プロフィール
HN:
たもつ
年齢:
58
性別:
男性
誕生日:
1967/06/05
自己紹介:
こっそりと詩を書く男の人
ブログ内検索
カテゴリー
月間アーカイブ
最新コメント
[09/10 GOKU]
[11/09 つねさん]
[09/20 sechanco]
[06/07 たもつ]
[06/07 宮尾節子]
最新トラックバック
カウンター


県立文化会館の大ホール!大ホール!大ホール!と
すっかりはしゃぎ過ぎてしまったのです
誰かサイダーを持って来てください
僕は観客席で日めくりカレンダーをめくり続けています
県立文化会館の大ホールは音響が素晴らしいので
世界中から一級建築士が集まって来るのです
また一人、また一人と舞台に上がってはお得意のパントマイムを披露するのですが
サイダーはまだでしょうか
僕の指紋はすっかり擦り切れてしまったのです
舞台の上では散乱した見えない壁や椅子が腐乱を始めています
隣の席では若い女性が美味しそうに自分の耳をかじっています
早くサイダーを持って来てください
僕も試しに自分の耳をかじってみると口から音がこぼれそうになるのです
次々と一級建築士が登場するのです
舞台から押し出された一級建築士が前列の観客と血生臭いことになっているのです
県立文化会館の大ホールは飲食禁止なのでありました!
見よう見まねのパントマイムで作ったサイダーのビンから溢れ出した泡が
熱帯性低気圧となって屋根を突き破り夜空の星を撃ち落とします
落ちた星は発芽して日めくりカレンダーをたわわに実らせるのです!
そしてまた僕は
県立文化会館の大ホール!大ホール!大ホール!と
はしゃぎながら皮膚をめくり続けます
すっかりはしゃぎ過ぎてしまったのです
誰かサイダーを持って来てください
僕は観客席で日めくりカレンダーをめくり続けています
県立文化会館の大ホールは音響が素晴らしいので
世界中から一級建築士が集まって来るのです
また一人、また一人と舞台に上がってはお得意のパントマイムを披露するのですが
サイダーはまだでしょうか
僕の指紋はすっかり擦り切れてしまったのです
舞台の上では散乱した見えない壁や椅子が腐乱を始めています
隣の席では若い女性が美味しそうに自分の耳をかじっています
早くサイダーを持って来てください
僕も試しに自分の耳をかじってみると口から音がこぼれそうになるのです
次々と一級建築士が登場するのです
舞台から押し出された一級建築士が前列の観客と血生臭いことになっているのです
県立文化会館の大ホールは飲食禁止なのでありました!
見よう見まねのパントマイムで作ったサイダーのビンから溢れ出した泡が
熱帯性低気圧となって屋根を突き破り夜空の星を撃ち落とします
落ちた星は発芽して日めくりカレンダーをたわわに実らせるのです!
そしてまた僕は
県立文化会館の大ホール!大ホール!大ホール!と
はしゃぎながら皮膚をめくり続けます
PR


日曜日の午後六時三十分
サザエでございます、で始まる「サザエさん」
に新しいキャラクターが登場した
裏のおじいさんの家に下宿することとなった
私立大学生のスベスベマンジュウガニ
これから、どうそよろしくお願いします
故郷の名物である饅頭を持って磯野家に挨拶に来た
おいおい、スベスベマンジュウガニの饅頭なんて毒入りじゃねえか?
そう顔を見合わせる磯野家(一部フグタ家を含む)の人々
その沈黙を切り裂くかのように
わあ、美味しそうでしゅ
場の空気を読むことができないタラちゃんの発言に
顔をひきつらせながら、じゃあお茶でも、と立ち上がるフネ
我々がこの家族に出会えるのは日曜の午後六時三十分から七時までの僅か三十分だけであるが
彼らにも当然のことながら、一日があり、毎日があり、四季がある
波平のスベスベした頭の天辺に残った一本の毛
それはこの物語のシンボルとも言える
戦後、高度成長期、バブル、そしてその崩壊
そういった時代の荒波の中でも挫けることなく生きてきた魂である
サザエの誕生からカツオの誕生までの
おそらく十数年の間に果たして何があったのか
という疑問を抱きながらも、あの歳で二人の子作りに成功した波平、フネの夫婦に
誰もが涙し、拍手喝采を送る
この永遠に歳をとることがない家族の物語に終止符が打たれるとき
最後の一本の毛を自らの手で抜こう、と波平は決心している
そんな波平の心意気など知る由もなくスベスベマンジュウガニ氏は
ドウゾドウゾ、笑顔で饅頭を勧める
ええい、ままよ、波平は恐る恐る饅頭に手を伸ばす
家長である自分が家族を守らなければ!
