プロフィール
HN:
たもつ
年齢:
57
性別:
男性
誕生日:
1967/06/05
自己紹介:
こっそりと詩を書く男の人
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2005/07/12 (Tue)
七人の男
何を忘れたかったのだろう
街に一つしかない小さな駅で
男は窓の外に向かって手を振った
無人のホームでは鉢植えに植えられた
カモミールの花がゆれるばかり
やがて男を乗せた列車が発車すると
駅はしいんと静まりかえる墓石になった
刻まれた名はかつて誰かによって
大事にされていたはずだったが
今ではその名を呼ぶものもない
一面の草野原を走る列車は徐々に形を崩し
散り散りの砂になる
男は一粒の石英だった
あの時男は
ふと窓に映る自分に手を振ったのだ
街に一つしかない小さな駅で
男は窓の外に向かって手を振った
無人のホームでは鉢植えに植えられた
カモミールの花がゆれるばかり
やがて男を乗せた列車が発車すると
駅はしいんと静まりかえる墓石になった
刻まれた名はかつて誰かによって
大事にされていたはずだったが
今ではその名を呼ぶものもない
一面の草野原を走る列車は徐々に形を崩し
散り散りの砂になる
男は一粒の石英だった
あの時男は
ふと窓に映る自分に手を振ったのだ
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2005/07/12 (Tue)
七人の男
男は簡単だった
周りの人はみな
おまえは簡単だ、と言い
いたって普通だった男の両親は
なぜ普通の自分たちから簡単な子供が生まれたのか
死ぬまで不思議がった
時間があると男は海を見に行く
波
潮の匂いのする風
うち上げられたヒトデの亡骸
何一つとして男はうまく説明できない
男は自分を説明しようとする
時間をかけて何度もやり直し
やはり簡単という言葉にたどりつく
周りの人はみな
おまえは簡単だ、と言い
いたって普通だった男の両親は
なぜ普通の自分たちから簡単な子供が生まれたのか
死ぬまで不思議がった
時間があると男は海を見に行く
波
潮の匂いのする風
うち上げられたヒトデの亡骸
何一つとして男はうまく説明できない
男は自分を説明しようとする
時間をかけて何度もやり直し
やはり簡単という言葉にたどりつく
2005/07/11 (Mon)
七人の男
詳しいことは受付でお聞きください
そう言われて男はあたりを見回すが
どこにも受付などない
大切な用件なのだ
思い余って
受付はどこにあるのですか
と再び聞いてみた
あなたが受付です
胸にある名札を指差されて
ことの成り行きが理解できた
受付業務を確実に遂行する自信はあるのに
自分の名前のことになると
何も答えられない
そう言われて男はあたりを見回すが
どこにも受付などない
大切な用件なのだ
思い余って
受付はどこにあるのですか
と再び聞いてみた
あなたが受付です
胸にある名札を指差されて
ことの成り行きが理解できた
受付業務を確実に遂行する自信はあるのに
自分の名前のことになると
何も答えられない
2005/07/11 (Mon)
七人の男
男のズボンの右ポケットは
いつの間にか上着の胸ポケットに繋がっていた
えいっ、と腕を突っ込めば
指先が胸ポケットからにょきりと出る
それが生きていくうえで何の役に立つというのか
試しに公園で捕まえたハトを入れてみる
ハトは胸ポケットから出ることなく
そのままどこかに消えてしまった
それから数年たった
相変わらず公園には
たくさんのハトがいる
いつの間にか上着の胸ポケットに繋がっていた
えいっ、と腕を突っ込めば
指先が胸ポケットからにょきりと出る
それが生きていくうえで何の役に立つというのか
試しに公園で捕まえたハトを入れてみる
ハトは胸ポケットから出ることなく
そのままどこかに消えてしまった
それから数年たった
相変わらず公園には
たくさんのハトがいる
2005/07/08 (Fri)
七人の男
男は十数年ぶりに平均台の上を歩いた
平均台はジャングルにかかる丸太の橋で
その下には凶暴なワニが口を開けて待っている
そんな子供のころの一人遊びを思い出しながら
晩、男はトンカツを食べた
このブタはどこの平均台を歩いていたのだろう
凶暴な人間たちが口を開けて待っている姿を想像して
男はすっかり食欲をなくしてしまったが
すでにキャベツしか残ってなかった
平均台はジャングルにかかる丸太の橋で
その下には凶暴なワニが口を開けて待っている
そんな子供のころの一人遊びを思い出しながら
晩、男はトンカツを食べた
このブタはどこの平均台を歩いていたのだろう
凶暴な人間たちが口を開けて待っている姿を想像して
男はすっかり食欲をなくしてしまったが
すでにキャベツしか残ってなかった
2005/07/08 (Fri)
七人の男
男は冷蔵庫の中で傘を飼育している
夜の方が良く育つときいたので
朝になるとわくわくしながら傘に定規をあてるのだが
傘の長さが変わっていることはなく
その度にがっかりする
けれど男は知らない
日々定規が成長していることを
夜の方が良く育つときいたので
朝になるとわくわくしながら傘に定規をあてるのだが
傘の長さが変わっていることはなく
その度にがっかりする
けれど男は知らない
日々定規が成長していることを
2005/07/08 (Fri)
七人の男
男はふと時計を見た
まじまじと時計を見たことはなかったが
見れば見るほど
時計は自分に似ていた
あたりまえだ
男は時計なのだから
一方、時計はといえば
すでに着替えを終え
これからパーティーにいくところだった
男の方をちらりと見て
まだ間に合うなと髪を撫でた
まじまじと時計を見たことはなかったが
見れば見るほど
時計は自分に似ていた
あたりまえだ
男は時計なのだから
一方、時計はといえば
すでに着替えを終え
これからパーティーにいくところだった
男の方をちらりと見て
まだ間に合うなと髪を撫でた