プロフィール
HN:
たもつ
年齢:
58
性別:
男性
誕生日:
1967/06/05
自己紹介:
こっそりと詩を書く男の人
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2008/08/08 (Fri)
ペーパー・シープ
まだ幼い車掌の
ポケットの中で
紙の羊は
長く生きられない
かつては命の一部として
穏やかな日の光を
浴びていた気もするけれど
めー、と
ひとつ小さく鳴いて
もう誰に
会うこともない
2008/08/03 (Sun)
詩
夏風邪をひいた駅員が
プールの縁に立って
はしごを眺めている
咳きこむと
口の中で
戸籍は勝手に
書き直されてしまう
向こう側とあちら側が
波のように打ち寄せる
こちら側がゆっくりと
窒息していく
近くの平らなところでは
羽が邪魔して
今日も鳥は空を飛べない
2008/07/29 (Tue)
詩
冷蔵庫の中を
クジラが泳ぐ
今日は朝から
ジュースが飲めない
つけあわせの菜っ葉は
鮮やかに茹で上がり
わたしは指と指の間を
紙のようなもので
切ってしまった
+
その先に直売所はあった
日当たりの良いところで
年をとった女の人が
あやとりをしていた
子どものころ隕石を拾ったのよ
と時々話す人だった
+
靴はほどけていった
靴紐だけを残して
夜の玄関に波はうち寄せ
明日になれば
貝殻などのいらないものも
幼い手に拾えるだろう
+
繰り返される
つぶやきや
つぶやきのようなもの
珍しいセミの鳴き真似だ
と、あなたが言うので
逃げていかないように
そっと窓を閉めた
+
子供みたいに
あなたと虹をかじっている
臨時列車の
奥に座って
お線香の匂いで思い出す街の途中
誰かの両親みたいに
二人は眠ったのだった
+
傘を買った
いっしょに傘たても買った
犬は買わなかったけれど
買ったテレビで犬を見ていた
という気がするので
傘と傘たてを買いに
夕暮れの外へ
ハンカチのように出かけた
+
色鉛筆で履歴書を描く
色の足りないところは
他の色で埋めた
長い戦争が終わり
母は鯉や赤犬を食べて
生きのびた
わたしはその体のどこかで
まだ卵にもほど遠い
何かの形をしていたと思う
2008/07/22 (Tue)
詩
羊とシーソー遊びをすると
いつも重い方が沈みました
両方が沈まないでいるのは
とても難しいことでした
わたしはまだ
言葉をよく知らなかったのです
+
眠れないときは羊を数えなさい
そう教えてくれた母は
羊飼いに恋をして
家を出て行きました
あとにはわたしと
海賊をしていた父が残されました
+
父は略奪も人身売買も忘れて
眠れないときは二人で
羊を数えました
それはどちらかが眠くなるまで続き
終わることはありませんでした
+
ある日父は
暗くて寒い海に身投げしましたが
わたしは人気のないベランダで
取り込まれることのない洗濯物をみながら
羊を数えていました
数はとっくに羊からも
溢れていました
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