プロフィール
HN:
たもつ
年齢:
57
性別:
男性
誕生日:
1967/06/05
自己紹介:
こっそりと詩を書く男の人
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2012/07/22 (Sun)
詩
1.
少年はカブトムシをつかまえた
兄が教えてくれた秘密の場所だった
早く少女に見せたくて走った
その頃、少女は黙祷をしていた
自分の汗が少し臭いと思った
生活というものは量であると
感じ始めていた
終戦記念日、午後が始まる
2.
消化器系の弱い犬が
夜明けの床を舐めている間に
約束という約束は
余すところなく履行された
誰もいない窓口では
山積みの証明書が
音をたてずに失効している
名前のようなものが書かれた紙飛行機は
遥か彼方の海峡を目指し
やがて少年も
少女に口づけをしたいと
思うようになるだろう
3.
夜の駅、少年と少女は
ベンチに座っていた
この町を出たかった
手の中には僅かのお金
二人だけで生活するには
あまりに幼かった
それなのに小人料金では
もうどこにも行けない
名前などいらない、と
少女がつぶやく
常夜灯でできた二人の影が
時々単純な命のように動く
4.
少年は夢の中で
少女を追いかけて走った
他愛もない遊び
もう少しでつかまえられる
というところで目が覚める
隣では妻が寝ている
自分はこの少女の何を
つかまえることができただろう
すべて理解していて
何も知らない
あの空も山も
同じものを違う目で見てきた
ちゃんづけで妻の名を呼んでみる
今でも呼び捨てにできない
5.
最初から、少年も
少女もいなかった
ただ、名前すらない、
願いのようのものが二つ、
風の中で
寄り添っているだけだった
大人ってばかだね
大人ってばかだね
そんなことを
楽しそうに言い合うと
少年と少女の形をして
原っぱを駆けて行った
ツイッター連詩「ボーイミーツガール」に投稿したものを
一部加除修正し、新たに2編を書き下ろした。
参加者
宮尾節子さん
山田兼士さん
たけだたもつ(たもつ)
1.
少年はカブトムシをつかまえた
兄が教えてくれた秘密の場所だった
早く少女に見せたくて走った
その頃、少女は黙祷をしていた
自分の汗が少し臭いと思った
生活というものは量であると
感じ始めていた
終戦記念日、午後が始まる
2.
消化器系の弱い犬が
夜明けの床を舐めている間に
約束という約束は
余すところなく履行された
誰もいない窓口では
山積みの証明書が
音をたてずに失効している
名前のようなものが書かれた紙飛行機は
遥か彼方の海峡を目指し
やがて少年も
少女に口づけをしたいと
思うようになるだろう
3.
夜の駅、少年と少女は
ベンチに座っていた
この町を出たかった
手の中には僅かのお金
二人だけで生活するには
あまりに幼かった
それなのに小人料金では
もうどこにも行けない
名前などいらない、と
少女がつぶやく
常夜灯でできた二人の影が
時々単純な命のように動く
4.
少年は夢の中で
少女を追いかけて走った
他愛もない遊び
もう少しでつかまえられる
というところで目が覚める
隣では妻が寝ている
自分はこの少女の何を
つかまえることができただろう
すべて理解していて
何も知らない
あの空も山も
同じものを違う目で見てきた
ちゃんづけで妻の名を呼んでみる
今でも呼び捨てにできない
5.
最初から、少年も
少女もいなかった
ただ、名前すらない、
願いのようのものが二つ、
風の中で
寄り添っているだけだった
大人ってばかだね
大人ってばかだね
そんなことを
楽しそうに言い合うと
少年と少女の形をして
原っぱを駆けて行った
ツイッター連詩「ボーイミーツガール」に投稿したものを
一部加除修正し、新たに2編を書き下ろした。
参加者
宮尾節子さん
山田兼士さん
たけだたもつ(たもつ)
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