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こっそりと詩を書く男の人
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たもつ
年齢:
57
性別:
男性
誕生日:
1967/06/05
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こっそりと詩を書く男の人
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2010/09/24 (Fri)


今日、先生は優しかった
黒板に大きな
黒板の絵を描いてくれた
それから、ぼくらの名前を
ひとりひとり読み上げて
絵の黒板に
名前の絵を描いていった
校庭の先にある建物の方から
銃撃戦の音が聞こえる
死んだヒトの数で
ヒトはその事実の大きさを伝えようとする
その方がいろいろな面で
きっと楽なのだろう
それから先生はみんなに手づくりのお菓子を
配る絵を描いてくれた
どちらが見送る側で
どちらが見送られる側か
わからないけれど
もうお別れなんだな、と思った
お礼にぼくらは大きな声で歌う
そんな絵を描いた
ぼくらは
生きるために産まれてきたのではなく
産まれるために生きてきた
そう信じても
許される気がした
 
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2010/09/23 (Thu)
  
 
くつくつと転がる
三層に重なった
植物地帯の上
久しぶりに再会すると
眠たくなる
だから入ることはできない
週末によく見る節足動物の背中
残暑の日光に照らされて
あれはもう駄目だろう
その先に点在する
雑居ビルの中には
ヒトなどもおり
いろいろと出来たり
出来なかったりしている
育てようとして
珍しく掌を傷つけてしまう
嘘のない事実なんて
いらなかったのに
  
 
2010/09/22 (Wed)

つきがこうばん たべました
けいかん ギャングをついせきちゅう
あとの あきちはタンポポの
しゅうかいじょうに なりました

+

かたちのない としょかんで
かたちのない ほんを
かたちのない ひとがよんでいる
かたちのない そらがそれをみて
かたちのない ケーキをやいている

+

どうぶつでもない 
しょくぶつでもない
それはなあに?
それはわたし
といってピアノがうたをうたいます
すこし おんちにうたいます 

+

おおさま いぬをのみこんだ
おおきないぬを のみこんだ
おおさまくちから てをいれて
うらとおもてを ひっくりかえし
おおきないぬに なっちゃった

+

しあわせと ふしあわせが
こうえんであそんでる
ブランコこいであそんでる
ジャングルジムにのぼってる
それでもシーソーはやらなかったよ
それがふたりの やくそくだったよ
 
 
2010/09/19 (Sun)
 
 
眠れない道路のために
枕を置いていく
だから手紙を書きたいのに
便箋が見つからない
右手の方に流れている川は
蛇行を繰り返し
やがて左手の方に流れる
そのためには橋を渡る必要があるけれど
さっきから一人の人が
姉のように立っているだけで
あまり暑さも感じない
今まで姉をもったことなどないので
よく見ればそれは蓮根かもしれない
そう思うと姉の作った蓮根の料理が
無性に食べたくなって
川をまたいで渡った
アミノ酸と同じうような構造式をもった物体が
川を流れていく
あれは誰の自転車なのだろう
可愛そうに流れていく
川が行き止まりになった所で右折する
地方財務事務所の前で
ひとつ買ってくれませんか
と男性に声をかけられる
どうしようか少し迷ったけれど
重そうなので、要りませんと
丁重にお断りした
ついでに、知りません、と打ち明けた
心が軽くなって
感謝の気持ちでいっぱいになる
いくつもの影や他のものを踏みながら
やっと床屋にたどり着く
髪型はお任せにして
持ってきた積木で
たくさんの家をつくり
たくさんの建物を壊し
その間に多くのことを学んだ
やっぱり積木はいい
いいよ、積木

 
2010/09/18 (Sat)
 
 
無精卵の内側から
殻を破ろうとする
判読不能な文字たち
その音だけが
暗く冷たい鶏舎に響く

昨日とは上空の風向きが違うのか
朝から火山灰が
あたり一面に降り積もっている
ヒトは文字を殺す
文字はヒトを殺す
簡単に言えば歴史であり
おそらく未来である

もう主人も雌鶏も帰っては来ない
それでも文字たちは
生まれようとする
何も伝えないために


2010/09/16 (Thu)
 
 
水底にオルガンが沈む
鍵盤で遊ぶコオロギは
青い魚に捕食されてしまった
戻ってきました
ポソポソと語り始める
あなたの口元から
いくつもの砂がこぼれ落ちる
あなたの内に広がる砂漠から
風が運んできたのだ
そしてそれはどの様式にも
記載する欄がない事項である
あなたが本物の砂になれるよう
せめて願う
わたしが海に溺れている間に
  
 
2010/09/15 (Wed)
 
 
水に汚れた草花
ヒトは抗弁を繰り返す
木漏れ日の中
黙とうの中
唇と弾とが交わる
契約は成立したのだった
外側からしか見えない
古い木枠の窓辺に
あなたが車椅子に座ったまま
存在している
自らの不在を
問い続けるために
  
 
2010/09/14 (Tue)
 
 
枕元のバス停に
バスがとまる
幽霊たちが降車してくる
薄目で見ると
いつもと同じ顔ぶれ
時々人数が違うのは
シフトなどの関係だろうか
幽霊たちは寝ているわたしに気を遣って
そっと歩いているようだけれど
衣擦れや鼓動まではどうしようもならない
死んでまでも気を遣わなければならない
そう考えるとヒトは哀れで美しい
すり抜ければ良いのに
幽霊たちは律儀に玄関を開けて出て行く
いつの間に作ったのか
合鍵で鍵をしめる音が
どこか遠くから
しんみりと聞こえる
  
 
2010/09/13 (Mon)
 
 
弱冷房車の車両では
温度調整係がつまみを回して
こまめに温度管理をしている
ヒトたちはつり革につかまったり
しがみついたりしている
ふいに調整係の動きが止まる
背中が割れる
急激に温度が低下していく
割れ目からたくさんのつり革が出てくる
車内がつり革だらけになる
つり革たちがヒトたちを
窓から放り投げていく
それでもつり革は次々と出てくる
共食いを始める
最後に残ったひとつが
ヒトになる
生きるってやはり素晴らしい
  
 
2010/09/12 (Sun)
 
 
水に音がする
今日、記念日
心臓がヒトからヒトへと
伝染していく
いくつもの屍をまたいできた命が
測量会社の裏口を叩く
内から命の返事がある
シャボン玉は飛ぶ
空へと延びる垂線の間を縫って
深い水に到着し
ゆっくりと沈んでいく
  
  
 
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* ILLUSTRATION BY nyao *