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こっそりと詩を書く男の人
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たもつ
年齢:
57
性別:
男性
誕生日:
1967/06/05
自己紹介:
こっそりと詩を書く男の人
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2007/04/14 (Sat)
ただそらだけがある
ひとも
たてものも
どうしょくぶつも
わすれて
すみずみまで
ひろがっている
きおくのそとがわから
ことりがいちわきて
はばたこうとすると
そらはきように
みずからをたたみ
どこかに
とんでいってしまった
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2007/04/13 (Fri)
ウォーリーを探せ、と言われて
ウォーリーを探しに行ったまま帰ってこない
そんな少女の話を以前しました
かどうかは定かではありませんが
電話帳に海という字を見つけては
泣きながら印をつけていたのもその少女でした
少女は海に行ったのでしょうか
いえいえ少女はウォーリーを探しに行ったのです
見つからなかったのか
行く途中もしくは帰る途中で迷子になったのか
それとももう生きてないのか
いくつか要因を列挙すれば
どれかに当てはまってしまうのでしょう
ウォーリーならさっき
本屋で週刊雑誌を立ち読みしているのを
見かけたのですが


2007/04/13 (Fri)
カブトエビ、という
小さな甲殻類がいるそうですが
さっきから門の前では
牛に良く似た人と
人に良く似た牛とが
縄跳びをしています
縄跳びが終わったらあの人と牛に
カブトエビの話を聞いてみようか
とあなたが言うので
居間の窓から二人で見ていました

2007/04/13 (Fri)
窓にはまった網戸を見ていた
それからちゃぶ台の上のスプーン
同じ方向に三本並べられていた
これママの、これパパの、これぼくの
暑かったと思う
そのことで汗もかいていたと思う
数年経って
鉛筆で自分の名前を初めて書いた
平仮名を全部覚えた後か
それともまだ文字を習う前のことか
忘れてしまったけれど
もう違う家に住んでいた
数回書いてそれから
鉛筆で汚れた手を見ていたと思う
2007/04/12 (Thu)
むかし空には大きなバケツがあって
悲しいことがあると人は
そこまで悲しみを捨てに行った
ある日両手いっぱいに悲しみを抱えた大男が
そのバケツをひっくり返して
中身は空の隅々まで散らばってしまった
夜空を見て
星、と子供が呼ぶものの多くは
その時のものだ
余談として
冬から春へ季節が変わるほんの数日
の更に僅かな時間
西の空に輝くいくつかの星をつなげると
さかさになったバケツの形になる
2007/04/10 (Tue)
晴れた日に
ひばりの鳴き声を聞きながら
地雷を踏んで遊ぶ
僕らはまだ
子供のまま
誰が一番遠くまで脚を飛ばせるか
競い合って
ひばりの鳴き声を聞きながら
でも、もうちゃんは間違えて
死んじゃった
きっと今これを書いている人は
空調のきいた部屋で
泥水の代わりに
同じ色のコーヒーを飲んでる
今日も周りの人が死にませんように
なんて書いておけば
少しは罪滅ぼしをした気になって
喜んで嬉しい
でも、もうちゃんは
死んじゃった
ひばりの鳴き声を聞きながら
誰の死を引き受けるでもなく
もうちゃんが
死んじゃった
2007/04/09 (Mon)
夜が更けるころ動物園の園長は
動物たちに泳ぎ方を教えます
本当は水族館の園長になるのが
動物園の園長の夢でした
一番泳ぎが得意なのはゴリラで
それ以外は身体の大きさに関係なく
だいたい普通です
動物たちをタオルで丁寧に拭いてあげると
気持ちが少し軽くなるので
偽物の手紙を書きます
偽物のポストに投函して
偽物の郵便局の人が運びます
見送りながらむかし砂浜につくった
生き物のお墓のことを思い出します
時々その向こうに
朝焼けが見えます
2007/04/06 (Fri)
お父さんの背骨の近くを押していく
淋しい箇所がいくつかある
大きくなったら学者かバスの運転手になりたかった
と、よく言っていた
結局学者にもバスの運転手にもなれず
十年前に地方の小さな薬局を退職し
多分これからもなれないのだろう
すべての世話が終わると
お父さんはいつものように簡素な礼を言って
使い慣れた金属製のさじを
口に含む
2007/04/05 (Thu)
あんなに痩せっぽちだった友だちが今はひとりぼっちになってた


スリッパを並べると自分にもお客さんがあるみたいで嬉しい


ウォーリーを探せ、と言われてウォーリーしか探さないような子でした


あなたの美しいら抜き言葉が泣きそうな僕を慰めている


六年前に草で指を切った人が今日は紙で指を切った


殺し屋が電話で謝っている昨日より深い腰の角度で


決算書をめくる手を見る僕らの悲しみは繰り越されてしまう


2007/04/04 (Wed)
犬小屋の中でお父さんとお母さんが
おままごとをしています
春の陽が一番良く当たるお庭で
せまいね、と言いながら
それでもきれいな身なりで
プラスチックの食器を並べていきます
  きょう、の、ばんご、はん、は、ぎせいどうふ、よ
   ゆみちゃん、は、むずか、しい、りょうり、しってる、んだね
お父さんは今日も上手にお母さんの名前を発音します
  いぬ、し、んじゃった、ね
   しん、じゃっ、た、ね
犬なんてまだ飼ったことないのに
夕焼けを見ながら買ってきた犬小屋の中
手だけはつないでいます
  あの、こ、だれだ、ろう、ね
   だ、れ、だろう、ね
いつか僕を二人の子として産んでください
そのことで誰も不幸にすることなく

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* ILLUSTRATION BY nyao *