プロフィール
HN:
たもつ
年齢:
58
性別:
男性
誕生日:
1967/06/05
自己紹介:
こっそりと詩を書く男の人
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2010/04/13 (Tue)
詩
僕は缶詰を開けようとする
その様子を見て
来賓席で来賓の人が笑っている
僕は懸命に開けようとする
来賓の人が
中身が空であることを知っているかのように
さらに大きな声で笑うので
ますます缶詰を開けなければ、
という気持ちになる
大安吉日の晴天
行事には最適なお日和である
僕はありったけの力を込める
中身が空であることを
知っているかのように
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2010/04/11 (Sun)
詩
カニの甲羅に
雪が降り積もる
ブランコは揺れる
誰かの言葉の
力を借りて
食べ飽きてしまったね
紙の形は
自分の目を覗き込むと
動いている人の
背中が見える
今日はいったい何に
謝ることができただろう
2010/04/10 (Sat)
童話
習ったばかりのルートの記号を
少年はノートに書きました
丁寧に書いていたはずなのに
最後に記号は壊れてしまいました
わずかな隙間から覗き込むと
自分が幼少時を過ごした町の海が見えました
汚れた海でした
昔と同じように
木の破片や
虹色をした油や
茶色く固まった泡が浮いた
汚い、そして懐かしい海でした
波音が聞きたくなって
ノートに耳を近づけてみました
ひんやりとした感触に
少年はそのまま眠ってしまいました
しばらくして目を覚ますと
耳の辺りが少し濡れていて
潮の匂いが微かにしました
たしかに海の近くまで行ったのでした
2010/04/07 (Wed)
童話
父はサボテンでした
とげはありませんでしたが
サボテンでした
水を蓄える仕組みがあるわけもなく
少しの水では生きていくこともできませんでした
ましてや荒野に一人
じっと立っていられるほどの
忍耐力も
誇りも
孤独も
持ち合わせてはいませんでした
それでも父は
ひとつのサボテンであり続けました
サボテンであることの
すべてを否定することによって
2010/04/05 (Mon)
童話
桜の花びらに見えましたが
それはお墓でした
とても小さな墓石でした
とても小さな人が
入っているのだと思いました
ところどころ緑に苔むして
たしかにそれでも
桜の花びらに見えたのです
おやすみなさい
もう眠っている人に言うのは
初めてのことでした
2010/04/04 (Sun)
詩
ぬめぬめとした悲しみが
晴れた空から降っている
ものとものとが擦れ合う音や
ぶつかり合う音が記号のように
いたる所にありふれている
スクランブル交差点を渡る人々は
無秩序な足取りなのに
真ん中に置かれた金魚鉢の水を
誰もこぼさない
ふと二枚貝が落ちている
かつては海があったのかもしれない
白蟻に食い荒らされた高層ビルが
静かに崩落している
生乾きの犬が
生乾きの臭いをさせて
ガード下を歩く
よく見ると
時々走っている
2010/04/03 (Sat)
詩
今日はワカサギが良く売れる
いつもは店の奥まったところに並べているだけなのに
学生も社会人風の人もノートや鉛筆には目もくれない
いっしょに良い匂いのする消しゴムや
綺麗な色の蛍光ペンなどを薦めても
ワカサギしか買って行かない
おかげで完売したけれど
来る人、来る人、みなワカサギのことを聞き
残念そうに帰っていく
どうにかしよう、と試しに床に丸い穴をあけてみる
水面が現れる
釣り糸を垂らすと次々にワカサギが釣れる
せっかくなので、ワカサギ入荷しました
と看板を掲げて店頭に並べる
誰もワカサギに興味を示すことなく
店の前を通り過ぎる
それどころか
目が死んでいる、とか
生臭い、とか
文句ばかり言われる
結局すべて売れ残り
閉店後、揚げ物にして食べる
どれもこれもとても美味しいけれど
壊れた文具のなつかしい味だけがする
2010/04/02 (Fri)
詩
線路を描く
薄暗がりの方から
ほのかな明かりを灯して
路面電車がやってくる
駅を描く
路面電車が停まる
後扉から乗る
チラシの安売りの服を着た女の人が
前扉から降りて行く
食べた覚えの無いコンビーフの臭いが
車中に漂っている
古い感じのシートに座り窓を振り返る
指紋と手垢がピタピタとしたガラスに
自分の顔がぼんやりうつる
あの中にも視床下部やゴルジ体などがあるのに
そんなことを意識しなくても呼吸できるので
毎日とても助かっている
もう一度降りて駅に終点、と書き足す
路面電車の灯火が消える
あたりが夜の暗さを取り戻す
明日からの長雨ですべて消えてしまうけれど
すべてを覆うように
最後にパラソルを描く
2010/03/29 (Mon)
詩
鳥かごの中で
小さなキリンを飼ってる
餌は野菜だけでよいので世話が楽だし
時々きれいな声で鳴いたりもする
夕焼けを見るのが好きで
晴れた日の夕方は
日が沈むまでずっと西の空を見ている
雨や曇の日はすっかり元気をなくしてしまうので
ぼくは夕焼けの絵を描く
上手く描けたときは元気になるし
上手く描けなかったときは
元気が出るまで描きなおす
淋しいのが嫌いで
長く留守にするときは
貝殻やビー玉を入れておいて出掛けると
嬉しそうにして
ほんの少し元気でいてくれる
キリンがいま何歳で
寿命がどれくらいなのかわからないけれど
ぼくが先に死んでしまえば
淋しいキリンも死んでしまうだろう
キリンが先に死んでも
淋しいぼくがいつ死ぬかなんて
わからないのに
2010/03/26 (Fri)
短歌・川柳・俳句・一行詩
人形の折れた手首を持ったまま母の帰りを一人待ってた
説明しようとして絶命してしまった僕のレジュメが空へと
深夜、ヒツジが僕を数えている、可愛そうにまだ眠れないのだ
あと何度さよならを口にするのか、悲しくても悲しくなくても
不自由な右足をくすぐってみる。父が笑った。僕も笑った。
犬も歩けば棒に当たるけれどタロウとはもう歩けないだろう
みんな年を取ったね、おままごとみたいに笑ったり怒ったりして
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