その瞬間、タマにこっそりと饅頭を食べさせその安全を確認したカツオが電光石火でパクリ
サザエでございます、で始まる「サザエさん」
に新しいキャラクターが登場した
裏のおじいさんの家に下宿することとなった
私立大学生のスベスベマンジュウガニ
これから、どうそよろしくお願いします
故郷の名物である饅頭を持って磯野家に挨拶に来た
おいおい、スベスベマンジュウガニの饅頭なんて毒入りじゃねえか?
そう顔を見合わせる磯野家(一部フグタ家を含む)の人々
その沈黙を切り裂くかのように
わあ、美味しそうでしゅ
場の空気を読むことができないタラちゃんの発言に
顔をひきつらせながら、じゃあお茶でも、と立ち上がるフネ
我々がこの家族に出会えるのは日曜の午後六時三十分から七時までの僅か三十分だけであるが
彼らにも当然のことながら、一日があり、毎日があり、四季がある
波平のスベスベした頭の天辺に残った一本の毛
それはこの物語のシンボルとも言える
戦後、高度成長期、バブル、そしてその崩壊
そういった時代の荒波の中でも挫けることなく生きてきた魂である
サザエの誕生からカツオの誕生までの
おそらく十数年の間に果たして何があったのか
という疑問を抱きながらも、あの歳で二人の子作りに成功した波平、フネの夫婦に
誰もが涙し、拍手喝采を送る
この永遠に歳をとることがない家族の物語に終止符が打たれるとき
最後の一本の毛を自らの手で抜こう、と波平は決心している
そんな波平の心意気など知る由もなくスベスベマンジュウガニ氏は
ドウゾドウゾ、笑顔で饅頭を勧める
ええい、ままよ、波平は恐る恐る饅頭に手を伸ばす
家長である自分が家族を守らなければ!
その瞬間、タマにこっそりと饅頭を食べさせその安全を確認したカツオが電光石火でパクリ


冷蔵庫の中には青空が広がっていたので
君は買ってきたゼリーを冷凍庫に入れるしかない
冷凍庫は満杯でゼリーをしまうスペースをつくるために
君は肉の塊を取り出す
いつ買った肉なのかすっかり忘れてしまっているけれど
それをレンジで解凍すると
いくつかの野菜を刻みいっしょにフライパンで炒めて
夕食の一品とする
君は冷凍庫の中でソルベ状になったゼリーの食感を空想
そして幸福感に包まれたまま冷凍庫の扉をスライドし
ゼリーを取り出す
蓋をはがすとゼリーは既に青空に侵食されている
君はシャリシャリ音をたてて青空を噛む
世界のどこかで青空が崩壊していることに気づいているのか
あるいは気づいていないのか
それはそれとして
君の薄い唇から「美味しい」という言葉がもれる
君は買ってきたゼリーを冷凍庫に入れるしかない
冷凍庫は満杯でゼリーをしまうスペースをつくるために
君は肉の塊を取り出す
いつ買った肉なのかすっかり忘れてしまっているけれど
それをレンジで解凍すると
いくつかの野菜を刻みいっしょにフライパンで炒めて
夕食の一品とする
君は冷凍庫の中でソルベ状になったゼリーの食感を空想
そして幸福感に包まれたまま冷凍庫の扉をスライドし
ゼリーを取り出す
蓋をはがすとゼリーは既に青空に侵食されている
君はシャリシャリ音をたてて青空を噛む
世界のどこかで青空が崩壊していることに気づいているのか
あるいは気づいていないのか
それはそれとして
君の薄い唇から「美味しい」という言葉がもれる


ねこが
ねずみを追いかける
そんなアメリカ製の漫画に
笑っていたのも昔のことだ
今ではねこが如何に楽しそうに
そして残酷にねずみをなぶり殺すのか
僕は知ってしまった
これを何かのメタファと思わないで欲しい
大好きな君よ
初めてネクタリンという果実を食べた朝に
僕はこれを書いている
ねずみを追いかける
そんなアメリカ製の漫画に
笑っていたのも昔のことだ
今ではねこが如何に楽しそうに
そして残酷にねずみをなぶり殺すのか
