プロフィール
HN:
たもつ
年齢:
58
性別:
男性
誕生日:
1967/06/05
自己紹介:
こっそりと詩を書く男の人
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まったりと待ったり
まったりと舞ったり
まったりと立ったり
座ったり
そして
まったりと去ったり
前歯が一本欠けた美食家は
口髭を手で整えながら言う
時間を美味しく食べるには
新鮮なところよりも
少々熟成したものが良い
ただし熟成しすぎると
かえって淡白になる
「良い思い出」など
体力の弱った老人が食するもので
後悔、憎悪、未練、
あきらめ、とまどい、苛立ち
そこに
女の涙や
男のため息などを
適量にかければ
まろやかでこくのある味わいが
広がるのである
そんなもの食いたくもねえと
ナイフとフォークを投げ捨て
テーブルを蹴っ飛ばした僕は
まだ
すべてを許せていない
のだろう
まったりと舞ったり
まったりと立ったり
座ったり
そして
まったりと去ったり
前歯が一本欠けた美食家は
口髭を手で整えながら言う
時間を美味しく食べるには
新鮮なところよりも
少々熟成したものが良い
ただし熟成しすぎると
かえって淡白になる
「良い思い出」など
体力の弱った老人が食するもので
後悔、憎悪、未練、
あきらめ、とまどい、苛立ち
そこに
女の涙や
男のため息などを
適量にかければ
まろやかでこくのある味わいが
広がるのである
そんなもの食いたくもねえと
ナイフとフォークを投げ捨て
テーブルを蹴っ飛ばした僕は
まだ
すべてを許せていない
のだろう
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もぐらが穴を掘るわけは
ほんとは空が見たいから
トンボが空を飛ぶわけは
海を泳いでいたいから
夕日が海に沈むのは
赤く染まる波々の
向こうにおうちがあるからで
とうさん帰って来ないのは
お仕事大変なんだろう
かあさん綺麗な洋服で
今日もお外に出て行った
隣のおうちの笑い声
こっちにおいでと
呼んでるよう
ほんとは空が見たいから
トンボが空を飛ぶわけは
海を泳いでいたいから
夕日が海に沈むのは
赤く染まる波々の
向こうにおうちがあるからで
とうさん帰って来ないのは
お仕事大変なんだろう
かあさん綺麗な洋服で
今日もお外に出て行った
隣のおうちの笑い声
こっちにおいでと
呼んでるよう


娘が補助輪無しで
自転車に乗ることが出来るようになった
昨日
父が最近左手がきかぬと
ペットボトルの蓋を開けさせた
今日
僕は時のパズルと戯れながら
3年前の出来事すら
時系列に並べることが
できなくなっている
妻は台所で
大根を切っている
空では星が
瞬いている
自転車に乗ることが出来るようになった
昨日
父が最近左手がきかぬと
ペットボトルの蓋を開けさせた
今日
僕は時のパズルと戯れながら
3年前の出来事すら
時系列に並べることが
できなくなっている
妻は台所で
大根を切っている
空では星が
瞬いている


かわいいあの娘は えけせてね
恋した相手は いきしちに
二人の間に流れてる
渡るに渡れぬ うくすつぬ
おこそとの と添い寝して
見上げた空に あかさたな
EKESETENE
えけせてね
えけせてね
えけせてね
え段の復唱テスト
暗記は完璧
ケーキ屋の前を通り過ぎ
えくれあ
えくれあ
えくれあ
あれ、ひとつ足りないな
EKESETENE
青年は砂浜に立って
一人で海を見ている
手に恋人から送られてきた
一通の手紙を握り締めたまま
青年は叫んだ
「えけせてねー!」
そうだ青年よ
失った恋なんか
叫びとともに海に捨ててしまえ
EKESETENE
それでは問題です
今までに「えけせてね」は
何回出てきたでしょうか
