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こっそりと詩を書く男の人
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たもつ
年齢:
58
性別:
男性
誕生日:
1967/06/05
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こっそりと詩を書く男の人
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2025/06/15 (Sun)
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2007/03/11 (Sun)
あなたが口を開ける
中には空が広がっている
雲が浮かんでいる
舌がある
少し乾燥している
その先に
喉ちんこがぶら下がっている
双発のプロペラ機が
飛んでいくのが見える
空の一番青いところで
子供が穴を掘っている
チョコレートのかけらを埋めて
チョコレートの木を育てると言う
たくさん食べられたらいいねと思う
白い歯が並ぶ
その歯並びの良さに
昔から憧れていた
若い鳥が
羽ばたく準備をしている
あなたが口を閉じる
何も失う必要のない
あなたの日々と部屋が
目の中にある

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2007/03/10 (Sat)
新しいお絵描き帳と
クレヨンを持っていった
何も描けなかった
周りの子たちは
鳥も魚も人も
自由に描いた
真っ白く広げられたものの前で
どうしたらよいのか
わからなかった
どうしたの?と先生に聞かれて
何か答えた
もしかしたら
泣いていたかもしれない
呼吸をする
吐いた息が紙になる
今なら描けるかもしれない
けれどいつも
紙はすぐに消えてしまう
2007/03/09 (Fri)
雨が降っていた
陸地のいたるところに
がんもどきと
豆腐は今日も
売られていた

+

暑い日が続き
両親は
学校へと行った
届けたかったのだ
うちわをあなたに

+

アリの匂いが
両手からする、と
ガスのボンベを
取り替えている人に
打ち明けた

+

兄が
りんごを剥く
蛾が飛んできて
隣の窓からはいつも
海しか見えない

+

ありがとう
理屈や理由ではなく
瓦礫に花を植えて
弔いもたくさんしよう
嬉しかった少し触れて

2007/03/09 (Fri)
今日もたくさんの道路を見て来たので
君に道路の話をした
色や凹凸について話した
曲がりながら消えていく
その様子や
落ちていたもの
落ちそうになっていたものについて話した
飲食店の前の道路が工事中だったことを話すと
君は悲しそうな顔をして聞いた
うろ覚えの工夫の人数や着ていた服装は
嘘にならない範囲で話した
そして最後に
少しだけ空の話をした
自分も見た、君は言った
物語に出てくるような
きれいな空色の服を君は着ていた
そのことについてではなく
僕が見たのと同じ空の話だった
2007/03/07 (Wed)
町外れにある小さな海岸には
波が来るたびに
無数の椅子が打ち上げられる
町に住む子供たちにとって波音とは
木や金属のぶつかったり
こすれたりする音に他ならないので
海遊びをするときは
上手に口真似をして遊ぶ
大人たちは時々椅子を拾いにきて
みな面白いくらいに
自分にふさわしいものを選んでいく
この海の向こうではきっと
椅子に座れなくて困っている人や
椅子に座れなくてほっとしている人たちが
同じ数だけいるのだろう
僕らは椅子に座るために
産まれてきたわけじゃない
けれど産まれてくるためには
たくさんの椅子が必要だった

2007/03/05 (Mon)
針金を折りたたんでいく、と
先には僕らが息をしている家が見える
目を細めれば海のようなものがあって
僕らはそれを海と呼んだ
その前で君はセーターを編み続け
僕は隣でセーターを食べ続けている
上手くは食べられないけれど
ほめてくれるので少し嬉しい
この子が産まれたら皆でおそろいね
手を休めて幸せの輪郭を撫でる君には
夢を語るべき言葉があり
僕には夢を語らない言葉がない
それよりうまくセーターを食べたいので
針金をさらに折りたたんでいく
やがてそれは点となって
ちゃぶ台を丁寧に拭く
君の後姿が波の向こうに見える
2007/03/04 (Sun)
ホームで君が歌を口ずさむ
それはとても良い音なので
お墓のようなものと間違えてしまう
床に書かれた落書きが
羽をはやして飛び立とうとする
言葉はそんなことをしてはいけない
小さな子供が言い聞かせている
母親は少し遠くにある他の幸せを夢みるように
真新しいブラウスに身を包んでいる
僕が君にあげられるものは
一緒にいる理由だけかもしれない
という言い訳をすると
陽のあたる方に
僕らの目と同じ色の列車が到着する


2007/03/04 (Sun)
鳥かごを作った
鳥は空にいるので
それで良かった
代わりに魚を入れると
苦しそうに跳ねた
花や玩具を入れても
どうということはなかった
鳥かごは
誰のものでもなかった
鳥は空にいた
けれど空は
鳥のものではなかった
2007/02/26 (Mon)
エアー、夏のように
薄い服を着たあなたが
少し口を開けて
世界とつながっている
あなたの唇も手も皺に慣れましたね
前より縮んで
それでもまだ懐かしい

エアー、吸えるものは
たくさん吸っていい
あなたが教えてくれたから
僕は上手に呼吸ができました
もちろんそんな誤魔化しは
いつも僕だけに優しいのだけれど

また過ぎていきますね、エアー
あなたも僕も
いつも隣に何も置いておかない
それを僕らは約束と言いましたか
エアー、あなたは静かに
風になる準備で忙しい
2007/02/25 (Sun)
小高い丘に店を開いた
お客が来た
出入り口なので
お客は出ても入っても良かった
晴れた日は
見渡せることろまで見渡せた
雨の日は
屋根や壁に雨があたった
ただここにいて
何かを待っていただけなのだと思う
お客は来続けた
いつまでも
お客しか来なかった
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* ILLUSTRATION BY nyao *