プロフィール
HN:
たもつ
年齢:
57
性別:
男性
誕生日:
1967/06/05
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こっそりと詩を書く男の人
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2007/04/09 (Mon)
童話
夜が更けるころ動物園の園長は
動物たちに泳ぎ方を教えます
本当は水族館の園長になるのが
動物園の園長の夢でした
一番泳ぎが得意なのはゴリラで
それ以外は身体の大きさに関係なく
だいたい普通です
動物たちをタオルで丁寧に拭いてあげると
気持ちが少し軽くなるので
偽物の手紙を書きます
偽物のポストに投函して
偽物の郵便局の人が運びます
見送りながらむかし砂浜につくった
生き物のお墓のことを思い出します
時々その向こうに
朝焼けが見えます
動物たちに泳ぎ方を教えます
本当は水族館の園長になるのが
動物園の園長の夢でした
一番泳ぎが得意なのはゴリラで
それ以外は身体の大きさに関係なく
だいたい普通です
動物たちをタオルで丁寧に拭いてあげると
気持ちが少し軽くなるので
偽物の手紙を書きます
偽物のポストに投函して
偽物の郵便局の人が運びます
見送りながらむかし砂浜につくった
生き物のお墓のことを思い出します
時々その向こうに
朝焼けが見えます
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2007/03/19 (Mon)
童話
机は待ってます
春が来るのを
また芽吹く日を
小さな子が
自分の身体に触れるくすぐったさが
その感覚に似ていて
どこかに枝を伸ばしたくなる
少し離れたところで
真新しいランドセルが
退屈そうに欠伸をこらえてます
春が来るのを
また芽吹く日を
小さな子が
自分の身体に触れるくすぐったさが
その感覚に似ていて
どこかに枝を伸ばしたくなる
少し離れたところで
真新しいランドセルが
退屈そうに欠伸をこらえてます
2005/07/25 (Mon)
童話
笑うことが苦手でした
泣くことはもっと下手くそでした
顔の端と端とがこんがらがって
笑っているのか泣いているのか
自分でもわからなくなる
そんな時は大抵怒っているのだ
と上手に笑う友だちがうらやましくて
いっしょに笑った
泣くことはもっと下手くそでした
顔の端と端とがこんがらがって
笑っているのか泣いているのか
自分でもわからなくなる
そんな時は大抵怒っているのだ
と上手に笑う友だちがうらやましくて
いっしょに笑った
2005/03/30 (Wed)
童話
ダチョウに良く似た面接官は
履歴書に書いてあることをいくつか質問すると
さて、と言い残し
窓から空へと飛んでいってしまいました
そのときになって初めて
面接官がダチョウに似ているのではなく
ダチョウが面接官に似ているのだと気づいたのです
その夜
慕っていた祖母が
私とは血が繋がっていないということを
父から聞きました
履歴書に書いてあることをいくつか質問すると
さて、と言い残し
窓から空へと飛んでいってしまいました
そのときになって初めて
面接官がダチョウに似ているのではなく
ダチョウが面接官に似ているのだと気づいたのです
その夜
慕っていた祖母が
私とは血が繋がっていないということを
父から聞きました
2004/08/16 (Mon)
童話
曇った窓ガラスに
自分の家を描き
それから
母の勤めている店を描いて
でたらめな道でつなげてみる
窓が汚れるから、と
後で怒られたりもしたけど
それがわたしの初めて描いた
世界地図でした
自分の家を描き
それから
母の勤めている店を描いて
でたらめな道でつなげてみる
窓が汚れるから、と
後で怒られたりもしたけど
それがわたしの初めて描いた
世界地図でした
2004/07/28 (Wed)
童話
読みかけの詩集を逆さまにすると
文字の列たちは
不ぞろいのビルディングになりました
そして
下のほうにあった余白は
広い空に
しばらくその様子に見とれていましたが
何かが足りない気がしたので
4Bの鉛筆で大きな三日月を描きました
窓に明かりが灯り始め
人々の話し声や装置の動く音が溢れ出す
その間にもどこかでまた言葉が生まれ
詩と呼ばれます
明かりのない窓の向こう
誰かが小さく咳をします
文字の列たちは
不ぞろいのビルディングになりました
そして
下のほうにあった余白は
広い空に
しばらくその様子に見とれていましたが
何かが足りない気がしたので
4Bの鉛筆で大きな三日月を描きました
窓に明かりが灯り始め
人々の話し声や装置の動く音が溢れ出す
その間にもどこかでまた言葉が生まれ
詩と呼ばれます
明かりのない窓の向こう
誰かが小さく咳をします
2004/07/27 (Tue)
童話
魚が手紙のようなものをくわえたまま
道の真ん中で力尽きているのを
少年は見つけました
水を泳ぐ魚にとって
ポストはあまりに遠かったのでしょう
少年は手紙のようなものを
代わりに投函しました
そして、その足で公園に行き
陽のあたらないところに魚を埋めました
魚の言葉を知らないので
少年は少年の知っている
一番簡単な弔いの言葉を添えました
風が吹いてほんの少し
海水浴のような匂いがしました
帰り道、魚屋の前を通りましたが
並べられていたのは
さっきのとは違う形の魚ばかりでした
道の真ん中で力尽きているのを
少年は見つけました
水を泳ぐ魚にとって
ポストはあまりに遠かったのでしょう
少年は手紙のようなものを
代わりに投函しました
そして、その足で公園に行き
陽のあたらないところに魚を埋めました
魚の言葉を知らないので
少年は少年の知っている
一番簡単な弔いの言葉を添えました
風が吹いてほんの少し
海水浴のような匂いがしました
帰り道、魚屋の前を通りましたが
並べられていたのは
さっきのとは違う形の魚ばかりでした
2004/07/22 (Thu)
童話
時計が遅れたり
進んだりするのを気にする人は
何よりも時間の大切さを
知っている人です
けれど
時計には時計のペースがあることを
忘れないでほしい
など
ホームの水飲み場で
あなたを待つわたしの人生訓が
ちぐはぐに転がります
昨日より少し涼しい日
間もなく海の方から
クラゲ色の列車が到着します
進んだりするのを気にする人は
何よりも時間の大切さを
知っている人です
けれど
時計には時計のペースがあることを
忘れないでほしい
など
ホームの水飲み場で
あなたを待つわたしの人生訓が
ちぐはぐに転がります
昨日より少し涼しい日
間もなく海の方から
クラゲ色の列車が到着します
2004/07/21 (Wed)
童話
あの人は頭にツノがありました
ある日
頭にツノがあって大変ですね
と言うと
あなたはツノがなくて大変ですね
そう答えました
あれを初恋と呼んでいいものか
今でも戸惑います
ただ、あることもないことも
同じくらいに淋しいときが
確かにあったのです
ある日
頭にツノがあって大変ですね
と言うと
あなたはツノがなくて大変ですね
そう答えました
あれを初恋と呼んでいいものか
今でも戸惑います
ただ、あることもないことも
同じくらいに淋しいときが
確かにあったのです