注意事項
その1:答えはHB以上の鉛筆で濃くはっきりと
その2:行間は読む必要ありません
その3:偽モノが混じっている場合があります
その4:トイレに行きたい人は目で合図してください
その5:特にありません
EKESETENE
えけせてね はどこにでも存在しています
例えば私が持っているこの白い花
名も無い雑草のようですが
名前は「えけせてね」
花言葉は「へめえれえ」
もちろん植物学者は知りません
だって私の内にだけ
咲いているんだもの
恋した相手は いきしちに
二人の間に流れてる
渡るに渡れぬ うくすつぬ
おこそとの と添い寝して
見上げた空に あかさたな
EKESETENE
えけせてね
えけせてね
えけせてね
え段の復唱テスト
暗記は完璧
ケーキ屋の前を通り過ぎ
えくれあ
えくれあ
えくれあ
あれ、ひとつ足りないな
EKESETENE
青年は砂浜に立って
一人で海を見ている
手に恋人から送られてきた
一通の手紙を握り締めたまま
青年は叫んだ
「えけせてねー!」
そうだ青年よ
失った恋なんか
叫びとともに海に捨ててしまえ
EKESETENE
それでは問題です
今までに「えけせてね」は
何回出てきたでしょうか
注意事項
その1:答えはHB以上の鉛筆で濃くはっきりと
その2:行間は読む必要ありません
その3:偽モノが混じっている場合があります
その4:トイレに行きたい人は目で合図してください
その5:特にありません
EKESETENE
えけせてね はどこにでも存在しています
例えば私が持っているこの白い花
名も無い雑草のようですが
名前は「えけせてね」
花言葉は「へめえれえ」
もちろん植物学者は知りません
だって私の内にだけ
咲いているんだもの


今や我が国の高齢化率は
少子化や社会構造の変化に伴う
核家族化の進行及び
医療技術の向上などにより
過去最高となっている
その結果、医療費等をはじめ
高齢者対策経費の増大は
深刻な財政負担となっており
そのような状況の中
政府としては昨年度より
老人ホーム倍増計画や
介護保健制度の自己負担率を
7割に引き上げるなど
各種の対策を講じてきたところであるが
身寄りも無く施設にも入れない
いわゆる「独居老人」の増加が
懸念されているところであり
ここに「独居老人対策基本方針」を
策定するものである
1.老人間の自由恋愛の促進
(以下略)
[政府閣議決定文より]
政府がとった政策とは簡単に言ってしまえば
一人暮らしをしている老人同士をお見合いせさ
結婚させることにより
独居老人の世帯を減らすことであった
老人専用の御見合紹介所を公で創ったのは
その最たるもので
御見合紹介所で見事結ばれた夫婦には
手当てを支給し
新しく開発されたホルモン剤で
(従来のものは副作用がひどく老人には使用できなかった)
子供をつくる身体的機能を復活させ
少子化にも歯止めをかけようとした
一方で
テレビドラマや映画や本などで
老人の恋愛を美しく謳い上げるように
業界に圧力をかけることを忘れなかった
「独居老人対策事業」は
一定の成果が得られたように見えた
街には楽しそうに手をつなぐ
老夫婦の姿が増え
夜になれば
あちらこちらからの家々から
愛の囁きが聞こえるようになった
しかし暫らくすると
この事業には重大な欠陥があることが判明した
女性の平均寿命が高くなるのに反比例し
男性の平均寿命が著しく低下していったのだ
どうやら政府は
男性は女性といっしょに暮らすと
極度のストレスを受けるという根本的なところを
忘れていたようだ
そして今
男性がいなくとも女性一人で妊娠出来る
薬の開発に本気で取り組んでいる
愛する恋人を病気で失ってしまった
女のドラマをみながら
君は言う
あなたが死んだら私は生きていけない、と
女ってやつは
いつの時代でも
