こっそりと詩を書く男の人
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たもつ
年齢:
44
性別:
男性
誕生日:
1967/06/05
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こっそりと詩を書く男の人
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2005/12/31 (Sat)
気付かなかった
キリンの傷に
裏の木々より背が高くなったのは
誰の所為でもないのに
金属のものを身体につけられて
何かの記念のような姿で立っている
沈みかかる夕日を見て
人は美味しそうだと言ったけれど
キリンは決して
それを食べようとはしなかった
首が長い、そのことだけで
キリンはキリンだった
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2005/12/31 (Sat)
階段には鍵が掛かっていた
鍵を持っている人はみな
蟹のような格好をして降りて行ったが
昨夜食べた蟹は形も違うし
赤く茹で上がって
あんなに嬉しそうではなかった
降りられない階段を見ていると
私には私の距離があるとわかる
もう、遠さ、という単位で
何も測れなかった
2005/12/23 (Fri)
鬼のいない鬼ごっこを
弟と久しぶりにした
記憶の中ではまだ
幼いはずだった足音が
いつの間にか大きくなっていて
少し誇らしげだった
何も追いかける必要など無かったのに
大勢の人の間をすり抜け
どこまでも
逃げて行ける気がした
2005/12/23 (Fri)
鉛管が転がっている
描ききれなかった僕らは
ゆっくり鉛筆を折ると
液体のように広がり
縁石を満たした
炎天下
エピローグばかりが続く
絵本の中で
2005/12/23 (Fri)
牛は歌い続け
奪われ続けた
後ろの方では
鬱蒼とした茂った木々の間で
埋められないために
ウサギたちが薄目を開けていた
美しい、だけが上滑りしていく
閏年のうららかな春の日
馬はそのことで
うるさくすることはなかった
2005/12/23 (Fri)
幾日か後
妹の手を引いて
池まで降りていった
石畳は少し先の
見えないところまで続いていた
水面には遺影に良く似た温もりがあり
生き物たちの息継ぎまでもが
今ならわかる気がした
いつかまた
いらなくなった椅子を売りに行こう
そう言うのが精一杯の日だった
2005/12/04 (Sun)
あそこにいる人が
あなたの本物のお兄さんだ、と
偽物の兄は言った
青空にあんなに高く手を挙げて
いつまで疲れないのだろうか
明日になったら
偽物の兄が大好きな
餡子のお菓子を持って
本物の兄に挨拶に行こう
そう考えているうちに
すっかり朝になり
やっと諦めに似た気持ちになった
2004/06/24 (Thu)
風呂桶に
フルーツが
ふたつ
うかぶ
そのことは
今日の僕らの幸せであり
どこか、という
不特定の場所では大層な
不幸せだった
2004/06/18 (Fri)
ひつじが鳴いていた
ひまわりが咲いていた
人がいた 好きだった
目を閉じる
陽だまりのなか
明日なら
死んでも良かった
2004/06/10 (Thu)
ハッカ味のキャンディーを食べると
その涼しさの中に
原っぱのようなものが広がっている気がして
走ることが苦手な僕はいつも
雲ばかりを見上げてしまう
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* ILLUSTRATION BY nyao *