プロフィール
HN:
たもつ
年齢:
57
性別:
男性
誕生日:
1967/06/05
自己紹介:
こっそりと詩を書く男の人
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帽子を覗くと
中には都会があった
かぶることも出来ないので
しばらく眺めることにした
頬杖なんてしたのは
いつ以来のことだろう
自分にも重さがあったのだと少し驚く
風変わりな光景があるわけでもなく
淡々と同じような風が吹いてる
誰かが誰かを探す音が聞こえる
こんなに小さな都会なのに
人の命が間違われているのだ
帽子のことは諦めて
むかし諦めたことを
思い出してみる
中には都会があった
かぶることも出来ないので
しばらく眺めることにした
頬杖なんてしたのは
いつ以来のことだろう
自分にも重さがあったのだと少し驚く
風変わりな光景があるわけでもなく
淡々と同じような風が吹いてる
誰かが誰かを探す音が聞こえる
こんなに小さな都会なのに
人の命が間違われているのだ
帽子のことは諦めて
むかし諦めたことを
思い出してみる
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パンの耳をもった女の子と
耳のパンをもった男の子が
出会い頭にぶつかった
バスケットの中身は
ぐちゃぐちゃに
離れたりくっついたりで
パンのパンと
耳の耳になった
知っているありったけの言葉で言い争い
それからすぐに仲直りした
二人は手をつなぎ
丘の上にある教会に行くと
お祈りをした
誰もが見たことのあるような
形の小さな祈りだった
耳のパンをもった男の子が
出会い頭にぶつかった
バスケットの中身は
ぐちゃぐちゃに
離れたりくっついたりで
パンのパンと
耳の耳になった
知っているありったけの言葉で言い争い
それからすぐに仲直りした
二人は手をつなぎ
丘の上にある教会に行くと
お祈りをした
誰もが見たことのあるような
形の小さな祈りだった


人形の人の死体が
石積みの河原に落ちていた
右ひじから先が無く
首も変な角度で曲がり
埃と泥にまみれていた
見たことのある人の死体は
どれもきれいに整っていたので
とても汚らしく感じられた
その日初めて
炭水化物、という言葉を教わった
夜寝ると
夢の中に炭水化物が出てきた
春の柔らかい陽射しが
美しく降り注いでいた
石積みの河原に落ちていた
右ひじから先が無く
首も変な角度で曲がり
埃と泥にまみれていた
見たことのある人の死体は
どれもきれいに整っていたので
とても汚らしく感じられた
その日初めて
炭水化物、という言葉を教わった
夜寝ると
夢の中に炭水化物が出てきた
春の柔らかい陽射しが
美しく降り注いでいた


夢を見て泣いていた
スリッパが重たくて
空を飛べない夢だった
食後、健康に良いからと
母親がみかんを一つ勧めてくれた
外に出ると
街にサーカスが来る日だったので
誰も淋しくなどなかった
すべての人がテント小屋に入れるわけではないが
周囲には様々な露天商が並び
毎年にぎやかだった
広場へと向かう人々の流れに逆らって
小走りに進んだ
どうしても飛ばなければならなかった
スリッパが重たくて
空を飛べない夢だった
食後、健康に良いからと
母親がみかんを一つ勧めてくれた
外に出ると
街にサーカスが来る日だったので
誰も淋しくなどなかった
すべての人がテント小屋に入れるわけではないが
周囲には様々な露天商が並び
毎年にぎやかだった
広場へと向かう人々の流れに逆らって
小走りに進んだ
どうしても飛ばなければならなかった


レジに並ぶ
買いものかごには
陳列棚にいた
やせ衰えた犬が入っている
丸まることもできず
横倒しに細長い
耳を澄ませば微かな息遣いが聞こえ
たぶん生きているのだと思う
レジを抜けると
サッカー台からどこまでも遠く
ベルトコンベアが続いている
国の人の指示に従ってその上に
さっき買ったばかりの犬を乗せる
処分場に運ばれるのだ
さ、よ、な、ら、
を言って
僕わ、泣く
たとえ偽善者と言われようと
僕わ、泣く
それから、僕わ、
ちゃんと幸せになる
買いものかごには
陳列棚にいた
やせ衰えた犬が入っている
丸まることもできず
横倒しに細長い
耳を澄ませば微かな息遣いが聞こえ
たぶん生きているのだと思う
レジを抜けると
サッカー台からどこまでも遠く
ベルトコンベアが続いている
国の人の指示に従ってその上に
さっき買ったばかりの犬を乗せる
処分場に運ばれるのだ
さ、よ、な、ら、
を言って
僕わ、泣く
たとえ偽善者と言われようと
僕わ、泣く
それから、僕わ、
ちゃんと幸せになる


