プロフィール
HN:
たもつ
年齢:
58
性別:
男性
誕生日:
1967/06/05
自己紹介:
こっそりと詩を書く男の人
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どうせなら
この世にいるすべてのライオンが
友達だったら良かったのに
あいにく僕には一頭の友達もいない
だから食べられても仕方ないんだ、と
そんな言い訳ばかりが得意になっていく
ライオンのことなどすっかり忘れられた
どこかのビルの中で
この世にいるすべてのライオンが
友達だったら良かったのに
あいにく僕には一頭の友達もいない
だから食べられても仕方ないんだ、と
そんな言い訳ばかりが得意になっていく
ライオンのことなどすっかり忘れられた
どこかのビルの中で
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野生のスープは養殖ものよりうまい
そう言って男たちは森に入っていった
そしてたくさんのスープを摘んで帰ってくると
順番に三枚におろして
色々な調味料で味付けをし
煮て、焼いて、蒸して
こねくり回して、素揚げにしていく
でもどうせスープなんだから最後は飲むのだと
知っている妻たちは
黙って海を見たり
靴を揃えたりしている
そう言って男たちは森に入っていった
そしてたくさんのスープを摘んで帰ってくると
順番に三枚におろして
色々な調味料で味付けをし
煮て、焼いて、蒸して
こねくり回して、素揚げにしていく
でもどうせスープなんだから最後は飲むのだと
知っている妻たちは
黙って海を見たり
靴を揃えたりしている


双子の兄弟が天秤の右と左に乗った
同じものを食べ同じものを着ているのに
右にのった弟の方が重かった
弟が髪の毛を数本抜いて
ようやく天秤は釣りあった
天秤から降りると
母親は二人の頭を撫でて
間違えることなく名前を呼んだ
同じものを食べ同じものを着ているのに
右にのった弟の方が重かった
弟が髪の毛を数本抜いて
ようやく天秤は釣りあった
天秤から降りると
母親は二人の頭を撫でて
間違えることなく名前を呼んだ


一限目 数学
ただ何事も無かったかのように
男は黒板に数式を書き足していく
黒板がすべて埋まると消して
再び数式を書き始める
数人の未成年がノートに書き写していくが
誰も男の背中を思い出さない
その間にも校庭の隅に百葉箱はあって
やはり何事も無い
近くにはどこまで行っても交わらない直線のように
幾つかの影が平行に並んでいる
二限目 現代文
教えるべき男は膨張する宇宙に足をとられて遅刻
教室の中央では蟻が行列を作っていて
日直の一人が涙を流しながら順番に潰している
部屋には潰された蟻の臭いが充満し
誰かが息を止めれば皆窒息してしまうから
誰もが呼吸を止めない
もう一人の日直が
昨日転校してきた人を保健室へと運ぶ
三限目 英語
ぬる
ぬるぬるだねえ
国際化の波がここまで押し寄せてきた好例だねえ
この国際化はぬるぬるだねえ
教卓がぬるぬるだねえ
リピートアフタアミーがぬるぬるだねえ
どこまで行っても救いが波みたいに続いている
確かにぬるぬるで
ぬるぬるでした
四限目 我が国における雇用の実態について
大きな木の下で女と男が出会う
二人は熱く抱擁し全裸になると
隅々までお互いの体を舐め回す
坂道を
自動車の無いタイヤが転がっていく
女も男もやがていなくなるまで
生きた
昼休みそして五限目以降
風を追いかけていく小人の足跡のように
あっ気なく省略されて
既に跡形もない
酋 長「そうかもしれない」
中年A「そうかもしれません」
ゆう子「気安く触らないでください」
まだ教室にたどり着けない現代文の男が
赤く錆び付いたまま小さく言葉を発した
ただ何事も無かったかのように
男は黒板に数式を書き足していく
黒板がすべて埋まると消して
再び数式を書き始める
数人の未成年がノートに書き写していくが
誰も男の背中を思い出さない
その間にも校庭の隅に百葉箱はあって
やはり何事も無い
近くにはどこまで行っても交わらない直線のように
幾つかの影が平行に並んでいる
二限目 現代文
教えるべき男は膨張する宇宙に足をとられて遅刻
教室の中央では蟻が行列を作っていて
日直の一人が涙を流しながら順番に潰している
部屋には潰された蟻の臭いが充満し
誰かが息を止めれば皆窒息してしまうから
誰もが呼吸を止めない
もう一人の日直が
昨日転校してきた人を保健室へと運ぶ
三限目 英語
ぬる
ぬるぬるだねえ
国際化の波がここまで押し寄せてきた好例だねえ
この国際化はぬるぬるだねえ
教卓がぬるぬるだねえ
リピートアフタアミーがぬるぬるだねえ
どこまで行っても救いが波みたいに続いている
確かにぬるぬるで
ぬるぬるでした
四限目 我が国における雇用の実態について
大きな木の下で女と男が出会う
二人は熱く抱擁し全裸になると
隅々までお互いの体を舐め回す
坂道を
自動車の無いタイヤが転がっていく
女も男もやがていなくなるまで
生きた
昼休みそして五限目以降
風を追いかけていく小人の足跡のように
あっ気なく省略されて
既に跡形もない
酋 長「そうかもしれない」
中年A「そうかもしれません」
ゆう子「気安く触らないでください」
まだ教室にたどり着けない現代文の男が
赤く錆び付いたまま小さく言葉を発した