男が先に死ぬことを
前提として生きているのだな
少子化や社会構造の変化に伴う
核家族化の進行及び
医療技術の向上などにより
過去最高となっている
その結果、医療費等をはじめ
高齢者対策経費の増大は
深刻な財政負担となっており
そのような状況の中
政府としては昨年度より
老人ホーム倍増計画や
介護保健制度の自己負担率を
7割に引き上げるなど
各種の対策を講じてきたところであるが
身寄りも無く施設にも入れない
いわゆる「独居老人」の増加が
懸念されているところであり
ここに「独居老人対策基本方針」を
策定するものである
1.老人間の自由恋愛の促進
(以下略)
[政府閣議決定文より]
政府がとった政策とは簡単に言ってしまえば
一人暮らしをしている老人同士をお見合いせさ
結婚させることにより
独居老人の世帯を減らすことであった
老人専用の御見合紹介所を公で創ったのは
その最たるもので
御見合紹介所で見事結ばれた夫婦には
手当てを支給し
新しく開発されたホルモン剤で
(従来のものは副作用がひどく老人には使用できなかった)
子供をつくる身体的機能を復活させ
少子化にも歯止めをかけようとした
一方で
テレビドラマや映画や本などで
老人の恋愛を美しく謳い上げるように
業界に圧力をかけることを忘れなかった
「独居老人対策事業」は
一定の成果が得られたように見えた
街には楽しそうに手をつなぐ
老夫婦の姿が増え
夜になれば
あちらこちらからの家々から
愛の囁きが聞こえるようになった
しかし暫らくすると
この事業には重大な欠陥があることが判明した
女性の平均寿命が高くなるのに反比例し
男性の平均寿命が著しく低下していったのだ
どうやら政府は
男性は女性といっしょに暮らすと
極度のストレスを受けるという根本的なところを
忘れていたようだ
そして今
男性がいなくとも女性一人で妊娠出来る
薬の開発に本気で取り組んでいる
愛する恋人を病気で失ってしまった
女のドラマをみながら
君は言う
あなたが死んだら私は生きていけない、と
女ってやつは
いつの時代でも
男が先に死ぬことを
前提として生きているのだな


八分咲きの桜の下
和服姿の女は背を向けて立ち
振り向きかけた横顔に
光る涙がひとすじ
思わず息をのんでしまった僕は
その光景を丸めると
ポケットに入れて持ち帰り
4畳半の自室に飾った
花が満開となり
やがて散り
木漏れ日のなか
落葉を見ながら
冷たい雨に打たれても
女は樹の下で涙していた
酔っ払って帰ってきた夜も二日酔いで頭が痛い朝も味噌汁を飲んでいるときも新聞を読んでいる途中にふと見上げたときも遥か北方の空にあるオーロラを想っているときも自分の要領の悪さが嫌になったときもニュースを見ながらキャスターのすらりと伸びた脚にうっとりとしているときもどうせ真面目に読んでいる人もいないから僕の夢は世界制服だなんて言ったて誰も気づかないだろうしそうそう故郷から木箱に入ったみかんが送られてきたときも好きな人が出来たときも好きな人とお別れしたときもいつでも
女の横顔には涙が光っていた
夜は背後からやってくる 肩を叩かれ振り返れば いつも夕闇
そしてまた
桜が咲き
ある朝目を覚ますと
女はいなくなっていた
おそらく一年が経ち
涙もやっと
乾くことが出来たのだろう
ときおり髭を剃りながら
もしかしたらあの人は
父方の祖母だったのかもしれない
などと
和服姿の女は背を向けて立ち
振り向きかけた横顔に
光る涙がひとすじ
思わず息をのんでしまった僕は
その光景を丸めると
ポケットに入れて持ち帰り
4畳半の自室に飾った
花が満開となり
やがて散り
木漏れ日のなか
落葉を見ながら
冷たい雨に打たれても
女は樹の下で涙していた
