プロフィール
HN:
たもつ
年齢:
57
性別:
男性
誕生日:
1967/06/05
自己紹介:
こっそりと詩を書く男の人
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固定された都市。流入する者と流出する者。その背中には皆一様に大きな鳥のくちばしがあり、そして光沢がある。鳴くわけではなく、また、捕食するわけでもない。ただそれは背中にあり、そして光沢がある
わたし、と自分を名乗るわたしはノートの罫線と罫線の間に父と母の名を交互に書き連ねている間に大人になった。両親の名を知らぬ人は何を書くべきなのだろうか、そう考えると忽然と書くことがなくなってしまった。
駅が泣きそうな顔でやってきて、列車をホームに停車させたいのですが、と申請書のようなものを差し出す。わたし、と名乗るわたしは許可権者ではなかったがはんこのようなものを押してあげた。駅は嬉しそうに礼を述べて帰った。これから毎日、来るはずのない列車を待ち続けなければならないのだ。
雨が降リ始めた。傘を持つ者は傘を差し、無い者は差さなかった。いずれにせよ、くちばしは傘に収まりきれないので濡れるしかなかった。人々は皮肉をこめて、それを「ささやかな平等」と言った。そのような、日常と呼ばれる断片の中で、わたしと名乗るわたしが行方不明になった、ということは翌日の報道で知った。
わたし、と自分を名乗るわたしはノートの罫線と罫線の間に父と母の名を交互に書き連ねている間に大人になった。両親の名を知らぬ人は何を書くべきなのだろうか、そう考えると忽然と書くことがなくなってしまった。
駅が泣きそうな顔でやってきて、列車をホームに停車させたいのですが、と申請書のようなものを差し出す。わたし、と名乗るわたしは許可権者ではなかったがはんこのようなものを押してあげた。駅は嬉しそうに礼を述べて帰った。これから毎日、来るはずのない列車を待ち続けなければならないのだ。
雨が降リ始めた。傘を持つ者は傘を差し、無い者は差さなかった。いずれにせよ、くちばしは傘に収まりきれないので濡れるしかなかった。人々は皮肉をこめて、それを「ささやかな平等」と言った。そのような、日常と呼ばれる断片の中で、わたしと名乗るわたしが行方不明になった、ということは翌日の報道で知った。
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