僕は知ってしまった
これを何かのメタファと思わないで欲しい
大好きな君よ
初めてネクタリンという果実を食べた朝に
僕はこれを書いている


新聞の文字列と文字列の間を地下鉄は走る
つり革につかまる僕の視界の一番隅で
ラララ、ライカは宇宙の展開図を描くことに夢中
僕たちの声は届くべきところに届いているか
ラララ、ライカ、誰かの小さな咳でその端が小さくロールしている
ラララ、ライカ、僕たちはどこに行くのだろう
地下鉄は走る、文字列と文字列の間を、ララララ、ララララ
こぼれ落ちる音符が躍り始めて
ラララ、ライカ、誰もその歌を歌いださない
ラララ、ライカ、窓の外はあの宇宙にとてもよく似ているのに
そうだよ、大好きな星がひとつも無い
僕たちの声は届くべきなのか
ラララ、ライカ、もう僕たちは宇宙には行けない
ほら、展開図はもう涙と涎でぐちゃぐちゃになって
僕の視界の一番隅で星のように光っている
だからライカ
ララララ、ララララ、早くおうちに帰ろう
つり革につかまる僕の視界の一番隅で
ラララ、ライカは宇宙の展開図を描くことに夢中
僕たちの声は届くべきところに届いているか
ラララ、ライカ、誰かの小さな咳でその端が小さくロールしている
ラララ、ライカ、僕たちはどこに行くのだろう
地下鉄は走る、文字列と文字列の間を、ララララ、ララララ
こぼれ落ちる音符が躍り始めて
ラララ、ライカ、誰もその歌を歌いださない
ラララ、ライカ、窓の外はあの宇宙にとてもよく似ているのに
そうだよ、大好きな星がひとつも無い
僕たちの声は届くべきなのか
ラララ、ライカ、もう僕たちは宇宙には行けない
ほら、展開図はもう涙と涎でぐちゃぐちゃになって
僕の視界の一番隅で星のように光っている
だからライカ
ララララ、ララララ、早くおうちに帰ろう


フセイン、昨晩おまえの夢を見た
おまえは壇上から民衆に向かって演説をしていた
それはおまえの国の言葉なので俺には聴こえなかった
サダム・フセイン、俺がおまえの夢を見ているとき
おまえは俺の夢をみていただろうか
心配しなくてもいい、俺は演説などしない
フセイン、今朝、おまえが最初に目にしたものは何だ
聞いた音は何だ
嗅いだ匂いは
何だ
時計代わりの携帯のチャクメロで俺は今朝も目が覚めた
最初に目にしたのは朝の闇、そしてディスプレイ
最初に嗅いだのは自分の小便の匂いだ
ここは何も変わらない
サダム・フセイン、おまえはもう
おまえの国の人々やおまえの国ではない人々が苦しむ姿を見ていないだろう
叫びを聞いていないだろう
いや、もしかしたら見ているかもしれない、聞いているかもしれない
俺と同じテレビジョンの中
そこでは血と火薬の匂いだけがしない
フセイン、おまえにはおまえの正義がある
合衆国には合衆国の正義がある
俺の国には俺の国の正義があって
俺には俺の正義がある
正義?そうだ、正義だ
すべてのことは正義の名のもとに行われている
正義の名のもとに侵略が行われ、人が殺戮され、別の正義が駆逐される
俺は俺の正義の名のもとに守るべきもの守らなければならない
サダム・フセイン、おまえが駆逐した正義は何だ
駆逐されたおまえの正義は何だ
俺は押し寄せてくる正義の波に溺れている
もしかしたら俺の正義のためにどこかで誰かが死んでいるかもしれない
そんなのはつまらない感傷だ、とおまえは笑うだろう
フセイン、今日の俺は弱い
フセイン、おまえが俺のことをしらないのと同じように
俺は採集した昆虫のことを図鑑で調べる程度にしかおまえのことを知らない
もし俺たちが死んだら
神様を信じているおまえと神様を信じていない俺は別のところに行くのだろうか
違う正義をもつ俺たちはわかりあえないのだろうか
サダム・フセイン、もし電車の席に座っているおまえの目の前にお年寄りが立ったら
おまえは席を譲るか?
