プロフィール
HN:
たもつ
年齢:
58
性別:
男性
誕生日:
1967/06/05
自己紹介:
こっそりと詩を書く男の人
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あなたが口を開ける
中には空が広がっている
雲が浮かんでいる
舌がある
少し乾燥している
その先に
喉ちんこがぶら下がっている
双発のプロペラ機が
飛んでいくのが見える
空の一番青いところで
子供が穴を掘っている
チョコレートのかけらを埋めて
チョコレートの木を育てると言う
たくさん食べられたらいいねと思う
白い歯が並ぶ
その歯並びの良さに
昔から憧れていた
若い鳥が
羽ばたく準備をしている
あなたが口を閉じる
何も失う必要のない
あなたの日々と部屋が
目の中にある
中には空が広がっている
雲が浮かんでいる
舌がある
少し乾燥している
その先に
喉ちんこがぶら下がっている
双発のプロペラ機が
飛んでいくのが見える
空の一番青いところで
子供が穴を掘っている
チョコレートのかけらを埋めて
チョコレートの木を育てると言う
たくさん食べられたらいいねと思う
白い歯が並ぶ
その歯並びの良さに
昔から憧れていた
若い鳥が
羽ばたく準備をしている
あなたが口を閉じる
何も失う必要のない
あなたの日々と部屋が
目の中にある
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新しいお絵描き帳と
クレヨンを持っていった
何も描けなかった
周りの子たちは
鳥も魚も人も
自由に描いた
真っ白く広げられたものの前で
どうしたらよいのか
わからなかった
どうしたの?と先生に聞かれて
何か答えた
もしかしたら
泣いていたかもしれない
呼吸をする
吐いた息が紙になる
今なら描けるかもしれない
けれどいつも
紙はすぐに消えてしまう
クレヨンを持っていった
何も描けなかった
周りの子たちは
鳥も魚も人も
自由に描いた
真っ白く広げられたものの前で
どうしたらよいのか
わからなかった
どうしたの?と先生に聞かれて
何か答えた
もしかしたら
泣いていたかもしれない
呼吸をする
吐いた息が紙になる
今なら描けるかもしれない
けれどいつも
紙はすぐに消えてしまう


雨が降っていた
陸地のいたるところに
がんもどきと
豆腐は今日も
売られていた
+
暑い日が続き
両親は
学校へと行った
届けたかったのだ
うちわをあなたに
+
アリの匂いが
両手からする、と
ガスのボンベを
取り替えている人に
打ち明けた
+
兄が
りんごを剥く
蛾が飛んできて
隣の窓からはいつも
海しか見えない
+
ありがとう
理屈や理由ではなく
瓦礫に花を植えて
弔いもたくさんしよう
嬉しかった少し触れて
陸地のいたるところに
がんもどきと
豆腐は今日も
売られていた
+
暑い日が続き
両親は
学校へと行った
届けたかったのだ
うちわをあなたに
+
アリの匂いが
両手からする、と
ガスのボンベを
取り替えている人に
打ち明けた
+
兄が
りんごを剥く
蛾が飛んできて
隣の窓からはいつも
海しか見えない
+
ありがとう
理屈や理由ではなく
瓦礫に花を植えて
弔いもたくさんしよう
嬉しかった少し触れて


今日もたくさんの道路を見て来たので
君に道路の話をした
色や凹凸について話した
曲がりながら消えていく
その様子や
落ちていたもの
落ちそうになっていたものについて話した
飲食店の前の道路が工事中だったことを話すと
君は悲しそうな顔をして聞いた
うろ覚えの工夫の人数や着ていた服装は
嘘にならない範囲で話した
そして最後に
少しだけ空の話をした
自分も見た、君は言った
物語に出てくるような
きれいな空色の服を君は着ていた
そのことについてではなく
僕が見たのと同じ空の話だった
君に道路の話をした
色や凹凸について話した
曲がりながら消えていく
その様子や
落ちていたもの
落ちそうになっていたものについて話した
飲食店の前の道路が工事中だったことを話すと
君は悲しそうな顔をして聞いた
うろ覚えの工夫の人数や着ていた服装は
嘘にならない範囲で話した
そして最後に
少しだけ空の話をした
自分も見た、君は言った
物語に出てくるような
きれいな空色の服を君は着ていた
そのことについてではなく
僕が見たのと同じ空の話だった


町外れにある小さな海岸には
波が来るたびに
無数の椅子が打ち上げられる
町に住む子供たちにとって波音とは
木や金属のぶつかったり
こすれたりする音に他ならないので
海遊びをするときは
上手に口真似をして遊ぶ
大人たちは時々椅子を拾いにきて
みな面白いくらいに
自分にふさわしいものを選んでいく
この海の向こうではきっと
椅子に座れなくて困っている人や
椅子に座れなくてほっとしている人たちが
同じ数だけいるのだろう
僕らは椅子に座るために
産まれてきたわけじゃない
けれど産まれてくるためには
たくさんの椅子が必要だった
波が来るたびに
無数の椅子が打ち上げられる
町に住む子供たちにとって波音とは
木や金属のぶつかったり
こすれたりする音に他ならないので
海遊びをするときは
上手に口真似をして遊ぶ
大人たちは時々椅子を拾いにきて
みな面白いくらいに
自分にふさわしいものを選んでいく
この海の向こうではきっと
椅子に座れなくて困っている人や
椅子に座れなくてほっとしている人たちが
同じ数だけいるのだろう
僕らは椅子に座るために
産まれてきたわけじゃない
けれど産まれてくるためには
たくさんの椅子が必要だった


