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こっそりと詩を書く男の人
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たもつ
年齢:
49
性別:
男性
誕生日:
1967/06/05
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こっそりと詩を書く男の人
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2017/03/26 (Sun)
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2012/06/17 (Sun)

ケイコは献血に行く
ケイコは血圧が低い
血糖値は正常の範囲内で
血色は良く
健康的に見える
ケイコは毛が生えているが
蹴鞠のイメージはない
ケイコはケーキが好きだ
けれどケーキがケイコを好きとは限らない
ケイコは軽量の携帯電話を持ち
ケイコは稽古する
(血縁関係にあるマナブと)
ケイコは形而上学的に言えば
継続性のない経験と
結論しかない経緯とで
形成されている
ケイコは検討する
ケイコは決心する
ケイコは決定する
ケイコは削り
ケイコが削られる
京王線沿線を歩き
結婚式場の脇を抜け
献血に急ぐ
傾斜を降りるケイコの姿が
景色の一部になる
 


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2012/06/16 (Sat)
 
ありがとう
そんな簡単な言葉を
忘れたまま
一応の今日がある
体積は権利
表面積は義務
肉体は続く
魂の原野
そのつきあたりまで
  
 
 
2012/06/14 (Thu)

椅子は壊れ
ぞんざいに修理された
手と工具によって
曖昧な手順と
矮小な記憶によって
幸福な週末に
唇で話す
小振りの列車で
向かい合って眠る
 
 
2012/06/13 (Wed)

ダムのほとりにある木造の役場に
申請書を出した
数枚の資料を添付した
簡素な手続きで済む些細なものでも
無いと困ることが時々ある
花が咲いている
名前が思い出せない
きみが好きだった花はもう
名前しか思い出せないのに
 
 
2012/06/11 (Mon)
 
また春が来て
命のあるものは
業務の引き継ぎに忙しい 
高層ビルの死骸が並ぶ 
空に一番近いあたり 
乾物屋の娘が
花を手向けている
 
 
2012/06/10 (Sun)
 
コンクリートの上で 
小ぶりの卵が朝露に輝いていた 
トンネルを抜けた役者たちは
そのまま川沿いを進んだ
数メートル手前まで来ている、
あれはたぶん桜前線
ほんの少し音がするね
上り坂もだらだらと長く続く 
  
 
 
 
2012/06/09 (Sat)
 
酸性雨が降る
あっけなく陥落した
街のいたるところに
葉の裏で僕らは雨宿りをして
そのままお互いを
好きになった
やがて雨はあがり
空を見上げる
僕らのシルエットは
何も伝えられない
並んだ文字になる
 
  
 
 
 
2012/06/08 (Fri)
 
形のないバスが走ります
手を振ると
形のない手を振りかえしてくれます
お花見でもあるのでしょうか
工事中、というわけでもないのに
いつもよりたくさんの人たちが
息などをしながら
通りを歩いています
  
  
 
2012/06/07 (Thu)
 
 
犬の耳を触る
どこか遠くで
冷たい信号機と
同じ匂いがしていて
生きていくことが
懐かしく思えた
今日、初めて
歌を作った
雲の下に捨てれた
鍵盤のないピアノに
腰掛けて
  
  
 
 
2012/06/06 (Wed)
 
誰に手紙を書こうか
考えているうちに
便箋はみな鳥になって
飛んで行ってしまいました
ペンを持った私だけが
窓辺の席に座り
次の遠い春を待つ人のように
外の音を聞いたりしていました
  
 
 
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* ILLUSTRATION BY nyao *