雨に濡れている人がいたら傘を差し出すか?
おまえと俺の正義は本当に違うものなのか
そんな簡単なことをおまえに聞きたい
今日の俺はとても弱い
そう言っている間にも、おまえも俺も知らない誰かが血を流し
俺たちは正義の名のもと、無邪気に許しを乞うている
おまえは壇上から民衆に向かって演説をしていた
それはおまえの国の言葉なので俺には聴こえなかった
サダム・フセイン、俺がおまえの夢を見ているとき
おまえは俺の夢をみていただろうか
心配しなくてもいい、俺は演説などしない
フセイン、今朝、おまえが最初に目にしたものは何だ
聞いた音は何だ
嗅いだ匂いは
何だ
時計代わりの携帯のチャクメロで俺は今朝も目が覚めた
最初に目にしたのは朝の闇、そしてディスプレイ
最初に嗅いだのは自分の小便の匂いだ
ここは何も変わらない
サダム・フセイン、おまえはもう
おまえの国の人々やおまえの国ではない人々が苦しむ姿を見ていないだろう
叫びを聞いていないだろう
いや、もしかしたら見ているかもしれない、聞いているかもしれない
俺と同じテレビジョンの中
そこでは血と火薬の匂いだけがしない
フセイン、おまえにはおまえの正義がある
合衆国には合衆国の正義がある
俺の国には俺の国の正義があって
俺には俺の正義がある
正義?そうだ、正義だ
すべてのことは正義の名のもとに行われている
正義の名のもとに侵略が行われ、人が殺戮され、別の正義が駆逐される
俺は俺の正義の名のもとに守るべきもの守らなければならない
サダム・フセイン、おまえが駆逐した正義は何だ
駆逐されたおまえの正義は何だ
俺は押し寄せてくる正義の波に溺れている
もしかしたら俺の正義のためにどこかで誰かが死んでいるかもしれない
そんなのはつまらない感傷だ、とおまえは笑うだろう
フセイン、今日の俺は弱い
フセイン、おまえが俺のことをしらないのと同じように
俺は採集した昆虫のことを図鑑で調べる程度にしかおまえのことを知らない
もし俺たちが死んだら
神様を信じているおまえと神様を信じていない俺は別のところに行くのだろうか
違う正義をもつ俺たちはわかりあえないのだろうか
サダム・フセイン、もし電車の席に座っているおまえの目の前にお年寄りが立ったら
おまえは席を譲るか?
雨に濡れている人がいたら傘を差し出すか?
おまえと俺の正義は本当に違うものなのか
そんな簡単なことをおまえに聞きたい
今日の俺はとても弱い
そう言っている間にも、おまえも俺も知らない誰かが血を流し
俺たちは正義の名のもと、無邪気に許しを乞うている


君の狐つきもすっかり板についた四月の日没さ
今日は良い天気だったんだね、ほら、宵の明星
という意味のケン、ケン、ケン、そしてJump!
君のJump!はいつもいい匂いがするね
だから僕の目はいつも君のJump!にくぎ付けだよ
そしてまたJump!
君はなんて素敵な夜行性なんだろう
二人で過ごすこの時間帯が僕は一番好きなんだ、ハニー
そんなセリフは照れくさくて口がモゾモゾするよ、そして僕のJump!
君のJump!のようにいい匂いはしないけど、僕だって跳び上がりたいさ
こうしていると時間が止まっているような気がする、その間にも
どこかで生命が誕生して、生命が消えていく、四月の日没さ
Jump!二人でJump!そんな感傷はどこかに捨ててしまえばいい、って
宵の明星にJump!
これからいっしょにご飯を食べて
(君が雑食性で良かった)
いっしょにお風呂に入って
(グルーミングの真似をすると私は猿じゃないのよ、という意味のケン、ケン、ケン)
いっしょに「恋のから騒ぎ」を見ちゃうんだろうね、僕たちは!
(幸せってなんだっけ?って昔さんまちゃんが歌ってたね)
そして、おやすみなさいのチュ!鼻が冷たくてブルブルするよ
僕が寝ている間、深夜放送を見る君!
僕がこっそりと隠しているアダルトビデオを見る君!(一人でエッチなことするの?)
