プロフィール
HN:
たもつ
年齢:
57
性別:
男性
誕生日:
1967/06/05
自己紹介:
こっそりと詩を書く男の人
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揚子江のほとりで
あなたは生きてください
わたしは揚子江の様子は知らないけれど
多分あなたも同じくらいに知らないでしょうけれど
揚子江のほとりにも花は咲くでしょう
この年になっても花の名前はわからないので
うまく教えてあげられません
揚子江のほとりから離れたところで
この花はなんとかであっちの花はなんとか
とか言うことのできるあなたが羨ましくて
いつも眠くなると
揚子江のほとりで
あなたは生きてください
うまく水面に浮くこともできるでしょう
わたしもそれくらいならできるかもしれませんが
それが終わったらラジオ体操もできるでしょう
音楽は聴こえなくても
あなたの心の中にはいつもラジオ体操があって
それは第一と第二でしょう
うろ覚えのところは上手に腕と肩と腰を動かしてください
そのことで誰も息を止めたりはしないでしょう
揚子江は地元では聖なる河とされていて
そこで身体を清めたり死体を流したりするそうですけれど
あなたの頭を洗ってあげたとき
ふけが涙みたいにポロポロ落ちて
痒いところはありませんかと美容師みたいに許しも乞うたのも
あなたは生きてください
揚子江のほとりでと、それから少し手が冷たい
もちろんわたしはそんな揚子江の様子も知りませんけれど
犬の死体が流れてきても泣かないでください
それはきっとあなたの大切な犬の名前とは違う
と思って差し付けないでしょうから
揚子江のほとりであなたは生きてください
あなたの好きなお魚もたくさん食べてください
むかし近所の池で見たような魚も
同じような背格好で泳いでもいるでしょう
聖なる水も飲んで構わない、と
揚子江の様子はわたしはよく知らないけれど
それからまた浮いて
戻ってきて
ゴミは指定された日にゴミステーションに忘れないで
きちんと分別もして環境に優しくされるあなたのままでいて
そしてもしわたしともう一度あったら抱きしめて
愛していると言ってください
揚子江のほとりで
砂を踏んで
あなたは生きてください
わたしは揚子江の様子は知らないけれど
多分あなたも同じくらいに知らないでしょうけれど
揚子江のほとりにも花は咲くでしょう
この年になっても花の名前はわからないので
うまく教えてあげられません
揚子江のほとりから離れたところで
この花はなんとかであっちの花はなんとか
とか言うことのできるあなたが羨ましくて
いつも眠くなると
揚子江のほとりで
あなたは生きてください
うまく水面に浮くこともできるでしょう
わたしもそれくらいならできるかもしれませんが
それが終わったらラジオ体操もできるでしょう
音楽は聴こえなくても
あなたの心の中にはいつもラジオ体操があって
それは第一と第二でしょう
うろ覚えのところは上手に腕と肩と腰を動かしてください
そのことで誰も息を止めたりはしないでしょう
揚子江は地元では聖なる河とされていて
そこで身体を清めたり死体を流したりするそうですけれど
あなたの頭を洗ってあげたとき
ふけが涙みたいにポロポロ落ちて
痒いところはありませんかと美容師みたいに許しも乞うたのも
あなたは生きてください
揚子江のほとりでと、それから少し手が冷たい
もちろんわたしはそんな揚子江の様子も知りませんけれど
犬の死体が流れてきても泣かないでください
それはきっとあなたの大切な犬の名前とは違う
と思って差し付けないでしょうから
揚子江のほとりであなたは生きてください
あなたの好きなお魚もたくさん食べてください
むかし近所の池で見たような魚も
同じような背格好で泳いでもいるでしょう
