プロフィール
HN:
たもつ
年齢:
57
性別:
男性
誕生日:
1967/06/05
自己紹介:
こっそりと詩を書く男の人
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「生き春巻」です
店員は言った
メニューを見直す
確かに「生き春巻」とある
生き春巻は時々皿の上でもぞもぞ動くが
その間も気持ちを見透かすかのように
目のようなものでこちらを睨み続けている
どうやって食べるのか尋ねると
私の親友なものですから
泣きそうな顔で店員が答える
言葉で出来た翼のようなものがあったので
鳥、と呼ぶと
生き春巻は開け放たれた窓から
外に飛んで行ってしまった
曇った空は
誰かの作り話のように美しかった
店員は言った
メニューを見直す
確かに「生き春巻」とある
生き春巻は時々皿の上でもぞもぞ動くが
その間も気持ちを見透かすかのように
目のようなものでこちらを睨み続けている
どうやって食べるのか尋ねると
私の親友なものですから
泣きそうな顔で店員が答える
言葉で出来た翼のようなものがあったので
鳥、と呼ぶと
生き春巻は開け放たれた窓から
外に飛んで行ってしまった
曇った空は
誰かの作り話のように美しかった


はじめまして
しょっかくもどきです
むしのあたまにはないけれど
さんねんめになります
ネコをみるのがとくいです
どこまでつづいているのか
ときどきふしぎになります
こんなわたしですが
みなさん よいあきを
しょっかくもどきです
むしのあたまにはないけれど
さんねんめになります
ネコをみるのがとくいです
どこまでつづいているのか
ときどきふしぎになります
こんなわたしですが
みなさん よいあきを


脚を折りたたんだ正座で
あなたはラーメンを提出し
わたしがお品書きのとおりに
並べていく
合間合間に広がっていくものが
チャーシューの色や野菜に似ていて
わたしたちの中心なのだと気づく
それでわからないことのほとんどは
解決したのだけれど
傘の心配の話をすると
水より重いものなどないよ
そう言って
あなたは微笑んでくれた
あなたがわたしの名前を覚えてから
忘れるまで数年かかった
どうしても人だから
生きたまま寝違える日もある
そうしているうちにも
わたしはまた
細めんを頼んでしまう
あなたはラーメンを提出し
わたしがお品書きのとおりに
並べていく
合間合間に広がっていくものが
チャーシューの色や野菜に似ていて
わたしたちの中心なのだと気づく
それでわからないことのほとんどは
解決したのだけれど
傘の心配の話をすると
水より重いものなどないよ
そう言って
あなたは微笑んでくれた
あなたがわたしの名前を覚えてから
忘れるまで数年かかった
どうしても人だから
生きたまま寝違える日もある
そうしているうちにも
わたしはまた
細めんを頼んでしまう


郵便配達員がポストと
駆け落ちをした
四畳半の小さな部屋だった
配達員は毎日
せっせと手紙を書いて投函した
春という字を書くと
いつも何だかくすぐったかった
集配時間には
ごめんね、と言って
ふたを開き
世界中の人に手紙を届けた
遠い国の争いごとには
無関心な世間の人も
ふたりのことは温かく見守った
駆け落ちをした
四畳半の小さな部屋だった
配達員は毎日
せっせと手紙を書いて投函した
春という字を書くと
いつも何だかくすぐったかった
集配時間には
ごめんね、と言って
ふたを開き
世界中の人に手紙を届けた
遠い国の争いごとには
無関心な世間の人も
ふたりのことは温かく見守った


バスの停留所に
動物列車がやってきた
乗ろうとするけれど
人間はお断りです、と
動物の運転手に怒られてしまった
レールも無いのにどうして
そう思ってよく見ると
窓から次々と動物たちが降りて
列車の先でレール状に横たわっている
通った来たところはずっと遠くまで
大小様々な形の死骸が連なっている
この跡をたどって行けば
わたしもいつか乗れるのだろうか
世界、と呼べば
とてもきれいな気がする
この世界で
動物列車がやってきた
乗ろうとするけれど
人間はお断りです、と
動物の運転手に怒られてしまった
レールも無いのにどうして
そう思ってよく見ると
窓から次々と動物たちが降りて
列車の先でレール状に横たわっている
通った来たところはずっと遠くまで
大小様々な形の死骸が連なっている
この跡をたどって行けば
わたしもいつか乗れるのだろうか
世界、と呼べば
とてもきれいな気がする
この世界で


犬の耳が
ちょうちょになって
飛んで行ってしまった
音が出なくて済むように
静かな玩具を買い与えた
名前を呼んでも
もう振り返らない
それでも涼しい場所は
誰よりも知っていて
風にほんの少し揺れる
ちょうちょになって
飛んで行ってしまった
音が出なくて済むように
静かな玩具を買い与えた
名前を呼んでも
もう振り返らない
それでも涼しい場所は
誰よりも知っていて
風にほんの少し揺れる


空を飛ぶ音速機のうしろを
分度器が追いかけていく
私たちの経験したいくつかは
戦いと何が違うというのか
今年もまた
美しくこすもすが咲いた
お兄ちゃん
いい歳をして
まだそんな呼び方を
してみたくなる
分度器が追いかけていく
私たちの経験したいくつかは
戦いと何が違うというのか
今年もまた
美しくこすもすが咲いた
お兄ちゃん
いい歳をして
まだそんな呼び方を
してみたくなる