金魚もいないのに
君は金魚鉢を買ってきて
それから金魚の餌と
水道水の塩素を中和する
透き通った小さな薬品も
買ってきて
それでも結局金魚鉢の中を
金魚が泳ぐことはなかったのは
多分僕が金魚鉢を壊したから
君は金魚鉢を買ってきて
それから金魚の餌と
水道水の塩素を中和する
透き通った小さな薬品も
買ってきて
それでも結局金魚鉢の中を
金魚が泳ぐことはなかったのは
多分僕が金魚鉢を壊したから


心臓破りの坂
に破られる心臓
そして
けたましく鳴り響く電話機
に似た形のビニール袋
に梱包された
けたましく鳴り響く電話機
の絵
も
範囲内の限りにおいては
どうにでもなる
僕が風邪をひいた時
看病してくれた君が風邪をひいた
あのまま永久に
風邪をうつしあってれば良かった
そうでなければ
誰にも看病されること無く
二人とも死んじゃえば良かった
首都高をいくら走っても
首都高にはなれなかった
あの日
という名の
その日
に破られる心臓
そして
けたましく鳴り響く電話機
に似た形のビニール袋
に梱包された
けたましく鳴り響く電話機
の絵
も
範囲内の限りにおいては
どうにでもなる
僕が風邪をひいた時
看病してくれた君が風邪をひいた
あのまま永久に
風邪をうつしあってれば良かった
そうでなければ
誰にも看病されること無く
二人とも死んじゃえば良かった
首都高をいくら走っても
首都高にはなれなかった
あの日
という名の
その日


部屋の中で素振りをしていると
外は激しい雨が降っていて
どこかとても遠いところから
僕の知らない動物の鳴き声が聞こえる
シマウマはたてがみも縞模様なのだと
テレビ番組でやっていたが
たてがみをもたない
そいつはもっと他の動物
僕の素振りは続き
雨はさらに激しさを増し
床上まで浸水し始めても
動物は相変わらず鳴き止まない
もしかしたらそれは鳴き声ではなく
泣き声なのかもしれない
とすると滴り落ちる汗のいくつかは
涙なのかもしれない
なんて
そんなセンチメンタリズムは
とっくに捨ててしまった
水位は既に胸のあたりまで達し
動物の溺れていく音がする
それでも僕は一人
君も、あなたも、おまえもいない部屋で
素振りを続ける
素振りなら負けない
外は激しい雨が降っていて
どこかとても遠いところから
僕の知らない動物の鳴き声が聞こえる
シマウマはたてがみも縞模様なのだと
テレビ番組でやっていたが
たてがみをもたない
そいつはもっと他の動物
僕の素振りは続き
雨はさらに激しさを増し
床上まで浸水し始めても
動物は相変わらず鳴き止まない
もしかしたらそれは鳴き声ではなく
泣き声なのかもしれない
とすると滴り落ちる汗のいくつかは
涙なのかもしれない
なんて
そんなセンチメンタリズムは
とっくに捨ててしまった
水位は既に胸のあたりまで達し
動物の溺れていく音がする
それでも僕は一人
君も、あなたも、おまえもいない部屋で
素振りを続ける
素振りなら負けない


食後に飲むはずだったビタミンが
テーブルの上で醗酵している
その熱で君の言葉は燃え尽きてしまった
僕らはたくさんの窓や部屋を投げあって
ぶつけあって、お互い
何となく傷ついてる
夏に生きていた虫たちは
最近姿を見せなくなった
九月が十月のように過ぎていく
テーブルの上で醗酵している
その熱で君の言葉は燃え尽きてしまった
僕らはたくさんの窓や部屋を投げあって
ぶつけあって、お互い
何となく傷ついてる
夏に生きていた虫たちは
最近姿を見せなくなった
九月が十月のように過ぎていく