聖なる水も飲んで構わない、と
揚子江の様子はわたしはよく知らないけれど
それからまた浮いて
戻ってきて
ゴミは指定された日にゴミステーションに忘れないで
きちんと分別もして環境に優しくされるあなたのままでいて
そしてもしわたしともう一度あったら抱きしめて
愛していると言ってください
揚子江のほとりで
砂を踏んで
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危険です
右斜め前方から中学生らしき人たちが三人接近中です
ポストの中に珍しい爆弾が仕掛けられているので危険です
でもそれは本当はポストではなく冷蔵庫なので危険です
危険です 危険です
両開きですから
どちらからでも開けられてしまうから
右斜め前方から中学生らしき人の三人で
真ん中の人が校章を冷やしてしまうから危険です
けれど珍しい爆弾が仕掛けられているというより
むしろ仕掛けられているという話なので危険です
誰もがそれを本物のクッキーと間違えてしまうので
本物のクッキーだったらきkwんですという誤打でしたという報告漏れが危険です
危険です 危険です
右斜め前方から中学生らしき人の学生が三人の割合で接近中です
通りすがりの犬がポストの近くでそれは本当は冷蔵庫なので犬にはわからない話かもしれません
よ、と声をかけるとしたら首輪の斜め前方からそれは左ですが三人接近中の中学生らしき人
が信号機の味見した歴史上の人物を三人述べよとまっしぐらにポストの蕎麦を走り抜けて
もちろんそれは側のことであるとPTAの会報に載っていたので
微笑ましい顔写真入りの三人の中学生らしき人が真ん中の人の右隣の人と
ポストの前を通過する通過儀礼が珍しい爆弾といっしょにピースサインの本当は冷蔵庫なので
キャー、危険ですと叫ぶ想像をしているとそれは本当に
キャー、危険ですと叫ぶ想像をしているのでそれは両開きの問題なのかもしれませんが
でも両方からあけられてしまうので、真ん中の人が左隣の人といっしょに
それは中学生かもしれませんねの謎です、と謎にしてしまうので
危険なまま
紙を持ってどこまでも走っていく
勝訴!
右斜め前方から中学生らしき人たちが三人接近中です
ポストの中に珍しい爆弾が仕掛けられているので危険です
でもそれは本当はポストではなく冷蔵庫なので危険です
危険です 危険です
両開きですから
どちらからでも開けられてしまうから
右斜め前方から中学生らしき人の三人で
真ん中の人が校章を冷やしてしまうから危険です
けれど珍しい爆弾が仕掛けられているというより
むしろ仕掛けられているという話なので危険です
誰もがそれを本物のクッキーと間違えてしまうので
本物のクッキーだったらきkwんですという誤打でしたという報告漏れが危険です
危険です 危険です
右斜め前方から中学生らしき人の学生が三人の割合で接近中です
通りすがりの犬がポストの近くでそれは本当は冷蔵庫なので犬にはわからない話かもしれません
よ、と声をかけるとしたら首輪の斜め前方からそれは左ですが三人接近中の中学生らしき人
が信号機の味見した歴史上の人物を三人述べよとまっしぐらにポストの蕎麦を走り抜けて
もちろんそれは側のことであるとPTAの会報に載っていたので
微笑ましい顔写真入りの三人の中学生らしき人が真ん中の人の右隣の人と
ポストの前を通過する通過儀礼が珍しい爆弾といっしょにピースサインの本当は冷蔵庫なので
キャー、危険ですと叫ぶ想像をしているとそれは本当に
キャー、危険ですと叫ぶ想像をしているのでそれは両開きの問題なのかもしれませんが
でも両方からあけられてしまうので、真ん中の人が左隣の人といっしょに
それは中学生かもしれませんねの謎です、と謎にしてしまうので
危険なまま
紙を持ってどこまでも走っていく
勝訴!


