プロフィール
HN:
たもつ
年齢:
58
性別:
男性
誕生日:
1967/06/05
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こっそりと詩を書く男の人
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2010/08/17 (Tue)
詩
大根の上に
小さな虹がかかっている
きみは虹を切らないように
器用な手つきで
大根を切っていく
飛行機がいつもより
低く飛んでいる音が
屋根の上にある空から
聞こえてくる
帰りたい、と
きみはつぶやく
幸せも不幸せも
ごちゃごちゃのごった煮になって
そして変質し続ける
そんなものに翻弄されて
毎日がある
本当は虹なんて最初から無かった
ただぼくらは
虹が見たいだけだった
今日の夕食はブリ大根である
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2010/08/16 (Mon)
詩
グレープフルーツの皮膜に包まれて
団地のベランダなどから
沈んでいく
この町には地図というものがないから
日陰を歩いているだけで
まれにこのようなことがある
セミの鳴き声が聞こえるけれど
耳を澄ますとそれは
ぜんまいを巻く音だったり
落葉の裏側の匂いだったり
もういない人の面影だったりする
いずれにせよ
セミには用のない町なのだ
底まで沈んではいけない、と
上の方を目指して手足をかく
町の特産物でもないのに
時々、誰も知らないグレープフルーツが
転がっていることがある
2010/08/15 (Sun)
詩
テレビでクイズ番組を放送していた
面白そうだったので
テレビの中に入ってみる
星空のきれいな高原みたいな場所に出る
子どもの頃、幸せな気持ちで
家族と一緒に来た気がする
振り返るとテレビがあって
先ほどのクイズの続きをやっている
四番、と正解を言っても
外にいる人の回答など
誰も聞いてくれない
早く部屋に戻って続きを見なければ、と思う
テレビの中に入れば
向こう側は部屋かもしれないけれど
入る方法がわからない
おぼろげな記憶を頼りに
部屋を目指して歩き始める
2010/08/13 (Fri)
詩
誰が決めたのかわからないけれど
いつの間にか
どこまでも一列に並べられた
みかんの上を歩くことになっている
一歩踏み出してみる
みかんは潰れ
小さな悲鳴が聞こえる
なるべく潰さないように
大股で歩いてみるけれど
やはり踏んだみかんは潰れ
その度に悲鳴があがる
夕暮れとなり
自分の影が前方に長く伸びる
振り返ると
潰れたみかんの周りに
助かったみかんが集まって
ひそひそとした言葉で
お葬式のようなことをしている
このままどこまで行くのか
わからないというのに
夕日だけは
はっきりと見える
2010/08/12 (Thu)
詩
公園の水たまりに小さな魚が一匹いた
海水魚のようだった
昨晩の雨に迷って
ここまで泳いできたのかもしれない
このままでは水が干上がってしまう
魚は少しずつ弱っているように見える
自分の家には
魚が飼えるほどの海もないし
かといって容器などに入れて
家が海臭くなるのも嫌だ
仕方なく水たまりごと両腕に抱えて
海に帰すために駅へと向かう
いつもの出勤とは反対ホームの下り列車で
海まで行くことにする
会社には体調が悪いと連絡を入れておいた
誰が、とは言ってないので嘘にはならないと思う
列車は通学中の学生や通勤途中の人たちで
多少混んではいたけれど
あと五つほど駅を過ぎれば
おそらく席に座れるはずだ
そこから更にいくつかの駅を過ぎると
車内に残っているのは
海に用事のある人だけだろう
2010/08/11 (Wed)
詩
水のノートに
垂線を引いていく
印刷された罫線と縦横になって
小さな枡がいくつかできる
溺れないように
慎重に枡に指先を入れてみる
体温より少し低い水の温度が
むかし一緒に寝ていた人の
二の腕の冷たさに似ている
指を動かすと
小さな波紋が他の枡へと
徐々に広がる
今日は見つからない言葉が
いくつかあるので
何も書かずにノートを
そっと閉じる
何度かやって慣れたはずなのに
水滴が数滴こぼれて
濡らすのが好ましくない所を
濡らしてしまう
昨日と違って
外では雨が降っている
黙っていても
音でわかる
2010/08/10 (Tue)
詩
夜汽車が乾いた舌を出して
すべての生き物の上を
通過していく
右手にいる花崗岩の軟体動物が
左手に移りたがっているのに
左手はまだ
公園の砂場で遊んでまま帰ってこない
雨上がりの夜空に
うっすらと虹がかかっている
消える前に願い事をすると
叶うと言われているけれど
そのためにはきっと
誰かの何かが失われるのだろう
出口を探せなかった甲虫が
冷たい銀行の床の隅で
亡骸にのみ許された沈黙を保ち続けている
もしかしたら既にその遺伝子は
柔らかい土の中で
卵となっているのかもしれない
メガネをかけている人を
ひとり思い浮かべてください
と言われる度に
違う人を思い浮かべてしまう癖が
今でもまだぬけない
2010/08/09 (Mon)
詩
手の子どもが
粘土をこねている
いくらこねても
粘土は粘土の形にしかならない
粘土を裏返してみる
にぎやかで美しい色の都会が現れる
足の子どもは
都会に行きたがる
昨日草むらの雑草で
切り傷をたくさんつくったばかりなのに
でも手の子どもは
耳の子どもが
「ひと」という言葉を聞くと
悲しいような気持ちになるのだった
2010/08/08 (Sun)
詩
軟骨で出来たビルに
バッタが遊びに来ます
電信柱の破片が砕けて
少量の砂になります
+
過って網戸に
大きな穴をあけてしまう
その大きな穴から
たくさんの海が入ってきます
+
夏の形が終わります
一筋の汗とともに
クラゲに刺されないように
人は一生を過ごします
+
アスファルトが溶けて
人に変わります
そして草むらの奥へと進みます
自分の名前を探しに
+
雲を両腕に抱えたまま
少年はどこまでも走ります
小さなポケットから
時間がこぼれ落ちています
2010/08/07 (Sat)
詩
ふと、わたしは紙になる
紙になったわたしを
見知らぬ女性がか細い指で折る
骨も関節も内臓もない身体を折ることは
とても簡単なことらしい
女性は几帳面に折り目をつけ
やがてわたしは一羽の折鶴になる
折鶴
鶴という名前がつくのに
空も飛べない
願いをかけられると
ベッドに寝たままの男性の側に置かれる
動くことすらできない自分に
願い事を叶えられるはずもない
せめて見守ることくらいしかできないのに
自分の目がどこにあるのかも
もうわからない
本当の悲しみなんて知らないけれど
悲しみのようなものなら知っている気がする
それならば一生を終えるまで
自らに問い続ける
その悲しみのようなものが
自分の満足のためだけなのではないか、と
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