プロフィール
HN:
たもつ
年齢:
57
性別:
男性
誕生日:
1967/06/05
自己紹介:
こっそりと詩を書く男の人
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手の震えがひどい日は良く眠れない
プラスチック製の消臭スプレーを握ると
少し安定して
それでも眠れない時は
若者向けの深夜放送を疲れるまで見て
やっと僅かばかりの睡眠を得る
昼間会いに行って寝ているときは
大概そんな日だ
それでも微かに手は震えていて
衣擦れの音や
消臭スプレーがベッドの縁に当たる音が聞こえる
あなたがつくるそんな音のいくつかを
今はもうしばらく聞いていようと思う
プラスチック製の消臭スプレーを握ると
少し安定して
それでも眠れない時は
若者向けの深夜放送を疲れるまで見て
やっと僅かばかりの睡眠を得る
昼間会いに行って寝ているときは
大概そんな日だ
それでも微かに手は震えていて
衣擦れの音や
消臭スプレーがベッドの縁に当たる音が聞こえる
あなたがつくるそんな音のいくつかを
今はもうしばらく聞いていようと思う
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寒い、と言うと
あなたはわたしの肩に
そっと
うなぎをかけてくれた
ぬるぬるして
うなぎも鳴くのだと
初めて知った
うなぎのさばき方を
教わったのも初めて
大人の恋は
初めてばかりだった
その夜わたしは
あなたと同じお布団に入って
うなぎのように泣いた
あなたはわたしの肩に
そっと
うなぎをかけてくれた
ぬるぬるして
うなぎも鳴くのだと
初めて知った
うなぎのさばき方を
教わったのも初めて
大人の恋は
初めてばかりだった
その夜わたしは
あなたと同じお布団に入って
うなぎのように泣いた


船着場に誰かが忘れていった
ピアノを弾いてみる
白い鍵盤しか習ったことがないので
黒い鍵盤に触れないように
注意深く弾く
低い生垣の向こうから
病院の人がこちらを見ている
目が合い会釈をしたけれど
何も返すことなく行ってしまう
病院の人は知らない人だった
到着した船から
免許センターで膝を擦り剥いた人々が降りて
辺りは一面賑やかしくなる
少し歩けば
「春を見つける会」の会員が
緑地帯で食味の良い野草を摘んでいる
ピアノを弾いてみる
白い鍵盤しか習ったことがないので
黒い鍵盤に触れないように
注意深く弾く
低い生垣の向こうから
病院の人がこちらを見ている
目が合い会釈をしたけれど
何も返すことなく行ってしまう
病院の人は知らない人だった
到着した船から
免許センターで膝を擦り剥いた人々が降りて
辺りは一面賑やかしくなる
少し歩けば
「春を見つける会」の会員が
緑地帯で食味の良い野草を摘んでいる


大好きな果物の
味でもしたのだろうか
モノレールの銀色の車体に
君の歯型がついてる
先ほどまでは
玄関の無い所
スリッパと同じ格好をして
スリッパを並べていた
今は肩を丸出しにしながら
ひとつずつ裸になっていく
肺は二つ
誰に汚されることなくあるのに
君にはまだ
皮膚呼吸が足りてなかった
シーソーの片一方に僕が乗って
片方にはもう何も残ってない
ただ景色のようなものだけが
遠くまで広がっている
頭を少し垂れたのは
謝りたかったからではない
のしかかってくる空の重みに
耐え切れなかったのだ
味でもしたのだろうか
モノレールの銀色の車体に
君の歯型がついてる
先ほどまでは
玄関の無い所
スリッパと同じ格好をして
スリッパを並べていた
今は肩を丸出しにしながら
ひとつずつ裸になっていく
肺は二つ
誰に汚されることなくあるのに
君にはまだ
皮膚呼吸が足りてなかった
シーソーの片一方に僕が乗って
片方にはもう何も残ってない
ただ景色のようなものだけが
遠くまで広がっている
頭を少し垂れたのは
謝りたかったからではない
のしかかってくる空の重みに
耐え切れなかったのだ


