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こっそりと詩を書く男の人
  プロフィール
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たもつ
年齢:
56
性別:
男性
誕生日:
1967/06/05
自己紹介:
こっそりと詩を書く男の人
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2012/07/24 (Tue)

はがれていく。
ブランコに乗る。
千枚通しの先端が怖い。
パジャマ、
家族の。
さわやかな朝、
という一人きりの先制。
専制君主。
ルイ十四世。
掃除をする。
はがれていく。
共同所有の土地。
極力、意識しない。
なるべく、動かない。
名前を書いてみましょう、
ヘボン式で。
頭書の成績を収めたのでここに表彰する、
それは誰かの現実。
足が痒い。
はがれていく。
イエス オア ノー、
真ん中のない二者択一。
珍しい花の形。
ロールスロイス。
老衰の椅子。
ゴミ箱、遠いね。
うん、遠いね。
はがれていく。
共通の嘘。
尻すぼみの出鱈目。
嘘と出鱈目の曖昧の線引き。
三日前の擦り傷。
三日前のかさぶた。
はがれていく。
夕べも父は眠れなかった。
生きていくのに疲れた、と呟く。
はがれていく。
はがれていく?
はがれていく。 
 

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2012/07/23 (Mon)
 
二死満塁のピンチだった
ぼくが第一球を投げると
キャッチャーは既に不在だった
家を継ぐために
故郷に帰ったのだ

走者はホームに生還した
その間にバッターは
甲状腺の病気が悪化して
引退していた
みなそれぞれの事情で
いつしかゲームを去った

今、ぼくは一人で
トンボをかけている
もちろん残ったのも
自分の事情に違いなかった

マウンドにのぼって
何回目かの第一球を投げる
山なりのボールがバウンドして
ホームに届く
グラブもすっかり年をとった
 
 
2012/07/22 (Sun)

1.

少年はカブトムシをつかまえた
兄が教えてくれた秘密の場所だった
早く少女に見せたくて走った
その頃、少女は黙祷をしていた
自分の汗が少し臭いと思った
生活というものは量であると
感じ始めていた
終戦記念日、午後が始まる
 

2.

消化器系の弱い犬が
夜明けの床を舐めている間に
約束という約束は
余すところなく履行された
誰もいない窓口では
山積みの証明書が
音をたてずに失効している
名前のようなものが書かれた紙飛行機は
遥か彼方の海峡を目指し
やがて少年も
少女に口づけをしたいと
思うようになるだろう


3.

夜の駅、少年と少女は
ベンチに座っていた
この町を出たかった
手の中には僅かのお金
二人だけで生活するには
あまりに幼かった
それなのに小人料金では
もうどこにも行けない
名前などいらない、と
少女がつぶやく
常夜灯でできた二人の影が
時々単純な命のように動く
 

4.

少年は夢の中で
少女を追いかけて走った
他愛もない遊び
もう少しでつかまえられる
というところで目が覚める
隣では妻が寝ている
自分はこの少女の何を
つかまえることができただろう
すべて理解していて
何も知らない
あの空も山も
同じものを違う目で見てきた
ちゃんづけで妻の名を呼んでみる
今でも呼び捨てにできない


5.

最初から、少年も
少女もいなかった
ただ、名前すらない、
願いのようのものが二つ、
風の中で
寄り添っているだけだった
大人ってばかだね
大人ってばかだね
そんなことを
楽しそうに言い合うと
少年と少女の形をして
原っぱを駆けて行った
 
 


ツイッター連詩「ボーイミーツガール」に投稿したものを
一部加除修正し、新たに2編を書き下ろした。

参加者
 宮尾節子さん
 山田兼士さん
 たけだたもつ(たもつ)


2012/07/15 (Sun)
蘇鉄の葉が風圧に揺れる
掃討戦が始まっていた

その夏、ぼくはひたすら
素麺を食べ続けたのだった

想像よりも遠くまで
空は広がり

祖父は二度と
祖国に帰らなかった
 
 

2012/07/14 (Sat)
 
都会のカラスが都会を飛ぶ
そして都会の彼女は
赤いハイヒールで
都会を軽やかに歩く
空が飛べないのはきっと
背中の羽が邪魔だから

そんな彼女は
首がない、ただそれだけで
ぼくがぼくであることに気づかない
いつものように手を繋げば
気づいてくれるだろうか

ためしに自分の右手で
自分の左手を握ってみるけれど
それが本当にぼくであるのか
何の自信ももてない
 

2012/07/12 (Thu)

そういうわけで
首が引っ込んだまま
ぼくは浜に出た
蟹が当たり前のように
前の方に向かって歩いていた
体の奥から見ていると
蟹はやがて視線に気付いて
慌てて横歩きを始めた
世の中の事実とは
こんな感じなのかもしれない
蟹図鑑の余白に追加するため
いま見た出来事を
十字程度に要約してみた
 
 
2012/07/11 (Wed)
 
 
亀が道を歩いていた
甲羅をつかむと
慌てて首を引っ込めた
のは
何故かぼくの方だった
亀は空に向かって
首をおもいっきり伸ばし
退屈そうに大きな欠伸をした
ぼくはその一部始終を
体の奥から眺めたのだった
 
 
2012/07/09 (Mon)
 
戦場で扇風機が回る
生活が確かにあった
セミは鳴く
脊椎動物たちが
忙しく生きた夏に
 
2012/07/07 (Sat)

炊事を終えた
スリランカの水夫たちが
座って西瓜を食べていた
 
出納係はスープ皿に
吸殻を捨てた
 
好きなものはすべて
素手で触りたい
 
水族館の閉館日
すぐりの実を摘むあなたの姿が
すりガラス越しに見える
 
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* ILLUSTRATION BY nyao *