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こっそりと詩を書く男の人
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たもつ
年齢:
58
性別:
男性
誕生日:
1967/06/05
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こっそりと詩を書く男の人
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2025/06/20 (Fri)
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2004/10/08 (Fri)
リュックサックに
色とりどりの
靴下や、申請書の類や、遺骨など
ありったけのものを詰め込み
それでもまだ何か忘れている気がして
何度も流しの下を覗いてみたり
縦笛を吹いてみたりもするが
明日もきっと
無いものの方が多いのだろう
今日は朝から曇っていて
曇った空しか見ることができない
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2004/10/06 (Wed)
食べられるものを食べるのが
好きな人でした
食べられないものを食べるのが
嫌いだったところは僕とは似たもの同士
だったかもしれません
食べられないものを食べないのが
好きだったか嫌いだったか
残念ながらそこまでは知りません
所詮それくらいの仲だろう、という誹りを
食べているときにも多々いただきましたが
食べられるものを食べないことは
時々好きでしたよ
と答えたときに限って相手は食べており
食べていない僕の言葉に
耳を貸してはいただけませんでした
さて今までに「食」という字は何回出てきたでしょう
という何かのジョークが披露されたような原っぱで
手を振りお別れしてから
昨日
数回の節目をむかえました
2004/10/04 (Mon)
微笑みの匂いがする最後の頁を
めくるかのように
僕が女を忘れたころ
女はいつもと同じ場所で
いつもと同じ歌を
歌っていたそうだ
未明
人も車も動き出さない冷たい駐車場
空を見失った一羽の鳥が
墜落していた
掌の中で
心音が心音でなくなる音を
確かに僕は聞いたのである

2004/10/02 (Sat)
君を失ったその

ためいきで

シャボン玉を吹いたら

ごろごろと床を

転がって

いきませんでした
2004/10/01 (Fri)
昨日は
ライオンに
食われた

一昨日は
ウサギに

肉団子にされ
ハチの幼虫に
食われたことも
あった

ニンゲン様は
俺を汚く食い散らし
ご馳走様
まで
言いやがった

その度に
組成成分表を
書かされ

書き終わらぬうちに
最後はいつも
糞まみれだ

というか
糞だ

そのものだ

俺は循環
している
それが
どんなシステムなのか
俺は知らない

知らないが
俺は循環
している

もしかしたら
恐ろしく
シンプルな
ことなのかも
しれない

今日俺は
言葉になり
愛を伝えもしたが
最後は
糞にも
なれなかった


2004/09/30 (Thu)
イクラ丼が食べたい
キヨシマツモトは突然に言う
案の定僕のポケットには
北へ向かうチケットが二枚ある
キヨシマツモトでは本日も医薬品が大安売りで
僕はまったくの文系だけれど
キヨシマツモトとは時々仲が良い
北へ行くなら暖かい服がいるな
というキヨシマツモトの言葉で
開店中のそれが夏服だと初めて知った
レジに立つアルバイトの
ポニーテールが風に揺れている
むしろ僕は色とりどりの薬をぼんやり見ながら
咳止めでラリッた同級生が用水路に溺れた
あの静かな朝を思い出してしまう
北に着いたら見なくてすむように
カウンターに並んで食べようと思う
ホームに立つと
閉店にはまだ間があるので
キヨシマツモトは
そわそわもしていない
2004/09/26 (Sun)
ゴンザレス、生まれてこの方メキシコ人
今朝も早くからメキシコ風のシチューを
食べる
ゴンザレスを見守るゴンザレスの兄
生まれてこの方メキシコ人の兄
港の町では遠い海で漁をする季節
漁師ではないからゴンザレスもゴンザレスの兄も
船に乗らない
そんなメキシコ人の兄弟から恐ろしく遠いところで
僕とまだ幼い娘はボルシチを食べる
それもまたいつかの遠い話
そして食後
娘と昼寝をした