針金を折りたたんでいく、と
先には僕らが息をしている家が見える
目を細めれば海のようなものがあって
僕らはそれを海と呼んだ
その前で君はセーターを編み続け
僕は隣でセーターを食べ続けている
上手くは食べられないけれど
ほめてくれるので少し嬉しい
この子が産まれたら皆でおそろいね
手を休めて幸せの輪郭を撫でる君には
夢を語るべき言葉があり
僕には夢を語らない言葉がない
それよりうまくセーターを食べたいので
針金をさらに折りたたんでいく
やがてそれは点となって
ちゃぶ台を丁寧に拭く
君の後姿が波の向こうに見える
先には僕らが息をしている家が見える
目を細めれば海のようなものがあって
僕らはそれを海と呼んだ
その前で君はセーターを編み続け
僕は隣でセーターを食べ続けている
上手くは食べられないけれど
ほめてくれるので少し嬉しい
この子が産まれたら皆でおそろいね
手を休めて幸せの輪郭を撫でる君には
夢を語るべき言葉があり
僕には夢を語らない言葉がない
それよりうまくセーターを食べたいので
針金をさらに折りたたんでいく
やがてそれは点となって
ちゃぶ台を丁寧に拭く
君の後姿が波の向こうに見える


ホームで君が歌を口ずさむ
それはとても良い音なので
お墓のようなものと間違えてしまう
床に書かれた落書きが
羽をはやして飛び立とうとする
言葉はそんなことをしてはいけない
小さな子供が言い聞かせている
母親は少し遠くにある他の幸せを夢みるように
真新しいブラウスに身を包んでいる
僕が君にあげられるものは
一緒にいる理由だけかもしれない
という言い訳をすると
陽のあたる方に
僕らの目と同じ色の列車が到着する
それはとても良い音なので
お墓のようなものと間違えてしまう
床に書かれた落書きが
羽をはやして飛び立とうとする
言葉はそんなことをしてはいけない
小さな子供が言い聞かせている
母親は少し遠くにある他の幸せを夢みるように
真新しいブラウスに身を包んでいる
僕が君にあげられるものは
一緒にいる理由だけかもしれない
という言い訳をすると
陽のあたる方に
僕らの目と同じ色の列車が到着する


鳥かごを作った
鳥は空にいるので
それで良かった
代わりに魚を入れると
苦しそうに跳ねた
花や玩具を入れても
どうということはなかった
鳥かごは
誰のものでもなかった
鳥は空にいた
けれど空は
鳥のものではなかった
鳥は空にいるので
それで良かった
代わりに魚を入れると
苦しそうに跳ねた
花や玩具を入れても
どうということはなかった
鳥かごは
誰のものでもなかった
鳥は空にいた
けれど空は
鳥のものではなかった


エアー、夏のように
薄い服を着たあなたが
少し口を開けて
世界とつながっている
あなたの唇も手も皺に慣れましたね
前より縮んで
それでもまだ懐かしい
エアー、吸えるものは
たくさん吸っていい
あなたが教えてくれたから
僕は上手に呼吸ができました
もちろんそんな誤魔化しは
いつも僕だけに優しいのだけれど
また過ぎていきますね、エアー
あなたも僕も
いつも隣に何も置いておかない
それを僕らは約束と言いましたか
エアー、あなたは静かに
風になる準備で忙しい
薄い服を着たあなたが
少し口を開けて
世界とつながっている
あなたの唇も手も皺に慣れましたね
前より縮んで
それでもまだ懐かしい
エアー、吸えるものは
たくさん吸っていい
あなたが教えてくれたから
僕は上手に呼吸ができました
もちろんそんな誤魔化しは
いつも僕だけに優しいのだけれど
また過ぎていきますね、エアー
あなたも僕も
いつも隣に何も置いておかない
それを僕らは約束と言いましたか
エアー、あなたは静かに
風になる準備で忙しい


小高い丘に店を開いた
お客が来た
出入り口なので
お客は出ても入っても良かった
晴れた日は
見渡せることろまで見渡せた
雨の日は
屋根や壁に雨があたった
ただここにいて
何かを待っていただけなのだと思う
お客は来続けた
いつまでも
お客しか来なかった
お客が来た
出入り口なので
お客は出ても入っても良かった
晴れた日は
見渡せることろまで見渡せた
雨の日は
屋根や壁に雨があたった
ただここにいて
何かを待っていただけなのだと思う
お客は来続けた
いつまでも
お客しか来なかった