の中に橋を見つけた
渡りたくなって歩き始める
下を覗き込むと
いる物もいらない物も
等しく川を流れていた
空はどこまでも抜けるように青く
遠くに薄っぺらな虹がかかっている
一度もきれいだと思ったことないのに
見るたび人にきれいだと教えてあげていた
何かを踏んだ痛みで
裸足だったことに気づく
今日はお休みするとあかしさんにお伝えください
冷たい指で電話して言った
靴のことは告げなかったけれど
それで咎められることはなかった
2007/01/31 (Wed)
エレベーターに乗ろうとして
エベレストに乗ってしまった
家のローンもあと二十年くらい残ってるのに
まさか自社ビルで遭難するなんて
眠ったまま電車を乗り過ごすこと数回
失恋十数回
上司に怒鳴られた回数数知れず
奥さんを泣かせたことはないけれど
もしかしたら僕の知らないところで
泣いていたのかもしれない
この期に及んでも
そんなことでしか自分を総括できない
子供のころエベレストと言えずに
エレベストと言っていた
そんなこと
もう誰も思い出してくれないんだろう
2007/01/30 (Tue)
簡単な申請をして
小さなお役所のソファーで
僕らは順番を待ってる
制度はいつも公平で
人に優しい
前に座っている子供が
しきりに咳きこみ
母親と思しき人が
その背中をさすっている
僕らは待ってる
君の手を握ると
届くものと届かないものとがあって
その愛しさに
泣きたくなってしまう
君に会えて良かった

2007/01/30 (Tue)
今日は朝から
角を曲がる犬にたくさん会った
いま目の前を歩いているこの犬も
やがては角を曲がるのだ
君にその話をすると
頷きながら聞いてくれたけれど
僕がどれくらいの角を曲がってきたのかは
うまく説明できなかった
僕らいったいいつまで
命の真似事をしてるんだろう
こうしている間にも
どこかで犬が角を曲がってる
そう思ったのは
君の方だったと思う


2007/01/27 (Sat)
脊椎動物として生きる
その悲しみ

そして
珍しく雪が降った
朝の喜び

もし君が生まれてきたら
おもいっきり抱きしめて

そんなことのいくつかを
教えてあげたい
2007/01/25 (Thu)
ランドセルから鉄屑をまき散らし
小学生たちが歩いていく
賞味期限が切れて
生温くなった答案用紙を
噛み砕きながら
テレビで見るホームレスも
ここにはいない
家がなければ居てはいけない
なんて息苦しい
と言えば
君が笑う気がする
やがてみんな息をしなくなるのよ
そう言って
君が笑う気がする
2007/01/23 (Tue)
割れた小窓の向こうに
子供の靴が転がってる
幸せはいつも
シャボンが泡立ったときの
匂いに似て苦しい
どうしてわたしは
名前を書いておかなかったのだろう
指を動かして
桟に父の旧姓を書いてみる
2007/01/21 (Sun)
檻の中には
消しゴムがひとつあった
動かなかった
夜行性
と書かれていた
夜まで待ちたい
君は言ったけれど
その前に
閉園時間になってしまった
帰り道、赤信号で止まった
右左よく見て
二人で走って渡った
2007/01/21 (Sun)
鉛筆を指で回す君
鉛筆に指を回される僕
色の付いた服を着ている先生
お花畑の隣にある工場でつくられた黒板
下手糞なうそ
という言い訳

筆箱を空けると
いつもそこには青い空が広がっていた

みんなみんな
明日卒業です
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* ILLUSTRATION BY nyao *