目は節穴だけれど
何も見てこなかったわけじゃないよ
太古から人は愛の言葉をささやき
愛に良く似たものを
愛し続けてきたんだ
なんでクリスマスに歴史博物館なのよ
って恋人とじゃれる指のきれいな女の人が
昨晩浴槽で一人泣いていたことも
歴史の中ではお約束さ
何も見てこなかったわけじゃないよ
太古から人は愛の言葉をささやき
愛に良く似たものを
愛し続けてきたんだ
なんでクリスマスに歴史博物館なのよ
って恋人とじゃれる指のきれいな女の人が
昨晩浴槽で一人泣いていたことも
歴史の中ではお約束さ


ドロシー、カサブランカ、
喪中の君が
家の塀で遊んでいる
数台の引越しの車が側を通り
今日もどこかで引越しがあるのだ
と何となく感じる
言葉はまだ書けないから
でも言葉はもう口に出来るから
しゃべって
それからもっと沢山しゃべって
ドロシー、カサンブランカ
夢を見た朝は
伝えたいことばかり
ドロシー、カサブランカ、
世界は何で未来に向かっているのか
なんて君は思わない
思っているのはいつも僕の方だから
それより君は
一週間前のことすらも
うまく思い出せない
思い出す必要もないのだけれど
水色のおもちゃが
壊れて土に転がってる
君の名を書いてくれた大切な人に
いつか温もりを与えるのは
たぶん君だ
ドロシー、カサブランカ、
風の良い匂いがしている間
少し黙ってる
喪中の君が
家の塀で遊んでいる
数台の引越しの車が側を通り
今日もどこかで引越しがあるのだ
と何となく感じる
言葉はまだ書けないから
でも言葉はもう口に出来るから
しゃべって
それからもっと沢山しゃべって
ドロシー、カサンブランカ
夢を見た朝は
伝えたいことばかり
ドロシー、カサブランカ、
世界は何で未来に向かっているのか
なんて君は思わない
思っているのはいつも僕の方だから
それより君は
一週間前のことすらも
うまく思い出せない
思い出す必要もないのだけれど
水色のおもちゃが
壊れて土に転がってる
君の名を書いてくれた大切な人に
いつか温もりを与えるのは
たぶん君だ
ドロシー、カサブランカ、
風の良い匂いがしている間
少し黙ってる


夏のショッピングモールは
何かの記念日のように
沢山の人で溢れかえっていた
前を歩く老人のTシャツに
ウィンクをした大きな
マンガの猫が描かれていた
猫が好きな人ならいいのに
そう思った
母方の祖父は猫舌だったそうだ
猫舌の祖父は
南の島のジャングルで
味方に見捨てられ
犬死した
猫や犬ではなく
本当は馬が好きだった、と
祖母は教えてくれた
その祖母も
表替えしたばかりの
畳の匂いを嗅ぎながら
亡くなった
春に生まれて
「はる」と名付けられたが
葬式は秋に執り行われた
最後まで
動物は飼わなかった
何かの記念日のように
沢山の人で溢れかえっていた
前を歩く老人のTシャツに
ウィンクをした大きな
マンガの猫が描かれていた
猫が好きな人ならいいのに
そう思った
母方の祖父は猫舌だったそうだ
猫舌の祖父は
南の島のジャングルで
味方に見捨てられ
犬死した
猫や犬ではなく
本当は馬が好きだった、と
祖母は教えてくれた
その祖母も
表替えしたばかりの
畳の匂いを嗅ぎながら
亡くなった
春に生まれて
「はる」と名付けられたが
葬式は秋に執り行われた
最後まで
動物は飼わなかった


月曜日は新聞当番なので
いつもより一時間早く出勤する
業界紙も含めた各紙を切り抜き
部長室分もあわせて十三部コピーする
厳密に言えば著作権違反という議論も
今ではどこかに行ってしまった
それから雨上がりの水たまりに
釣竿を垂れる
魚なんて釣れるわけ無いけど
これも立派な仕事なのだ
サンダル履きだけはやめて
と君が笑って言った原っぱにも
もう
何かの建物がたち始めている
いつもより一時間早く出勤する
業界紙も含めた各紙を切り抜き
部長室分もあわせて十三部コピーする
厳密に言えば著作権違反という議論も
今ではどこかに行ってしまった
それから雨上がりの水たまりに
釣竿を垂れる
魚なんて釣れるわけ無いけど
これも立派な仕事なのだ
サンダル履きだけはやめて
と君が笑って言った原っぱにも
もう
何かの建物がたち始めている


洗濯物を取り込む音が
二階のベランダから聞こえてくる
言い争うことも無く
君は、淋しい
とつぶやいた
僕らは同じ悲しみを
分かち合って生きる
多分同じくらいの
分かち合えない悲しみを持って
空にあってよかった
と思う
そして時々
本当は空に何があったのか
わからなくなってる
二階のベランダから聞こえてくる
言い争うことも無く
君は、淋しい
とつぶやいた
僕らは同じ悲しみを
分かち合って生きる
多分同じくらいの
分かち合えない悲しみを持って
空にあってよかった
と思う
そして時々
本当は空に何があったのか
わからなくなってる