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こっそりと詩を書く男の人
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たもつ
年齢:
57
性別:
男性
誕生日:
1967/06/05
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こっそりと詩を書く男の人
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2007/05/17 (Thu)
長い列車に乗る
弟が先に座って待ってる
向かい合わせになり
二人でハムを食べる
好きだったケチャップ味が
どこまでも続く
入浴もあったが
傷が目立つので
やはり列車でよかった
せめてものあらましが
行程表になって久しい
本当はどこにも行かず
少し死んでいる気がする
むかし弟がしていたみたいに
口を大きく開ける
今になってその理由がわかる
溺れてはならなかったのだ
自分のために、ではなく
人のために
救いのようなものが
車内にアナウンスされてる
けれどそれは声になることなく
風に飛ばされそうな紙切れの中
文字だけにとどまってる
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2007/05/16 (Wed)
桃太郎の話をしてくれた両親も
物語のおじいさんやおばあさんと
同じくらいの歳になった
今の時代、洗濯は機械がしてくれるけれど
腰が痛いと言うので
今日は妻が洗濯物を干してる
僕はいつものとおり
父のためにパイナップルを切る
震えの止まらない手で八分の一ずつ食べ
規則正しく八日間周期で一個食べ終わる
いずれパイナップルを切る必要もなくなる
もしくは切る人がいなくなる
時々仕事の話をすると
黙って頷きながら聞く
息子は勇敢でなくとも毎日戦っている
僕だけじゃない
皆いろいろなものと戦っているのだ
そんな昔話を
誰も語り継がないでほしい
2007/05/15 (Tue)
大雨が降ると川は決まって氾濫した
田畑や家はその度に浸水した
人々は土嚢を積みポンプで水を汲み上げたりしたが
結局は自然に水が引くのを待つしかなかった
ある年、河川管理者である県によって
大規模な公共工事の施工が決定された
川は拡幅されコンクリートで護岸が固められた
蛇行の激しいところはバイパスが整備された
工事は粛々と行われた
毎年予算要望の時期になると
議員や流域の首長などによって構成される陳情団が
県庁と関係省庁に早期完成の陳情に訪れた
度々談合が発覚し
指名停止とその解除の公告が繰り返された
作業員の一人が事故で死亡したときは
行政の監督責任が裁判で争われたが
数年かかって行政側の勝訴が確定した
新聞の地方面には担当部長と遺族のコメントが
温度差無く数行並べられた
十数年かかって工事は完了した
記念の冊子が刷られ関係者に配布された
その関係者に死亡した作業員の名はなかった
最初のページに飾られた写真には
紅白の幕の中でうつむき加減に祈る人々の
やわらかな肩が並び
穏やかな春の日を思わせた

2007/05/13 (Sun)
少し離れた
海のようなところを
目覚まし時計がひとつ
泳いで行きます
古い色のバス停で
返却期限の過ぎた図書を
二冊抱えたまま見送る
息継ぎだけが
わたしの動作でした

2007/05/11 (Fri)
帽子の話はひととおり終わり
白い塀が先の方まで続いています
突き当たりの干物工場を右に
道順を教えてくれる指先は節くれだっていて
足元には重いものに潰されたような
カマキリの一部が残っていました
今年は貝毒が心配で、と
それはとても大事なことのようでした
路線バスが夏服の学生を数名乗せ
反対の方向へと走っていくのが
ここからも見えます
右耳から耳鳴りがこぼれそうなので
手で押さえたかったのですが
荷物を落とさないように
それだけで精一杯の気がしていました
2007/05/11 (Fri)
小さな馬が一頭草を食んでる
いただきます、も
ごちそうさま、も
一生分言ったのに
まだ何も言い尽くしていない

クイーンズタウンの山の上にある
レストランで食事をした後
近くの牧場で馬を見ながら
悲しませない、と約束した
その約束は何度か守られ
残りは守られなかったか
あるいはどちらでもなかった

愛してる
求められているのはその単純な言葉の響き
小難しい理屈や後付の定義ではなく
それこそ世界の中心で叫ぶような
愛、を決して超えない

もうあきらめたよ、と
二人で皿の上の馬を見ていた
馬しか見てなかった
あの日も今も
そして馬はいつも
イメージでしかなかった
 
2007/05/09 (Wed)
ひとがひとの形をして笑っている
ひとがひとの形をして泣いている
国道を走り
国道は走られ
やがて国道は海へと続き
ほとんどのひとはその手前で右か左に折れ
他の所へと行こうとする
ひとがひとの形をして命を乞い
ひとがひとの形をして祈る真似をしている
ひとはたくさんの水分を含み、固まり、形となり
それでも燃やせばすべて灰になる
/明日ピクニックに行こう
/手作りのお弁当を持って
/燃やせば灰になってしまうお弁当を持って
/誰かの口癖のように
/もう少し生きてみたいね

2007/05/09 (Wed)
オシロイバナがどこまでも咲く
原っぱの真ん中で
日焼けのしていない細い腕を
嬉しそうに振り回している
いくつになっても夢をあきらめない
ここまできてやっと
あなたは扇風機になれたのだった
2007/05/09 (Wed)
詩集「こっそりとショルダー・クロー」ポエトリー・ジャパン分、完売いたしました。
ご購入くださった方、発行者であるいとうさん、表紙イラストを描いてくださった木精ゆきさん、組版してくださった和田理英子さん、その他出版・販売に携わってくださった皆様方、ありがとうございました。
いとうさんのところにまだ数冊ですがあるみたいですので、ご購入を希望される方はいとうさんを見かけたら声をかけてみてください。
ありがとうございました。
2007/05/05 (Sat)
たこの入ってない偽物のたこ焼きを
俺たち、食べ続け
成犬になるまで幼犬を
俺たち、育て続け
そのあとはライブハウスで
ヒトデの数を愛と間違え
隣の人に怒られている
ロック、俺たちのロック
翼があればおまえの住んでいる街まで
誠意と愛嬌を届けに行くぜ
でも翼は最初からないから
唇の端から言葉のようなものを垂れ流して
五七五七七の歩幅で詠ってる
ロック、俺たちのロック
震える魂をシャウトすれば
拳は玄関でスリッパを並べ続け
せつないおまえを抱きしめてる
見ろ!俺たちが世界と呼ぶところを
大人たちは争うことを止めずに
荷物を縛って郵送するのに追われる毎日
だから!俺たちずっと子供のまま
海水浴場に片足を突っ込んで
とても痛い
空にはいつまでも満月になれない三日月
何かが欠落してる都会の片隅
両腕を伸ばして珍しいと噂されてる
俺たち、今日もまた
誰かの作った定義に踊らされ
同姓同名の人もどこかできっと
涼しい風に吹かれてる
 
 

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* ILLUSTRATION BY nyao *