階段の踊り場のあたりで
父が釣りをしていた
家の中とはいえ
釣りをする父の姿が
再び見られるとは思ってなかったので
嬉しかった
子供のころ一度行ったきりだった
工場地帯の隅っこに広がる
匂いの汚い海だった
ハゼが数匹と小さなカニが釣れた
ハゼは家で天ぷらにして食べた
カニはかわいそうなので逃がしてあげた
釣りは嫌い
父が呟いた
本当は僕も嫌いだったんだよ
とは言わなかった
父が釣りをしていた
家の中とはいえ
釣りをする父の姿が
再び見られるとは思ってなかったので
嬉しかった
子供のころ一度行ったきりだった
工場地帯の隅っこに広がる
匂いの汚い海だった
ハゼが数匹と小さなカニが釣れた
ハゼは家で天ぷらにして食べた
カニはかわいそうなので逃がしてあげた
釣りは嫌い
父が呟いた
本当は僕も嫌いだったんだよ
とは言わなかった


机は待ってます
春が来るのを
また芽吹く日を
小さな子が
自分の身体に触れるくすぐったさが
その感覚に似ていて
どこかに枝を伸ばしたくなる
少し離れたところで
真新しいランドセルが
退屈そうに欠伸をこらえてます
春が来るのを
また芽吹く日を
小さな子が
自分の身体に触れるくすぐったさが
その感覚に似ていて
どこかに枝を伸ばしたくなる
少し離れたところで
真新しいランドセルが
退屈そうに欠伸をこらえてます


インターホンが鳴って
受話器をとる
誰も出ない
カーテンを開けて外を覗く
いつの間にか砂漠が広がっている
その真ん中を
うつむいた君が一人で歩いている
名を呼ぶけれど
窓の開け方を忘れてしまったかのように
声は届かない
もう一度受話器をとる
微かな息づかいが聞こえる
砂漠は外にではなく
君の内側に広がっていた
もし生まれ変わったら
君のための駱駝になりたい
そんなきれいごとでも
きっと君は許してしまう
受話器をとる
誰も出ない
カーテンを開けて外を覗く
いつの間にか砂漠が広がっている
その真ん中を
うつむいた君が一人で歩いている
名を呼ぶけれど
窓の開け方を忘れてしまったかのように
声は届かない
もう一度受話器をとる
微かな息づかいが聞こえる
砂漠は外にではなく
君の内側に広がっていた
もし生まれ変わったら
君のための駱駝になりたい
そんなきれいごとでも
きっと君は許してしまう


箪笥の奥には
凪いだ海がしまわれている
微かに潮の匂いが漂っている
妻は夕暮れの淡い光に
静かなシルエットとなり
折り目正しく丁寧に
洗濯物を畳む
その姿は僕らの感傷を代弁する
何か一文字に似ている
すべてが終わると妻は立ち上がり
箪笥にしまう
明日という日はこのようにして
繰り返されていく
だから僕らの下着は
いつも少し湿っている
凪いだ海がしまわれている
微かに潮の匂いが漂っている
妻は夕暮れの淡い光に
静かなシルエットとなり
折り目正しく丁寧に
洗濯物を畳む
その姿は僕らの感傷を代弁する
何か一文字に似ている
すべてが終わると妻は立ち上がり
箪笥にしまう
明日という日はこのようにして
繰り返されていく
だから僕らの下着は
いつも少し湿っている


日が暮れて今日も塩屋に
ナメクジたちが集まる
口々に死にたい死にたいと言いながら
塩を求めにやってくるのだ
けれど感情が昂りすぎて
みな自分の流した涙で溶けてしまう
翌朝塩屋の前は
粘液や臓器の名残が朝日に当たって
きらきらと輝いている
店の主人はそれらを集めると
大釜で煮込む
やがていくつかの工程を経て
美しい塩の結晶が出来上がる
水分は空へと還り
雲となり雨となり命を育む
その中にはいずれ塩屋へと向かう
ナメクジもいることだろう
ナメクジたちが集まる
口々に死にたい死にたいと言いながら
塩を求めにやってくるのだ
けれど感情が昂りすぎて
みな自分の流した涙で溶けてしまう
翌朝塩屋の前は
粘液や臓器の名残が朝日に当たって
きらきらと輝いている
店の主人はそれらを集めると
大釜で煮込む
やがていくつかの工程を経て
美しい塩の結晶が出来上がる
水分は空へと還り
雲となり雨となり命を育む
その中にはいずれ塩屋へと向かう
ナメクジもいることだろう


