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こっそりと詩を書く男の人
  プロフィール
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たもつ
年齢:
57
性別:
男性
誕生日:
1967/06/05
自己紹介:
こっそりと詩を書く男の人
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2025/04/22 (Tue)
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2008/08/14 (Thu)
 
靴が発光している
朝の
淋しいところで
 
漁協の職員が
咲いた
 
僕はお花畑の
人みたいに歩く
  
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2008/08/13 (Wed)

鳴き方を忘れた
紙の羊の代わりに
今日は僕が
鳴いているらしい

窓の外には
長方形のホテル

清掃局の車が
積乱雲を
斜めに横切っていく
 
2008/08/13 (Wed)

採取した指紋が
すべて蝶になって
飛んでいった
 
鑑識係の実家では
今日も一日中
雨が降ってた
 
妊婦がひとり
味見をしている
長い休みの
か細い台所で
2008/08/09 (Sat)
 
夏交番の
日陰
女は
ゼリーに飛び込む

僕はその人を
お母さん、と呼び
誕生日のような日に
日傘を贈った
 
 
2008/08/08 (Fri)

まだ幼い車掌の
ポケットの中で
紙の羊は
長く生きられない

かつては命の一部として
穏やかな日の光を
浴びていた気もするけれど

めー、と
ひとつ小さく鳴いて
もう誰に
会うこともない
2008/08/08 (Fri)
 
潜水艦の側で
男の子が風に吹かれてる
まるで交差点のように

滑舌が悪いから
今日は何処にも行けない

僕はシオカラトンボを
指で触るのが楽しい


2008/08/05 (Tue)
 
 
水を降りていく
やましいことなど
何ひとつない

深夜、もういない父の
容態が急変した気がして
親戚を探しに出かける

栞のように
水槽が鳴ってる
 
 
2008/08/03 (Sun)
 
 
夏風邪をひいた駅員が
プールの縁に立って
はしごを眺めている

咳きこむと
口の中で
戸籍は勝手に
書き直されてしまう

向こう側とあちら側が
波のように打ち寄せる
こちら側がゆっくりと
窒息していく

近くの平らなところでは
羽が邪魔して
今日も鳥は空を飛べない
 
 
2008/07/29 (Tue)
 
 
冷蔵庫の中を
クジラが泳ぐ
今日は朝から
ジュースが飲めない
つけあわせの菜っ葉は
鮮やかに茹で上がり
わたしは指と指の間を
紙のようなもので
切ってしまった
 
 
+
 
 
その先に直売所はあった
日当たりの良いところで
年をとった女の人が
あやとりをしていた
子どものころ隕石を拾ったのよ
と時々話す人だった
 
  
+
 
 
靴はほどけていった
靴紐だけを残して
夜の玄関に波はうち寄せ
明日になれば
貝殻などのいらないものも
幼い手に拾えるだろう
 
 
+
 
 
繰り返される
つぶやきや
つぶやきのようなもの
珍しいセミの鳴き真似だ
と、あなたが言うので
逃げていかないように
そっと窓を閉めた
 
 
+
 
 
子供みたいに
あなたと虹をかじっている
臨時列車の
奥に座って
お線香の匂いで思い出す街の途中
誰かの両親みたいに
二人は眠ったのだった
 
 
+
  
  
傘を買った
いっしょに傘たても買った
犬は買わなかったけれど
買ったテレビで犬を見ていた
という気がするので
傘と傘たてを買いに
夕暮れの外へ
ハンカチのように出かけた
 
 
+
 
 
色鉛筆で履歴書を描く
色の足りないところは
他の色で埋めた
長い戦争が終わり
母は鯉や赤犬を食べて
生きのびた
わたしはその体のどこかで
まだ卵にもほど遠い
何かの形をしていたと思う
  
 
2008/07/22 (Tue)
 
 
羊とシーソー遊びをすると
いつも重い方が沈みました
両方が沈まないでいるのは
とても難しいことでした
わたしはまだ
言葉をよく知らなかったのです
 
 
+
 
 
眠れないときは羊を数えなさい
そう教えてくれた母は
羊飼いに恋をして
家を出て行きました
あとにはわたしと
海賊をしていた父が残されました
 
 
+
 
 
父は略奪も人身売買も忘れて
眠れないときは二人で
羊を数えました
それはどちらかが眠くなるまで続き
終わることはありませんでした
 
 
+
 
 
ある日父は
暗くて寒い海に身投げしましたが
わたしは人気のないベランダで
取り込まれることのない洗濯物をみながら
羊を数えていました
数はとっくに羊からも
溢れていました
 
 
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* ILLUSTRATION BY nyao *