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こっそりと詩を書く男の人
  プロフィール
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たもつ
年齢:
58
性別:
男性
誕生日:
1967/06/05
自己紹介:
こっそりと詩を書く男の人
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2025/06/16 (Mon)
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2007/01/20 (Sat)
僕と同じ温度を保って
こぎ続けられた自転車が
雨を避けておさまってる

一匹の虫がサドルから落ちた
葉っぱしか食べられない虫
それ以外に見当がつかない

貼紙に書かれた
「駐輪場使用に当たっての注意事項」より
僕はきっと速く走ることができるはずだ
自転車なんか使わなくたって

冷蔵庫を買いに行った君が
そろそろ帰ってくる
迎えに来なくてもよい、というので
行かずに待ってる
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2007/01/19 (Fri)
一晩中齧り続けていたんだろう
プラスチックの値札にたくさんつけられた
君の歯型

僕は茹でたカニをリュックにつめながら
君に謝る言葉を考えてる

遠く列の先では
レジ係の人が自分の仕事に忙しい
煩雑な手続きが多すぎて
「切ない」までたどりつけない
2007/01/18 (Thu)
改札口の向こうで
ピアノに蟻が集っている
きっと甘いんだろう

ハモニカを忘れてきた駅員が
時刻表に小さな落書をする
間もなく秋が来るのに
量が足りてないのだ

まだ君と僕とが出会う前の話
もしかしたらこれからも
出会わないかもしれない

2007/01/18 (Thu)
コンビニのレジから
僕らのタクシーがあふれ出すから
春はまた息苦しい

行き先も告げずに乗ると
君の家を通過して
犬小屋の屋根を壊してしまう

料金を体温で支払う
少しのおつりが返ってくる
手をつないだだけで伝わるなら
僕らは生まれてくる必要などなかった


2007/01/17 (Wed)
弟がつり革になって
ぶらさがってる
白い輪っかのところなどは
良いつくりだった
揺れるたびに僕はぎゅっと握り
引っ張られた弟は
それでも痛いとは言わなかった
昔からそういう子だった
窓からは海に沿って工業地帯が見える
いい生徒さんでした
隣にいる担任の先生が教えてくれた
僕は何も教えたくはなかった
2007/01/17 (Wed)
校庭で担任の先生が
カマボコを食べ続けている
僕らのささやかな幸せを願っている
その向こうの少し遠いところには生家があって
大きな窓から僕の可哀想なお父さんが
目を瞑っているのが見える
電気カミソリの音がうるさい
と言ったきりあまり動かなくなった
お母さんはスリッパの修理に没頭しすぎて
飛び出すのが遅くなってしまう
僕らはすべての持ち物に忘れそうな名前を書き
その間、誰の幸せも願わなくてよいので嬉しい
バナナはおやつですか
そんな人に優しい質問だけが
あたり一面の風となって
また一切れのカマボコになる
  ハムスター死んじゃったね
  埋めて行こうね
遠足が始まれば
こんな遠くまで来るんじゃなかったと
きっと誰か言うんだろう

2007/01/12 (Fri)
信号機が故障したので
シマウマがやってきて
代わりの信号になった
白と黒しかない縞模様で
シマウマは精一杯頑張った
多少の混乱はあったものの
車も歩行者もそれに従った
強いものは弱いものをかばい
弱いものはさらに弱いものをかばい
そして誰もが
シマウマを見守り続けた
「優しさ」という言葉では
何も説明できない
そんな日がかつてあった
これからもある
あるはずだ
2007/01/11 (Thu)
アスファルトの道路になりたい
たくさんの人の足や手に踏まれ
動物の糞尿に汚され
言葉を読むことも書くこともせず
さよならも言わない
それで何が許されるわけでもないけれど
なだらかにカーブしながら消えて
夏の陽射しに融けたりもする
でも本当になったとしたら
自分自身が一番悲しんでしまうんだろう
2007/01/11 (Thu)
波はもう台所まで押し寄せている
娘はバシャバシャ水を蹴りながら
学校の仕度に忙しい
妻は膝まで海水につかりながら
朝の牛乳を温めている
もしもの時のために集合場所を決めておこうか
と言うと
家族だから大丈夫よ、と答える
大丈夫かどうかはあるにしても
間違いなく僕らは家族だ
冷蔵庫に海鳥が一羽とまる
かもめ、そう言った時
妻も娘も他のところを見ていて
気づかなかった
2007/01/02 (Tue)
帰ります、とメールをしてきた君が向こうから全力疾走で


君の重さを受け止める。お姫様抱っこ?もう少し痩せてからね


人ごみに紛れこむとどうして私だけがここにいないんだろう


走るのが苦手だから校庭より広いものは空しか知らない


雨が上がったら傘なんか捨ててさ、虹の鳴き声を聞きに行こう


あなたの笑顔を見ていたいだけだよ生きている本当の理由は


むかし、あるところにあなたと僕がいました。幸せでした、おしまい。
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* ILLUSTRATION BY nyao *