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こっそりと詩を書く男の人
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たもつ
年齢:
57
性別:
男性
誕生日:
1967/06/05
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こっそりと詩を書く男の人
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2006/12/31 (Sun)
帽子を覗くと
中には都会があった
かぶることも出来ないので
しばらく眺めることにした
頬杖なんてしたのは
いつ以来のことだろう
自分にも重さがあったのだと少し驚く
風変わりな光景があるわけでもなく
淡々と同じような風が吹いてる
誰かが誰かを探す音が聞こえる
こんなに小さな都会なのに
人の命が間違われているのだ
帽子のことは諦めて
むかし諦めたことを
思い出してみる

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2006/12/31 (Sun)
パンの耳をもった女の子と
耳のパンをもった男の子が
出会い頭にぶつかった
バスケットの中身は
ぐちゃぐちゃに
離れたりくっついたりで
パンのパンと
耳の耳になった
知っているありったけの言葉で言い争い
それからすぐに仲直りした
二人は手をつなぎ
丘の上にある教会に行くと
お祈りをした
誰もが見たことのあるような
形の小さな祈りだった
2006/12/25 (Mon)
人形の人の死体が
石積みの河原に落ちていた
右ひじから先が無く
首も変な角度で曲がり
埃と泥にまみれていた
見たことのある人の死体は
どれもきれいに整っていたので
とても汚らしく感じられた
その日初めて
炭水化物、という言葉を教わった
夜寝ると
夢の中に炭水化物が出てきた
春の柔らかい陽射しが
美しく降り注いでいた
2006/12/24 (Sun)
夢を見て泣いていた
スリッパが重たくて
空を飛べない夢だった
食後、健康に良いからと
母親がみかんを一つ勧めてくれた
外に出ると
街にサーカスが来る日だったので
誰も淋しくなどなかった
すべての人がテント小屋に入れるわけではないが
周囲には様々な露天商が並び
毎年にぎやかだった
広場へと向かう人々の流れに逆らって
小走りに進んだ
どうしても飛ばなければならなかった
2006/12/23 (Sat)
レジに並ぶ
買いものかごには
陳列棚にいた
やせ衰えた犬が入っている
丸まることもできず
横倒しに細長い
耳を澄ませば微かな息遣いが聞こえ
たぶん生きているのだと思う
レジを抜けると
サッカー台からどこまでも遠く
ベルトコンベアが続いている
国の人の指示に従ってその上に
さっき買ったばかりの犬を乗せる
処分場に運ばれるのだ
さ、よ、な、ら、
を言って
僕わ、泣く
たとえ偽善者と言われようと
僕わ、泣く
それから、僕わ、
ちゃんと幸せになる
2006/12/23 (Sat)
目は節穴だけれど
何も見てこなかったわけじゃないよ
太古から人は愛の言葉をささやき
愛に良く似たものを
愛し続けてきたんだ
なんでクリスマスに歴史博物館なのよ
って恋人とじゃれる指のきれいな女の人が
昨晩浴槽で一人泣いていたことも
歴史の中ではお約束さ

2006/12/23 (Sat)
ドロシー、カサブランカ、
喪中の君が
家の塀で遊んでいる
数台の引越しの車が側を通り
今日もどこかで引越しがあるのだ
と何となく感じる

言葉はまだ書けないから
でも言葉はもう口に出来るから
しゃべって
それからもっと沢山しゃべって
ドロシー、カサンブランカ
夢を見た朝は
伝えたいことばかり

ドロシー、カサブランカ、
世界は何で未来に向かっているのか
なんて君は思わない
思っているのはいつも僕の方だから
それより君は
一週間前のことすらも
うまく思い出せない
思い出す必要もないのだけれど

水色のおもちゃが
壊れて土に転がってる
君の名を書いてくれた大切な人に
いつか温もりを与えるのは
たぶん君だ
ドロシー、カサブランカ、
風の良い匂いがしている間
少し黙ってる

2006/12/21 (Thu)
夏のショッピングモールは
何かの記念日のように
沢山の人で溢れかえっていた
前を歩く老人のTシャツに
ウィンクをした大きな
マンガの猫が描かれていた
猫が好きな人ならいいのに
そう思った
母方の祖父は猫舌だったそうだ
猫舌の祖父は
南の島のジャングルで
味方に見捨てられ
犬死した
猫や犬ではなく
本当は馬が好きだった、と
祖母は教えてくれた
その祖母も
表替えしたばかりの
畳の匂いを嗅ぎながら
亡くなった
春に生まれて
「はる」と名付けられたが
葬式は秋に執り行われた
最後まで
動物は飼わなかった

2006/12/21 (Thu)
月曜日は新聞当番なので
いつもより一時間早く出勤する
業界紙も含めた各紙を切り抜き
部長室分もあわせて十三部コピーする
厳密に言えば著作権違反という議論も
今ではどこかに行ってしまった
それから雨上がりの水たまりに
釣竿を垂れる
魚なんて釣れるわけ無いけど
これも立派な仕事なのだ
サンダル履きだけはやめて
と君が笑って言った原っぱにも
もう
何かの建物がたち始めている
2006/12/21 (Thu)
洗濯物を取り込む音が
二階のベランダから聞こえてくる
言い争うことも無く
君は、淋しい
とつぶやいた

僕らは同じ悲しみを
分かち合って生きる
多分同じくらいの
分かち合えない悲しみを持って

空にあってよかった
と思う
そして時々
本当は空に何があったのか
わからなくなってる

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* ILLUSTRATION BY nyao *