受付番号113番の僕はまだ呼ばれない
114番の娘は届かぬ足をブラブラさせている
待合室はひんやりとありふれていて
どこにも発車しない
採血室の前で人々が一斉に脱脂綿で左腕を押さえている
娘が描いたその絵をどのように褒めるべきか考えていたが
娘はまだ脱脂綿という言葉を知らない
話さなければいけないことは沢山ある
そのいくつかを話し
やがて待合室を後にすると
娘と昼寝をした


悲しいことがあると裏の森で鉄砲を撃つ女の話
小さい頃は列車の運転手になるのが夢だった
ふとある日、列車の運転者になることはできないと知り
すべての弾を撃ち尽くしてしまった
それでも悲しいことがあると鉄砲を撃ちに裏の森に行く
鉄砲の音は?
バン!バン!
三回聞かせたその話のいつも同じところで娘は笑う
女は一度も笑ったことはないというのに
僕も娘といっしょに笑う
四回目の話を終え
娘と昼寝をした

どちらが先に寝付いたか
僕は知らない
娘も知らない

誰も知らない
誰も知らなくていい話



2004/09/25 (Sat)
行ったきり帰って来ない父を待っている間に
僕は肩を壊してボールを握れなくなった
故障した肩は匂いや形が花に似ているみたいで
通りを歩いていると勘違いしたハチが集まってきて困る
その度にそよ風のようなタッチで叩き落とさなければいけない
何事も大切なのはそよ風のようなタッチだ
父の口癖を僕は守り続けた
それでもハチに当たらないときは
いよいよ判定に持ち込まれる
真夏の炎天下、旗を降る係の人も大変だ
ほんの気持ちですからと中元や歳暮を贈っても
風光明媚な絵葉書を添えて丁寧に送り返してくる
その後は採血検査
こちらの検査員は中元や歳暮どころか
三食昼寝付きまで喜んで受け取る
それなのに検査の結果を教えてもらったことはない
今頃は冷たい箱のような中にコレクションされているのだろう
おかげで友人からも
エッチな身体になったね
と言われるようになった
腰を振り振り歩くと
ああ、自分も立派になったんだなあ
という実感がわいてきて
余計にハチが集まってきてしまう
時々父が殺虫剤のスプレーを持って助けに駆けつけてくれる
そんな夢を見る
父さん、僕は人より肌が弱いんだよう
いつも嫌な汗をかいてとび起きる
考えてみれば物心ついてから寝汗ばかりかいている気がする
ためしにノートいっぱいに父の名を書き殴ってみる
どこかに点をつけなければならないというのに
スライダーの投げ方みたいにうまく思い出せない



2004/09/22 (Wed)
どううぶつえんの檻の前で親友は盤を取り出し
飛車角落ちで良い、と言う
親友の温かい手から飛車と角を受け取り
どううぶつの檻に投げる
どううぶつは隅でうずくまったまま見向きもしない
飛車も角も生肉ではなかった
並べる前にどううぶつの檻の前で記念写真をとることになり
近くにいた飼育係にシャッターを押してもらう
はいチーズ、と飼育係は決して言わなかったが
自分の父親と母親の名前を教えてくれた
良い名前ですね、と褒めると
優しい両親でした
そう笑って、どううぶつの飼育に戻っていった
並べているとどううぶつの欠点ばかりが目に付いて
なるべく汚い悪口を言いたい衝動にかられる
親友はそんな僕に、銀もいらないから、と
またその温かい手で握らせる
いったいいくつ並べたのか、もはや数え切れない
このまま並べ続けられればいい
そのように思ったのは僕だけではないはずだ
けれど終わって欲しくないことにはやがて終わりがくるものだし
飼育係の両親の良い名前ももう思い出せない
ポケットの中で親友の銀が音をたてた
いつも何かが多いくせに
足りない気持ちでいっぱいになる


2004/09/19 (Sun)
バリトンサックスを吹くつもりだったのに
バリ島でセックスをするはめになった
それもすべては
晴れた秋空のせい
のはずだったのに
跳ねたアキコの性はいつものように淫らで
僕はまた泣いてしまった

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* ILLUSTRATION BY nyao *