お皿がうまく食器棚に入らないよ、という意味のケン、ケン、ケン、と君!
どうか君が狩りに出て怪我をしませんように、と僕はお祈りをするのさ
そして君のJump!
ほら、また、いい匂いがどこかへ運ばれていく
今日は良い天気だったんだね、ほら、宵の明星
という意味のケン、ケン、ケン、そしてJump!
君のJump!はいつもいい匂いがするね
だから僕の目はいつも君のJump!にくぎ付けだよ
そしてまたJump!
君はなんて素敵な夜行性なんだろう
二人で過ごすこの時間帯が僕は一番好きなんだ、ハニー
そんなセリフは照れくさくて口がモゾモゾするよ、そして僕のJump!
君のJump!のようにいい匂いはしないけど、僕だって跳び上がりたいさ
こうしていると時間が止まっているような気がする、その間にも
どこかで生命が誕生して、生命が消えていく、四月の日没さ
Jump!二人でJump!そんな感傷はどこかに捨ててしまえばいい、って
宵の明星にJump!
これからいっしょにご飯を食べて
(君が雑食性で良かった)
いっしょにお風呂に入って
(グルーミングの真似をすると私は猿じゃないのよ、という意味のケン、ケン、ケン)
いっしょに「恋のから騒ぎ」を見ちゃうんだろうね、僕たちは!
(幸せってなんだっけ?って昔さんまちゃんが歌ってたね)
そして、おやすみなさいのチュ!鼻が冷たくてブルブルするよ
僕が寝ている間、深夜放送を見る君!
僕がこっそりと隠しているアダルトビデオを見る君!(一人でエッチなことするの?)
お皿がうまく食器棚に入らないよ、という意味のケン、ケン、ケン、と君!
どうか君が狩りに出て怪我をしませんように、と僕はお祈りをするのさ
そして君のJump!
ほら、また、いい匂いがどこかへ運ばれていく


駅のホームで国歌を斉唱します、国歌を斉唱したいのです
どこの国歌でも構いません、僕は斉唱したいのです
恋人はホームの先端でフェンスを噛み砕いています
ものすごい音をたて、あるいは音をたてないで
僕は国歌を斉唱します、高らかに!斉唱したいのです
ある日、僕はこつ然と駅のホームに立ちました
国歌を斉唱する僕の足元にスズメがやってきて小さな歌を歌います
ベンチでは初老の紳士が一人、西洋式の便器を大事そうに抱きかかえ
良い思い出を、とつぶやきながら、走り去る列車に手を振っています
ホームの先端、恋人はフェンスを噛み砕き続けています
もう、彼女に歯はありません、僕は国歌を斉唱します
どこの国歌でもいいのです
その国の人を大切に思います
その国の大地、一番北に咲く花のことも
その国のすべての階段という階段が健やかに階段であることを祈ります
僕に国歌を斉唱させてください
ホームの先端でフェンスを噛み砕き続けている恋人は
すでにフェンスになってしまいました
伝えなければならないことが沢山あったはずなのです
だから僕は駅のホームになろうと思います、なりたいのです
先端でフェンスである恋人がフェンスを噛み砕いている駅の
ホームになりたいのです
そして僕は国歌を斉唱します
もう、「愛」という言葉で何もごまかしません
どこの国歌でも構いません、僕は斉唱したいのです
恋人はホームの先端でフェンスを噛み砕いています
ものすごい音をたて、あるいは音をたてないで
僕は国歌を斉唱します、高らかに!斉唱したいのです
ある日、僕はこつ然と駅のホームに立ちました
国歌を斉唱する僕の足元にスズメがやってきて小さな歌を歌います
ベンチでは初老の紳士が一人、西洋式の便器を大事そうに抱きかかえ
良い思い出を、とつぶやきながら、走り去る列車に手を振っています
ホームの先端、恋人はフェンスを噛み砕き続けています
もう、彼女に歯はありません、僕は国歌を斉唱します
どこの国歌でもいいのです
その国の人を大切に思います
その国の大地、一番北に咲く花のことも
その国のすべての階段という階段が健やかに階段であることを祈ります
僕に国歌を斉唱させてください
ホームの先端でフェンスを噛み砕き続けている恋人は
すでにフェンスになってしまいました
伝えなければならないことが沢山あったはずなのです
だから僕は駅のホームになろうと思います、なりたいのです
先端でフェンスである恋人がフェンスを噛み砕いている駅の
ホームになりたいのです
そして僕は国歌を斉唱します
もう、「愛」という言葉で何もごまかしません


春の電撃作戦。開始。
街のいたるところで僕らは耳に手をあてる
どかん
それは小さな破裂
作戦が始まった合図だ、ほら
そしてまた、どかん
コンビニで働くあの娘、最近きれいになったね
という噂はすでに街外れにある喫茶店のマスターにまで広まった
春だからさ?
