プロフィール
HN:
たもつ
年齢:
58
性別:
男性
誕生日:
1967/06/05
自己紹介:
こっそりと詩を書く男の人
ブログ内検索
カテゴリー
月間アーカイブ
最新コメント
[09/10 GOKU]
[11/09 つねさん]
[09/20 sechanco]
[06/07 たもつ]
[06/07 宮尾節子]
最新トラックバック
カウンター


「何のために生まれてきたのか」という命題は
大いなるロマンチシズムであり
その裏返しとしてそう簡単に答えが出るものではない
「何のために生きているのか」これもまた
ほぼ同義語であるといえるだろう
これを「何のために生きていくのか」とすると
それは甚だ現実的な問題となり
これなら自分でも数行の世界の中で展開できるのではないか
などと考えるのだが
今日も冬の木枯しの冷たさに
コートの襟を立て
(追記)
親愛なる友人Sへ
2点ほど御指摘をいただいたので
1点目として
「何のために生まれてきたのか」と
「何のために生きているのか」が同義語であるとするのは
いささか強引ではないか、とのことだが
確かにおっしゃるとおり
「何のために生まれてきたのか」という回答の中には
「生きるため」という選択肢も含まれるだろう
したがって「生きるために生きる」という回答をフェアとしないのであれば
選択肢が一つ多いわけだから同義であるとは言えないかもしれない
しかしながら「生まれるために生きる」という回答も必ずしも無いわけではない
とするならば選択肢の数は同じとならないか
2点目として
「何のために生きているのか」と
「何のために生きていくのか」こそ同義ではないかとのことだが
「金のために生きていく」ことは一つの姿勢として評価できるとしても
「金のために生きている」のはなんとも寂しいことと言えはしないか
親愛なる友人Sよ
きみのバーバリーのコートもかなりくたびれてきたようだ
買いかえるなら良い店を紹介する
大いなるロマンチシズムであり
その裏返しとしてそう簡単に答えが出るものではない
「何のために生きているのか」これもまた
ほぼ同義語であるといえるだろう
これを「何のために生きていくのか」とすると
それは甚だ現実的な問題となり
これなら自分でも数行の世界の中で展開できるのではないか
などと考えるのだが
今日も冬の木枯しの冷たさに
コートの襟を立て
(追記)
親愛なる友人Sへ
2点ほど御指摘をいただいたので
1点目として
「何のために生まれてきたのか」と
「何のために生きているのか」が同義語であるとするのは
いささか強引ではないか、とのことだが
確かにおっしゃるとおり
「何のために生まれてきたのか」という回答の中には
「生きるため」という選択肢も含まれるだろう
したがって「生きるために生きる」という回答をフェアとしないのであれば
選択肢が一つ多いわけだから同義であるとは言えないかもしれない
しかしながら「生まれるために生きる」という回答も必ずしも無いわけではない
とするならば選択肢の数は同じとならないか
2点目として
「何のために生きているのか」と
「何のために生きていくのか」こそ同義ではないかとのことだが
「金のために生きていく」ことは一つの姿勢として評価できるとしても
「金のために生きている」のはなんとも寂しいことと言えはしないか
親愛なる友人Sよ
きみのバーバリーのコートもかなりくたびれてきたようだ
買いかえるなら良い店を紹介する
PR


砂浜に一人立ち
海面近くを低く飛ぶ一羽の渡り鳥を見ている
お前もはぐれてしまったんだな
そう呟く男の後ろ姿を
私は学生時代に一遍の詩にした
十数年ぶりにノートを開くと
男はまだ一人で海を見ていた
次の頁では
男のかつての恋人が二児の母となり
幸せに暮らしている
時として若さは残酷な結末を渇望し
そしてもう一枚めくった空白を
私はまだ埋めることができない
海面近くを低く飛ぶ一羽の渡り鳥を見ている
お前もはぐれてしまったんだな
そう呟く男の後ろ姿を
私は学生時代に一遍の詩にした
十数年ぶりにノートを開くと
男はまだ一人で海を見ていた
次の頁では
男のかつての恋人が二児の母となり
幸せに暮らしている
時として若さは残酷な結末を渇望し
そしてもう一枚めくった空白を
私はまだ埋めることができない


「ショクヨウガエル」という物悲しい名前の蛙がいる
まるで
人間に食べられるためだけに生まれてきたかのような名前の
体長15~20cmにもなる巨大な蛙
正式な和名は「ウシガエル」
食用として輸入したものが野生化し
今や日本全国のほとんどに分布している
夏
ホタルをとりに行くと
闇を支配していたのは
きまって
このショクヨウガエルの低い鳴き声だった
時々、車のタイヤが砂利を弾く音をたてるくらいで
現在の日本ではショクヨウガエルは
食材として一般的ではない
「食用」であるのにもかかわらずだ
それはそれでまた物悲しい
余談だが
捕まえたホタルは数日後に
虫かごのなかで
一生を終える
少年は命というものを知り
自分に言い訳することを学んだ
それでも
思い出として美化する術を身に付けるには
もう少し年月が要った
まるで
人間に食べられるためだけに生まれてきたかのような名前の
体長15~20cmにもなる巨大な蛙
正式な和名は「ウシガエル」
食用として輸入したものが野生化し
今や日本全国のほとんどに分布している
夏
ホタルをとりに行くと
闇を支配していたのは
きまって
このショクヨウガエルの低い鳴き声だった
時々、車のタイヤが砂利を弾く音をたてるくらいで
現在の日本ではショクヨウガエルは
食材として一般的ではない
「食用」であるのにもかかわらずだ
それはそれでまた物悲しい
余談だが
捕まえたホタルは数日後に
虫かごのなかで
一生を終える
少年は命というものを知り
自分に言い訳することを学んだ
それでも
思い出として美化する術を身に付けるには
もう少し年月が要った