酔っ払って帰ってきた夜も二日酔いで頭が痛い朝も味噌汁を飲んでいるときも新聞を読んでいる途中にふと見上げたときも遥か北方の空にあるオーロラを想っているときも自分の要領の悪さが嫌になったときもニュースを見ながらキャスターのすらりと伸びた脚にうっとりとしているときもどうせ真面目に読んでいる人もいないから僕の夢は世界制服だなんて言ったて誰も気づかないだろうしそうそう故郷から木箱に入ったみかんが送られてきたときも好きな人が出来たときも好きな人とお別れしたときもいつでも
女の横顔には涙が光っていた
夜は背後からやってくる 肩を叩かれ振り返れば いつも夕闇
そしてまた
桜が咲き
ある朝目を覚ますと
女はいなくなっていた
おそらく一年が経ち
涙もやっと
乾くことが出来たのだろう
ときおり髭を剃りながら
もしかしたらあの人は
父方の祖母だったのかもしれない
などと


ある日突然
夜空に輝く星がすべて
音符になってしまった
街中の人々は目を凝らし
よく見たが
空にあったのは
2分だの、4分だの、8分だの
そんな音符たちばかり
テレビでの専門家へのインタヴュー
天文観測者:オタマジャクシを見るために望遠鏡を覗くのではない
音楽家:あれでは不協和音だ
占星術師:今度から音符占いね
冒険家:北はどっちだ
宇宙飛行士:もう旗が立ってるじゃないか
総理大臣:早急に対策会議を設置します
ここでCM
ぱぱぱぱぱぱぱぱ ぱにっく☆は~と♪
いつでもどこでも ぱにっく☆は~と♪
あなたのそばに ぱにっく☆は~と♪
いつも元気に ぱにっ
CMのない国営放送でお楽しみください
街中が混乱し
専門家たちが当惑するなか
画面では一人の少女がアップになる
少女:お楽しみはこれからよ
テレビを見ていた人々から拍手が沸き起こる
今振り返って見ればそんな恋だった
むかし恋愛学者だったコック見習は
厨房で鍋を洗いながら
そう呟いた
夜空に輝く星がすべて
音符になってしまった
街中の人々は目を凝らし
よく見たが
空にあったのは
2分だの、4分だの、8分だの
そんな音符たちばかり
テレビでの専門家へのインタヴュー
天文観測者:オタマジャクシを見るために望遠鏡を覗くのではない
音楽家:あれでは不協和音だ
占星術師:今度から音符占いね
冒険家:北はどっちだ
宇宙飛行士:もう旗が立ってるじゃないか
総理大臣:早急に対策会議を設置します
ここでCM
ぱぱぱぱぱぱぱぱ ぱにっく☆は~と♪
いつでもどこでも ぱにっく☆は~と♪
あなたのそばに ぱにっく☆は~と♪
いつも元気に ぱにっ
CMのない国営放送でお楽しみください
街中が混乱し
専門家たちが当惑するなか
画面では一人の少女がアップになる
少女:お楽しみはこれからよ
テレビを見ていた人々から拍手が沸き起こる
今振り返って見ればそんな恋だった
むかし恋愛学者だったコック見習は
厨房で鍋を洗いながら
そう呟いた


床屋の大柄な女主人は
リズミカルなハサミ捌きで
髪を刈りそろえていく
店の奥の居宅からは
泣いている赤ん坊をあやす
姑の声が聞こえる
日曜日の昼下がり
店内には穏やかな冬の光が
差し込み
陽だまりの中
女主人はシャボンを泡立てる
私はふと想う
こうしている間にも
宇宙は膨張し続けているのだろうか、と
そして膨張しているその際と
その先にあるものについて
剃刀を顔にあてるとき
私はいつもまどろむ
赤ん坊は
泣き止んだか
泣き止んでいないか
リズミカルなハサミ捌きで
髪を刈りそろえていく
店の奥の居宅からは
泣いている赤ん坊をあやす
姑の声が聞こえる
日曜日の昼下がり
店内には穏やかな冬の光が
差し込み
陽だまりの中
女主人はシャボンを泡立てる
私はふと想う
こうしている間にも
宇宙は膨張し続けているのだろうか、と
そして膨張しているその際と
その先にあるものについて
剃刀を顔にあてるとき
私はいつもまどろむ
赤ん坊は
泣き止んだか
泣き止んでいないか