けれどまだ僕らはコートを手放せない季節にいる
そしてまた、どかん
コートといえば、わたし小学生の頃、露出狂を見たことがあるの
まだ寒かったわ、下校途中にね
合唱部だったのよ、市のコンクールがちかくて、夜遅くまで練習して
街灯の下に男の人がいたの、おじさん、コートはねずみ色だったかな
いいえ、黒だったかも、いきなりそのコートをわっと開いて
何だったと思う?
菜の花だったの、一面の。一面の菜の花畑
きれいだなあ、って
でもきちんと見ることができなくて
その時初めて、男の人って卑怯だと思った
そう言いながら男のモノをティッシュで拭く手の温もりに、どかん
「裁判長!それは間違っている!」
「静粛に。傍聴人の発言は認められていません」
「あなたは何で人を裁く!人に人が裁けるのか!」
「人が裁くのではありません。法が裁くのです」
「その法をつくったのは誰だ!神か?人だろう!」
「そうです、人です。欠陥だらけの人です。人は欠陥だらけです。
だからこそ人は正しく生きなければなりません」
裁判長はニコリと微笑んで続ける
「耳に手をあててごらんなさい。春の電撃作戦はもう始まっているのですよ。
どかん」
春の電撃作戦。開始。
雪が再び空に帰る準備をしているころ
虫たちは複眼を覆うまぶたの一つ一つを開ける
花は花であることの意味を思い出し
その側から僕らは生まれていく、作戦を開始するために!
今朝、ベルトの穴を二つ間違えました。どかん
「希望」という字をかみ締めると歯ぐきから血のようなものが出ます。どかん
失いそうなものを備忘録に書き留めていく夕暮れは。どかん
どかん
そしてまた新しい恋をしよう、と誰かが言った
街のいたるところで僕らは耳に手をあてる
どかん
それは小さな破裂
作戦が始まった合図だ、ほら
そしてまた、どかん
コンビニで働くあの娘、最近きれいになったね
という噂はすでに街外れにある喫茶店のマスターにまで広まった
春だからさ?
けれどまだ僕らはコートを手放せない季節にいる
そしてまた、どかん
コートといえば、わたし小学生の頃、露出狂を見たことがあるの
まだ寒かったわ、下校途中にね
合唱部だったのよ、市のコンクールがちかくて、夜遅くまで練習して
街灯の下に男の人がいたの、おじさん、コートはねずみ色だったかな
いいえ、黒だったかも、いきなりそのコートをわっと開いて
何だったと思う?
菜の花だったの、一面の。一面の菜の花畑
きれいだなあ、って
でもきちんと見ることができなくて
その時初めて、男の人って卑怯だと思った
そう言いながら男のモノをティッシュで拭く手の温もりに、どかん
「裁判長!それは間違っている!」
「静粛に。傍聴人の発言は認められていません」
「あなたは何で人を裁く!人に人が裁けるのか!」
「人が裁くのではありません。法が裁くのです」
「その法をつくったのは誰だ!神か?人だろう!」
「そうです、人です。欠陥だらけの人です。人は欠陥だらけです。
だからこそ人は正しく生きなければなりません」
裁判長はニコリと微笑んで続ける
「耳に手をあててごらんなさい。春の電撃作戦はもう始まっているのですよ。
どかん」
春の電撃作戦。開始。
雪が再び空に帰る準備をしているころ
虫たちは複眼を覆うまぶたの一つ一つを開ける
花は花であることの意味を思い出し
その側から僕らは生まれていく、作戦を開始するために!
今朝、ベルトの穴を二つ間違えました。どかん
「希望」という字をかみ締めると歯ぐきから血のようなものが出ます。どかん
失いそうなものを備忘録に書き留めていく夕暮れは。どかん
どかん
そしてまた新しい恋をしよう、と誰かが言った