ホームセンターで
子象を買って帰る
前から欲しかったので
お金をコツコツと貯めていたのだ
家族の喜ぶ顔が見られるとも思ったが
案の定こんなもの買ってきて
と妻に叱られる
「詩とは違うんだから」
更に追い討ちをかけられる
それでも明日返してくるから
と言い通して
その夜は玄関で子象と寝た
寝る前に餌を良く食べる子だった
翌日子象を連れて
ホームセンターへと向かう
「詩とは違うんだから」
確かに詩とは違うから鼻が長く
耳が大きく、皮膚が固く、目が優しく
それ以外に子象はどこにもいない
サービスカウンターで昨日のレシートを示し
返金してもらう
詩とは違うから係の女性にも
名前のようなものがあって
これまで生きてきたものと
これから生きていくものは
きっと時間と呼ばれるのだろう
帰る途中、人々の行列があった
その先には何か大切なものがあるのかもしれない
もちろん詩の中で
そんなことわかるわけもないのだけれど
子象を買って帰る
前から欲しかったので
お金をコツコツと貯めていたのだ
家族の喜ぶ顔が見られるとも思ったが
案の定こんなもの買ってきて
と妻に叱られる
「詩とは違うんだから」
更に追い討ちをかけられる
それでも明日返してくるから
と言い通して
その夜は玄関で子象と寝た
寝る前に餌を良く食べる子だった
翌日子象を連れて
ホームセンターへと向かう
「詩とは違うんだから」
確かに詩とは違うから鼻が長く
耳が大きく、皮膚が固く、目が優しく
それ以外に子象はどこにもいない
サービスカウンターで昨日のレシートを示し
返金してもらう
詩とは違うから係の女性にも
名前のようなものがあって
これまで生きてきたものと
これから生きていくものは
きっと時間と呼ばれるのだろう
帰る途中、人々の行列があった
その先には何か大切なものがあるのかもしれない
もちろん詩の中で
そんなことわかるわけもないのだけれど


絵本の側で
子供が頭をあわせ
内緒話をしている
二人だけの秘密は
二人だけの秘密のまま
やがていつか忘れられてしまう
僕らは今日必要なことを
ひとつひとつ整理していく
特別なことはないので
またものを並べたり
名を呼びあったりする
頭の上を
国際線の飛行機が
いつもより低く飛ぶ
きっとそれは誰一人殺すことなく
目的地まで行くことだろう
子供が頭をあわせ
内緒話をしている
二人だけの秘密は
二人だけの秘密のまま
やがていつか忘れられてしまう
僕らは今日必要なことを
ひとつひとつ整理していく
特別なことはないので
またものを並べたり
名を呼びあったりする
頭の上を
国際線の飛行機が
いつもより低く飛ぶ
きっとそれは誰一人殺すことなく
目的地まで行くことだろう


魚は
夜に鳴く
なくした
ラッパを思って
+
砂糖瓶を
よく洗って石段に
並べていくと橋を渡る
来客があった
+
探し物の
予定のない日
菜の花畑で一人
ラジオを分解してる
+
砂漠からはぐれて
夜明け前の古びた
仲見世通りを
ラクダは行進する
+
さよなら
幼稚園のお庭
夏が来るね、昔の
落書きみたいに
夜に鳴く
なくした
ラッパを思って
+
砂糖瓶を
よく洗って石段に
並べていくと橋を渡る
来客があった
+
探し物の
予定のない日
菜の花畑で一人
ラジオを分解してる
+
砂漠からはぐれて
夜明け前の古びた
仲見世通りを
ラクダは行進する
+
さよなら
幼稚園のお庭
夏が来るね、昔の
落書きみたいに