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こっそりと詩を書く男の人
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たもつ
年齢:
57
性別:
男性
誕生日:
1967/06/05
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こっそりと詩を書く男の人
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2007/12/28 (Fri)
長いものに
巻かれている
巻かれたまま
雨にうたれている
門柱に汚れた表札
無い
と思う

年末の大掃除の
音と匂いが
街を満たす
そんなに好きなら
大掃除だけしていればよいのに
人はいつも
他のこともしてしまう

やがてまた
肉に春がくる
母と同じ名前の駅から
出発していくものを
見えなくなるまで
見送ってあげたい

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2007/12/24 (Mon)

男の人が白い塀に寄りかかってる
ぼんやりした格好で
衣服には模様のようなものがついている
何をしているのか聞くと
誰かの夢の中なので勝手に動くことができないんです
と言う
かわいそうな気がしたので
持っていたお団子をひとつあげた
美味しい餡子ですね
男の人に教えてもらって
それが餡団子だと初めて知った
気がつけば日が落ちて夜になってる
あの暗い空はまぶたの裏側なのかもしれない
星がたくさん曖昧に散らばっていて
すべての星座を指差すことができた
あとどれくらいで誰かの夢は覚めるんだろう
夢の単位は時間ではなく距離なんですよ
そう言う男の人の皮膚が少し湿って見える
聞いたことのない話だったけど
自分もまったく同じ気持ちだと告げる
 
2007/12/24 (Mon)
歯ブラシを持って
弟がどこまでも走っていく
小さいころから助走をつけないと
歯磨きのできない子だった
誰よりも美しい
世界で一番の助走だと思った
最近人の目を見て話ができるようになった
弟はわたしの目を見ることなく
失敗したときのような笑顔で言った
2007/12/20 (Thu)

胡瓜を5本並べて
ゴレンジャー
ときみは呟く

でもみんな
ミドレンジャーだから
ぼくは音をたてないように
すべてVの字に折った
2007/12/18 (Tue)
時計は空を飛んだ
時間のことなどすっかり忘れて

町工場の青い屋根と
遊園地の小さな乗り物と
チャペルへと向かう花嫁が見えた
風景はずっと続いているようだった

やがて良い感じのする原っぱに
時計は滑らかな着陸をした
落ち葉を踏んで
乾いた音がした

それから時計として
静かに朽ち果てていく準備を始めた
2007/12/17 (Mon)
瞬きをすると虹が溢れてしまう目があるので
笑うと発音しないPを吐いてしまう口があるので
まだ誰にも褒められたことのない君が
冷蔵庫に自分の耳を並べている

僕は機関車と同じ匂いのお花畑で
同じくらいにくたびれた自分の名前を
ひとつひとつ埋めるのに忙しい

二人の真ん中ぐらいにある画用紙の中
クレヨンで描かれたくじらがゆっくりと呼吸を失う
夕焼けの色を母親と間違えた子犬が
斜めになったまま吠え続けている
昨日の食卓は想像の域を脱しない
いじりすぎた性器はどこまでも空っぽのまま

壊れたスリッパを二人でもう一度組み立てていく
僕らは恥ずかしそうに
それを新しい思い出と呼ぶだろう
2007/12/16 (Sun)
指専用のバス停に
思い思いの格好で指が並んでいる
やがて指専用のバスがくると
指たちは順番に乗り込んでいく
おそらく指にしか
行けないところがあるのだ
慰めが必要だったのは
本当は誰だったのか
今頃あなたの不器用そうな指が
曇った窓ガラスを
指で拭っているだろう
2007/12/16 (Sun)
乾電池が足りない
と昨夜寝言を言ったあなたは
夢の中で久しぶりに
何を作っていたのだろう

今日は朝から雪が降ってる
あなたの故郷のように
たくさんではないけれど

もう誰も
あなたを必要としていない
ただあなたを見守る人たちがいて
本当は見守られているのだ、と
知っている人たちがいるだけ

手を休めて
雪のふくらんでいるところを眺めている
そんな何気ないしぐさまでも
最近は似てきたと自分でも思う
2007/12/09 (Sun)

薄い網戸の向こう
何かの割れる音がする
今日は朝から寂しいものが降っているから
話しかけるみたいに一日を生きたい

消えていくシャーペン工場で作られた最後の一本が
同じ価格で店頭に並ぶように
壊れた時計だけが正確な時を刻んでしまうように
正しいものはいつもでも正しさを失わない

逝く人を思い
逝った人を思い
自分の手も言葉も汚すことなく
ぼくはたくさんの人を殺し
たくさんの人に殺される、これからもずっと
それでもまだ
人より優しいものを知らない

2007/12/08 (Sat)

どこまでも伸びていく高層ビル
の死体が落ちていた
凶器の不完全な空が
垂直に突き刺さっていた

その空は途切れ途切れに
けれど果てしなく広がっている
という噂話を
人々はこよなく愛した

犯人の男の部屋から
空の残りと
一羽のオウムが押収された
オウムは最後まで
人の言葉を覚えることはなかった
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* ILLUSTRATION BY nyao *