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こっそりと詩を書く男の人
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たもつ
年齢:
58
性別:
男性
誕生日:
1967/06/05
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こっそりと詩を書く男の人
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2025/06/17 (Tue)
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2006/08/30 (Wed)
本が泣いてわたしになる
わたしになってわたしは
栞を探している
手を伸ばすとその向こうで
むかし弟をしていた人が
雑草を抜いている

外には他にも生きものがいて
窓という窓は
その呼吸でくもっている
半年の間町内会の書記を務め
あとは泣かなくなったその人のために
かわいそうなお話を
たくさん作った

抜いた雑草を栞にしてあげる
その人は言ったけれど
最初からそんなものは生えていない、と
わたしだけが知っているので
とても申し訳なく思う
何度も頭を下げ
あとがきを呟いている
わたしの声が聞こえる

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2006/08/30 (Wed)
お花畑のようなものでできた駅に
列車が到着して
たくさんの乗客が降りてくる
小さなホームはやがて人で溢れかえり
それでも乗客は降り続ける
もう車内に
人っ子一人残っていないというのに
もちろん夢の中の話にちがいないのだが
誰が見ている夢かわからないので
いつまでも人は降り続けるしかないのだ
列車が溶けてだして
ナマコみたいなものになると
ようやくどこか遠くの方から
夏に生きる虫たちの
発声が聞こえ始める
2006/08/25 (Fri)
木、その大きな直立
階段でいっしょになって笑い
二段抜かしをした九歳のように
セミの声だけが
音でよかった
根元に座って
レンガらしいレンガばかりを
レンガと呼び
それ以外のものはどこまで届くか
投げて遊んだ
じゃんけんの後出しが得意で
ねこじゃらしをいっぱい集め
珍しい虫や人の話もした
葉、その夕方の揺らめき
覚えている花の名を数えると
足りないのでまた笑った
言葉だけで
すべてが語れる気がしていた
明日見たこともない飛行機が来て
何もかもがなくなっちゃうなんて
知りもしなかった
2006/08/23 (Wed)
「式」がpoenique8月のぽえ。に選ばれました。
2006/08/22 (Tue)
香ばしい匂いがして
私を育ててくれた人が
パンになってる
押せばふかふかするくらい
焼きたてだった
少し離れたところに
積まれた下着に向かって
丁寧にお辞儀をしている
どこが手か足かもわからないのに
礼儀だけはいつまでも
忘れることができないのだ
きれいなパンになったんだね
そうなの?きれいなものは皆パンなのね
かつてその人がしてくれたみたいに
下着を一枚一枚たたんだ
さっき見た庭の雑草の類は
明日にでも抜くことにしよう
多分その後で
泣いてしまうんだろう

2006/08/22 (Tue)
あなたの古い帽子の色を
新しくし続けている
寂しいことがいつも
正しいこととはかぎらないけれど

もう少し、窓を、開けて
虫たちのお葬式が
時々見えるから

小さな座卓では
行儀の良い子どもが
おもちゃの形を楽しみ
その手は澄みわたってる

2006/08/17 (Thu)
僕らは空気を育てた
空気を育て空気と遊んだ
外を連れて歩くと
人はそれを風と呼んだ
空気は僕らを食べて育った
食べられて僕らは
その大きなお腹のようなところで
何度も生まれかわった
何度生まれかわっても
手をつなぐことができた
ある日僕だけが
生まれかわらなかった
君は何度も生まれかわり
僕は何度も生まれかわらなかった
君は小さな石に僕の名を刻んだ
お墓みたいだ
僕は笑ったが
マタニティクリニックへとゆっくり歩く
君の後姿が
朝の空気を伝わってくる
2006/08/11 (Fri)
昨日は開襟シャツの男が死んだ
今日はスプーンをくわえた女の死体を見ながら
明日もきっと生きているものは逝くのだろう
死は簡単に転がっていて
気づかないふりをして過ごす毎日は
とても息苦しい
こんなことができるのはあなたしかいないんですよ
皆が振り向いたその視線の先にいるのが
自分でなくて良かった
自分が自分であるというアリバイなど
誰にも証明することなどできないのなから
真実は本当にいつもひとつなんだろうか
そんなもの最初からないのかもしれない
忘れられた夕暮れ
のような事実の断片にむかって
ボールをおもいっきり
蹴りこんでやりたくなる
2006/08/03 (Thu)
押入れの中で目覚めると
いつものように優しくなってる
手も足もおもいっきり伸ばして
指先の細かい部品までもが
思いやりに溢れている
感謝の言葉は誰に対しても
正確に発することができる
決して争わない
というプログラムは
本当はそんなに難しいものじゃない
けれどそのコードを
自分たちに書き込む術を知らないので
たくさんの人たちが困っている
メガネをかけた少年が
庭で六月の紫陽花を見ている
これから何度その名を呼ぶのか
およそ百年の後
自分が生まれるときには
もうとっくにいないというのに
2006/07/30 (Sun)
雲しうみへ
おそいひるのひ
おちていくかけ
ひと
めしあげないで



干しのさなかに
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