道端に表札が突っ立っていた
YAMASITA、とだけあった
YAMASITAさんとはぐれて
困っているようだった
家までの道順を教えてあげたが
わかりにくいところもあったので
いっしょに行くことにした
チャイムを押すと
YAMASITAさんの奥さんが出てきた
この間、新しいのをつけちゃったのよ
そう言って冷えてないトマトを三個押しつけ
ドアを閉めた
山下、と書かれた真新しい表札があった
放っておくわけにもいかず
家に連れて帰った
どうしたものか思案していると
表札はどこからか燃えないゴミ用の袋を持ってきて
自分でその中に入った
本音を言えば捨てられる運命にあることを
どうやって諭すか考えていたのだった
自らの手を汚すことなく
すべてはお望みのとおり
言い訳をする必要もない
生きていることもまた
命の言い訳に過ぎないのだ
袋の中で表札は大人しく佇んでる
その辺りだけ
人のように懐かしい感じがしている
YAMASITA、とだけあった
YAMASITAさんとはぐれて
困っているようだった
家までの道順を教えてあげたが
わかりにくいところもあったので
いっしょに行くことにした
チャイムを押すと
YAMASITAさんの奥さんが出てきた
この間、新しいのをつけちゃったのよ
そう言って冷えてないトマトを三個押しつけ
ドアを閉めた
山下、と書かれた真新しい表札があった
放っておくわけにもいかず
家に連れて帰った
どうしたものか思案していると
表札はどこからか燃えないゴミ用の袋を持ってきて
自分でその中に入った
本音を言えば捨てられる運命にあることを
どうやって諭すか考えていたのだった
自らの手を汚すことなく
すべてはお望みのとおり
言い訳をする必要もない
生きていることもまた
命の言い訳に過ぎないのだ
袋の中で表札は大人しく佇んでる
その辺りだけ
人のように懐かしい感じがしている


朝、自転車に侵入された
ちょうど起きようとしているところだった
カロロと卑猥なペダルの音を耳元でさせ
とても恥ずかしかったが
俺は初春のように勃ち
自転車は器用に車輪をたたみ侵入してきたのだ
なんだかとても恥ずかしかったが
侵入されるのは侵入するのとは違った気持ち良さと
そしてやはり恥ずかしかったが
俺に何度も侵入された彼女の
このバカ、と言った理由もわかった気がした
昇天する瞬間、降車ボタンを押すと
ベッドは徐々にスピードを落とし
レストランの前に停まった
壁に有名人のサインや手形が
たくさんかけられたレストランだった
あの時と同じものを、と注文し
あの時と同じものなど何もないのに
俺の体から侵入された痕跡が一筋流れ出す
それは愛にも似ていたが
もうそんなものしか愛せなくなっていた
自転車はすっかり清々しい様子で
カロロ、坂道をくだっていく
ちょうど起きようとしているところだった
カロロと卑猥なペダルの音を耳元でさせ
とても恥ずかしかったが
俺は初春のように勃ち
自転車は器用に車輪をたたみ侵入してきたのだ
なんだかとても恥ずかしかったが
侵入されるのは侵入するのとは違った気持ち良さと
そしてやはり恥ずかしかったが
俺に何度も侵入された彼女の
このバカ、と言った理由もわかった気がした
昇天する瞬間、降車ボタンを押すと
ベッドは徐々にスピードを落とし
レストランの前に停まった
壁に有名人のサインや手形が
たくさんかけられたレストランだった
あの時と同じものを、と注文し
あの時と同じものなど何もないのに
俺の体から侵入された痕跡が一筋流れ出す
それは愛にも似ていたが
もうそんなものしか愛せなくなっていた
自転車はすっかり清々しい様子で
カロロ、坂道をくだっていく


男は体育館の裏に
女の歳の数だけ
星を埋めた
女は男のために残しておいた
夏の一番柔らかいところを
まだ寄木細工の箱にしまってある
詐欺師の家では
換気扇がゆっくりと壊れて
まだ誰も出てこない
女の歳の数だけ
星を埋めた
女は男のために残しておいた
夏の一番柔らかいところを
まだ寄木細工の箱にしまってある
詐欺師の家では
換気扇がゆっくりと壊れて
まだ誰も出てこない


正午から午後二時頃にかけて
北部を中心に雹が降った
農作物が被害を受けた
傷口から病害感染の恐れがあるので
薬剤が散布された
長い坂道の途中
幼い男の子が線を引いていた
線を引くと
線のあちら側とこちら側ができた
どこまでも引けそうにも見受けられたが
やがて引けなくなった
海の向こう
大きな国と小さな国が戦っていた
たくさんの人が血を流した
でもそれは誰かのついた
優しい嘘だった
夏の近く
小包が届いた
すべてそのまま
置き去りにして
北部を中心に雹が降った
農作物が被害を受けた
傷口から病害感染の恐れがあるので
薬剤が散布された
長い坂道の途中
幼い男の子が線を引いていた
線を引くと
線のあちら側とこちら側ができた
どこまでも引けそうにも見受けられたが
やがて引けなくなった
海の向こう
大きな国と小さな国が戦っていた
たくさんの人が血を流した
でもそれは誰かのついた
優しい嘘だった
夏の近く
小包が届いた
すべてそのまま
置き去りにして