君達がつくり上げる新しい家庭に
幸多からんことを願う
平成7年10月19日
すなわち君が産まれた日にこれを記す
平成8年3月末日
実家より娘を連れて戻ってきた妻に
この手紙を手渡す
娘の結婚式の時に自分がいない場合は
これを開封するようにと
呆れ顔で妻は笑ったが
私はその時、大層まじめだった
幸多からんことを願う
平成7年10月19日
すなわち君が産まれた日にこれを記す
平成8年3月末日
実家より娘を連れて戻ってきた妻に
この手紙を手渡す
娘の結婚式の時に自分がいない場合は
これを開封するようにと
呆れ顔で妻は笑ったが
私はその時、大層まじめだった


坂道を駆け上り
息を切らしながら
丘の上の公園に立てば
眼下に広がる海
遠くに見える港からは
外国に向かう貨物船が一艘
出航したところだった
自分もいつかは一人で旅立つ日が来る
子供心ながらに感じた
漠然と
その日初めて
「お父さん」
「お母さん」
そう呼んだ唇の動きがもたらす
微かな不安に
息を切らしながら
丘の上の公園に立てば
眼下に広がる海
遠くに見える港からは
外国に向かう貨物船が一艘
出航したところだった
自分もいつかは一人で旅立つ日が来る
子供心ながらに感じた
漠然と
その日初めて
「お父さん」
「お母さん」
そう呼んだ唇の動きがもたらす
微かな不安に


呼ぶ
名を呼ぶ
おまえの名を呼ぶ
何回呼んだ おまえの名前
朝起きて呼ぶ
朝飯を食いながら呼ぶ
味噌汁の味付けが濃いと
出掛けに呼ぶ
電話で呼ぶ
風呂の中で呼ぶ
石鹸が無いと
寝る前に呼ぶ
喧嘩しても呼ぶ
呼ぶのはいつもおまえの名前
朝まで抱きしめながら
呼ぶ
名を呼ぶ
おまえの名を呼ぶ
これから何回呼ぶんだ おまえの名前
そして、呼ぶ おまえの名前
多分、最後に
名を呼ぶ
おまえの名を呼ぶ
何回呼んだ おまえの名前
朝起きて呼ぶ
朝飯を食いながら呼ぶ
味噌汁の味付けが濃いと
出掛けに呼ぶ
電話で呼ぶ
風呂の中で呼ぶ
石鹸が無いと
寝る前に呼ぶ
喧嘩しても呼ぶ
呼ぶのはいつもおまえの名前
朝まで抱きしめながら
呼ぶ
名を呼ぶ
おまえの名を呼ぶ
これから何回呼ぶんだ おまえの名前
そして、呼ぶ おまえの名前
多分、最後に


年老いた画家は絵の中の少女に羽を描いた
羽を得た少女は絵の中の空を楽しそうに飛び回った
画家は少女にもっと立派な羽をつけたくて描き直そうとしたが
羽をとられてしまった少女はうつむいているばかり
そして画家は羽を描く方法を
忘れてしまった
でも、本当は
最初から少女も画家も存在なんかしていなくて
生乾きの筆が一本ころがっている
そんな絵が1枚だけ飾られた美術館がある
羽を得た少女は絵の中の空を楽しそうに飛び回った
画家は少女にもっと立派な羽をつけたくて描き直そうとしたが
羽をとられてしまった少女はうつむいているばかり
そして画家は羽を描く方法を
忘れてしまった
でも、本当は
最初から少女も画家も存在なんかしていなくて
生乾きの筆が一本ころがっている
そんな絵が1枚だけ飾られた美術館がある


悲しみは忘れた頃にやってくる
悲しみの上にも三年
悲しみ盆に返らず
千里の道も悲しみから
咽喉元過ぎれば悲しみ忘れる
悲しみの悲しみによる悲しみのための悲しみ
悲しみは青かった
おお悲しみ、どうしてあなたは悲しみなの
カウンターの隅で
「悲しみ」という名のカクテルを飲んでいる若者がいたら
それはきっと二十歳の頃の僕です
見かけても
声は掛けなくて構いません
悲しみの上にも三年
悲しみ盆に返らず
千里の道も悲しみから
咽喉元過ぎれば悲しみ忘れる
悲しみの悲しみによる悲しみのための悲しみ
悲しみは青かった
おお悲しみ、どうしてあなたは悲しみなの
カウンターの隅で
「悲しみ」という名のカクテルを飲んでいる若者がいたら
それはきっと二十歳の頃の僕です
見かけても
声は掛けなくて構いません