プロフィール
HN:
たもつ
年齢:
58
性別:
男性
誕生日:
1967/06/05
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こっそりと詩を書く男の人
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2010/01/28 (Thu)
詩
こんにゃくの降る街を
君と歩く
手をつなぐのは
二人に手があるから
理由はそれだけでよかった
子どもたちが積もったこんにゃくで
だるまを作ろうとしている
それは無理なことだ、と
大人は教えようとするけれど
彼らはまだ
不可能という意味を知らない
やがてその意味を知り
やがてそのことに傷つき
やがて何も感じなくなる
その一連の過程を
悲しい、と言うには
僕らは年を取りすぎてしまった
幸せ、不幸せという二つの言葉だけで
すべてが言い表せる
と思っていたあの日も
こんにゃくが降る街を
君と手をつないで歩いた
今日よりもたくさん降っていたはずなのに
その話をすると
僕らの記憶は食い違った
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2010/01/27 (Wed)
詩
どこかの外れのような野原に
ひっそりとメリーゴーランドはあった
白い馬にまたがると
むかし死んだ友だちが背中を押してくれる
メリーゴーランドがきれいな音楽とともに
ゆっくりと回りだす
友だちは遠くで手を振っている
その笑顔が懐かしくて
もしかしたら死んでいるのは僕の方ではないのか
という気持ちになる
ポケットの中に入れたこんにゃくで
ズボンが湿っている
手を突っ込むと
すべすべとした弾力で押し返してくる
その手触りだけが
僕と今の僕の生を
わずかにつなぎとめてる
2010/01/26 (Tue)
詩
手紙を出す用事があって
エレベーターを待ってる
扉が開く
エレベーターの中が
こんにゃくでいっぱいだったので
乗らずにに見送る
あんなに沢山のこんにゃくを積んで
あのエレベーターはどこまで行くのだろう
もう二度と来ない気がして
階段で行くことにする
階段の一段一段すべてに
こんにゃくが敷き詰められている
この階段を使うには
資格や資質のようなものが必要だと思うけれど
自分がいったい何であるのか
教えてくれる人も見つからない
封筒に入れたこんにゃくの水分で
宛名も自分の名も滲んで
美しい他のものにみえる
2010/01/26 (Tue)
詩
こんにゃくを買いに出かける
いつものスーパーでは売り切れだった
少し遠くのスーパーでは見つからなかった
少し遠くの別のお店では
こんにゃく以外のものならあるのですが
と残念がられた
昨日まではあんなに並んでありふれていたのに
一晩でこんにゃくは皆どこかに行ってしまった
こんにゃくを使わなくてもよいものにしようと
料理の本をめくってみるけれど
昨日まで見ていたものは
本当はこんにゃくではなかったのかもしれない
そう思うと
自分がここにいるべきではない気がして
すべてのページに折り目をつけてしまう
2010/01/24 (Sun)
詩
テーブルの上に
こんにゃくがある
窓の外では
桜の花びらが少しずつ
風に散っている
白い磁器の皿にのせられたまま
誰に忘れられたのか
いつまで忘れられるのか
蒸発した水分の量だけ
その身を軽くしながら
敷地内の停留所
こんにゃくにも忘れられた
夜勤明けの僕が
駅までの巡回バスを待ってる
2010/01/20 (Wed)
詩
砂時計の砂が落ちていく
のをあなたは見つめている
すべての砂が落ちてしまうと
黙って逆さまにする
一日がその果てしない繰り返し
あなたにとって時間の単位とは
どこまでも続く砂漠だった
そしてそれはまた
二度と帰ることのない
あなたの遠い旅路に違いなかった
表情のなかった口元が
ふと緩む
旅先で何か
嬉しいことがあったのだろう
2010/01/19 (Tue)
詩
舌の根が乾かぬうちに、駅
年を取った男の人が
魚の燻製や塩漬けのようなものを
車の荷台に積んでいる
濁った金属製の手すり
この街で指紋のいくつかは
言葉と同じ程度の意味を持つ
つまりそれは
言葉と同じ程度の意味しか持てない
コンコース、行き来する柔らかい
背中の人々
どうか記憶しておいて欲しい
誰かの命を奪うことで
感謝される誰かがいるということを
2010/01/12 (Tue)
詩
上り列車の中を
下り列車が通過していく
線路脇の草むらでは
無縁仏となった墓石が
角を丸くし
魂と呼ばれるものの多くは
眠たい真昼の
些細な手違い
ひと夏を
鳴くことで生きた蝉の成虫が
暗い側溝で今
息絶えようとしている
そのような瞬間にも人は
遺言を残すことに
忙しくしている
2010/01/06 (Wed)
詩
泡の中に階段
階段の突き当たりに崖
飛び込んでごらん、ウールだよ
と言って
飛び込んでいく民兵たち
砕け散ったポケットの中に
鉄屑
こぼれ落ちた鉄屑の雫で
埋め尽くされた野原
野原にたたずみ
花になりたいとひたすら願う少年
少年の目の中を泳ぐ金魚
そして安らかに
溺れている金魚
2010/01/04 (Mon)
詩
夜半から降り始めた砂が
やがて積もり
部屋は砂漠になる
はるか遠くの方からやって来た
一頭のラクダが
もうひとつのはるか遠くへと
渡っていく
わたしは椅子に腰掛け
挨拶を忘れてしまった人のように
耳抜きの方法を反復し続ける
窓の外に降り積もる雪が
記憶の中にある骨みたいに白くて
もう掌にはすくえない
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